- Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062630115
感想・レビュー・書評
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2人が惹かれあった理由、結び付きがどうしてそれほど強いのかよくわからなかった。多少読み飛ばしても問題なく進める。こんな人生やだなと、中国語と歴史の知識があったらもう少しおもしろいのかも。
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ええ、惚れましたね美貌の殺し屋に。
が、吉田一彰の良さがさっぱり判らん。李歐ほどの男がなんでこんなヤツに?と何度か思いましたが、イヤイヤ一彰くんにも成長のチャンスや活躍の場面があるはず、と気を取り直して読み進むも、さして成長せず周りがバタバタ死んでいくばかりで。
だいたい、そんなに大陸に行きたいのに何故世話になった人の娘に手ぇ出して子供まで作ってしまうんや?
家族の安否が気になってダッシュで帰って来たのに、なんで気を抜いたんや?
奥さん気の毒やし残された子供のPTSDを心配したわ。私やったらこんな男には関わらんけどなぁ。
一彰はともかく物語は、
華僑に大阪の裏ビジネスの方々にCIAやらスパイやら盛りだくさん、拳銃もお薬もてんこ盛り。物騒です。
淀川だの千本松大橋だの大阪育ちにはお馴染みの地名も出てきて不穏な雰囲気を盛り上げています。
暴力シーンもいっぱいでなかなか辛かったですが大陸で待つ李歐に会いたい一心で読了。 -
2021.06.15
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果てしなく続く大陸の風景を、
圧倒的なスケールで描いた壮大な青春の物語。
毎日をただ平凡に、無気力に過ごしていた主人公の吉田一彰はバイト先で偶然、李歐という男に出会う。
殺人や抗争、裏社会のあらゆる思惑に巻き込まれながらも、徐々に失われていく今までの日常の中で、李歐の持つ壮大な“夢”を一緒に追いかけるという想いは15年という歳月が流れても忘れられることはなかった。
「惚れたって言えよ」「必ず迎えに行く」「年月なんか数えるな。この李歐が時計だ。あんたの心臓に入っている」
こんなこと言われたら性別関係なく惚れてしまうでしょ…
もはや友情とか愛情を超えた、特別な魂の結びつきさえも感じる二人の関係性にどんどん惹き込まれてしまう。
五千本の桜や生霊との逢瀬など、普段文字としてあまり見慣れていない中国語の文面とも相まって非常に現実離れしたような世界観なだけに、ラストは最高のハッピーエンド!
『李歐』というタイトル通り、全てが李歐の為に、李歐を中心に人や世界が動いているようなこの作品には、もうこれ以外のタイトルはあり得ないと思う。
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本作の主人公は、大阪の大学に籍を置きながら、幼少時に彼がすごした町の工場で働いていた外国人をたずねている吉田一彰という青年です。ある日、彼が働いている「ナイトゲート」というクラブで殺人がおこなわれる計画があることを聞かされ、しかも一彰がターゲットとなっている陳功という男に電話をとりつぐ役を引き受けることになります。この事件がきっかけとなって、彼が幼少時にすごした西淀川の姫里にある旋盤工場の人脈が、東アジアにまたがる闇の世界の一端につながっていたことが明らかになっていきます。
一彰は、陳功を殺した李歐という若者に出会います。意気投合した二人は、住之江区平林の倉庫から、笹倉という男のかくしもっていた拳銃を盗み出すという計画を立てます。見事計画を成功させた彼らは再会を約束してわかれ、李歐はシンガポールへと旅立ちます。他方一彰は、盗み出した拳銃を交渉の材料として姫里の工場の再建資金を手にして、工場の再建に努めます。工場長の娘の咲子と結婚して世帯をもつ一方で、彼は李歐との約束をけっして忘れることなく、もう一度彼と会うことを願います。しかし、ひとたび一彰が片脚を突っ込むことになった闇の世界は、簡単に彼がそこから抜け出すことを許してくれません。
月日は流れ、笹倉と再会することになった一彰は、李歐の現在について教えられます。彼は李歐のもとへ行きたいと願いますが、妻の咲子と息子の耕太を置いて日本を去ることはむずかしく、二人が約束を実現するにはさらなる年月が必要でした。
大阪の下町とはまた違う湾岸地域独特の雰囲気と、在日コリアンや中国系マフィアの複雑な人脈関係を背景に、主人公の三十年にわたる半生をえがいたアンチ・ビルドゥングスロマン小説です。読んでいるあいだ、機械の錆びたような空気が胸に這いあがってくるように感じられ、そのハードボイルドな魅力に一気に引き込まれました。 -
すべてが美しいです
李歐の「櫻花(インファ)」という言葉にゾクリとする
「わが手に拳銃を」を下敷きにして登場人物まったく同じにあらたに書き下ろされているが、「わが手に…」がゴツゴツした金属の塊で「李歐」はその塊を丁寧に加工して美しく磨きあげられたようなもの。
壮大で美しい、桜の描写はなんと言えばいいのか、読んでいて目の前に息をのむほど美しい桜があるかのよう、李歐の強さと聡明さと美しさそのもの。
読後の余韻がたまりません。