李歐 (講談社文庫)

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著者 : 高村薫
  • 講談社 (1999年2月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630115

李歐 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • また読みたくなって購入。どこか冷めた日本人吉田と殺し屋李毆との友情(っていうと、まー軽くなっちゃうが)。アジア版バナナフィッシュか。桜が美しくて、笹倉というおっさんとか魅力的です。高村薫は好きだわー。

  • 美貌の殺し屋李歐と、平凡なアルバイト青年一彰の物語。

     ……平凡、かな? 普通のアルバイト青年は、自分を脅してくるからってバイト先の先輩(ジャンキー)をスパナで殴ったりはしないと思うのだが。しれっと「僕はしりません」ってやれないだろう、普通の二十二才の青年は。一彰は銃が大好きで、鋼の感触に欲情して。人が殺されても、何が起きても動じない。
     とはいえ、無夜は一彰に共感できました。怖さとかをよく理解していないところが。無夜は最近、車が怖くないんですよ。間近を通っても冷や汗もかかない。そのうち、ひき殺されるでしょうね(苦笑)

     無夜はこういう雰囲気の話好きです。ぎりぎりな雰囲気。緊張感。白刃の上を歩いているような。
     内容は前半、後半も、銃の話です。ことこまかい部品の話。こんなに詳しい銃の話って無夜は見たことないですよ。銃の製作工程なんて、ねえ??
     一彰はしょっちゅうホモに付きまとわれ(アルバイト先のマネージャー、その後は刑務所でヤクザの組長と会って出所してからも、殺し屋絡みで後ろ盾になってもらわないといけないんで関係がずるずる続く)、最後には李歐の元で息子と一緒に暮らし始める、っていう。息子耕太は父親が二人になった、と。(アメリカとかのゲイカップルみたいだな)
     その李歐と再会するまでに、ざっと十五年が過ぎてしまって。二十二才だった青年達は、三十六・七になってる。
     521ページ。けっこうな分厚さ。
     すごく、色っぽい話なんですよね。ボーイズみたいに濃厚な濡れ場を入れているわけではないのに。
     で、李歐を本屋で購入しました。(中古で、なんて思いもせずに)無夜にそうさせたのは、一彰のこの台詞。
    「李歐、君は大陸の覇者となれ、僕は君についていく夢を見るから……」
     ……映画でこのシーンをやったら凄く綺麗そう。後半を一呼吸あけて、目を閉じてしっとりと言ったら無夜は半狂乱になるでしょうな。ここまで入れあげたのは、久しぶりです(笑)

  • すごくきれいな話でした。
    著者の作品で、男性同士の怪しい感じが描かれる作品が何作かありますが、これは結構全開な感じがしましたな。
    ただ、これも著者の美的感覚の成せる表現力でしょうか、水墨の美しい絵が浮かぶような、何とも鮮やかな印象がありました。

    私の著者のすごいと感じる部分で「タフさ」があります。
    本作には「わが手に拳銃を」という前身となる作品があり、それなりの大作であるにもかかわらず、完全に仕上げるためもう一度過去作に向き合い生まれ変わらせることができてしまうのですね。

    作品数が多くないうえ、一作一作がくっきりとした個性を持っているので、全作品が記憶に残っています。

  • 或る時は殺し屋、或る時は債権取引のトレーダー、或る時は密林のゲリラ…華麗に装いを変え、あたかも「舞う」ように世界を生きる『李歐』と、本文で「冷えた毒蛇」と称されるように、輪郭に冷徹さを纏いつつもその身の内側に、何かしらの熱を持つ『一彰』が大陸を夢見て長い長い旅をする――
    拳銃の硝煙の臭いと、ひとを惑わせるという桜と、ひとの死と、広々とした大陸。流暢な舞いと詩。それらが物語中に散りばめられている。
    その中でも特にうつくしく表現された、桜や舞いや歌声は、血の臭いに満ちた闇の中にあるからこそ、その美しさが一層際立つ。

    ひとにひとの魂に"惚れる"のに時間はかからない
    磁力のように引き合うふたりから目が離せなかった。


    正直に申しますと、序盤からかなりの間、どうにも読みのペースが進まず、これを読みきるという気持ちは徐々に小さくなっていった。しかし半分を過ぎた頃から、物語の歩むペースはテンポを上げていく。
    来るべき終わりへと、二転、三転を繰り返し、時代が変わり、ひとが変わり…それでも変わらないものがあった。物語中の変わらないものたるや、ひとを惹きつけて止まないものである…(少なくとも私においては)

    桜。大陸。一彰の夢。クライマックスのシーン。物語の締めくくりの部分はこちらがその風景を夢見ているのではないかというくらい、鮮やかだった。

    願わくば、大陸の覇者とその家族が、桜舞う彼の地で安らかな夢を見んことを

  • 「わが手に拳銃を」未読。久々に心を捉えられた。
    前半はあらすじを裏切って重いです。「女性、男性、犯罪をも魅了する
    綺麗で淫乱」な主人公一彰と中性的な美しさとカリスマ性を
    備えた李歐が繰り広げる青春物語ですが若干友情を飛び越えて
    精神的な同性愛感情も含まれてるなあと思いました。
    お互い妻子を持ちながらも死に別れ、最後には
    息子と「父親二人」で暮らす大団円の図にはなんとも
    一言では表せない穏やかな感情を抱きました。
    内容は事件ものではなく人と人との因縁、関係の形、幼少時の
    思い出をどう消化するかなどがハイライトされています。
    これといった珍しいイベントはありませんが、注目すべきは
    李歐と一彰の魅力だと思います。
    「心臓が妊娠したような気分だ・・」「そいつは嬉しいな。ぞくぞくしてきた・・」
    の台詞には度肝抜かれた・・

  • 「惚れたって言えよ」で(私の頭が)爆発した作品。
    爆発した、というより、爆発せざるを得なかった作品。
    BLではないし、かといって普通の男同士の友情ではないと思う。
    何か、人と人との繋がりで、面倒なものを全部取っ払うとこうなる、みたいな。
    というか、帯の時点で爆発ものですよね。
    「李歐よ、君は大陸の覇者になれ。ぼくは君の夢を見るから」
    どういうことなの、一彰。
    見方によっては一彰のシンデレラストーリー。
    いや、笑い事じゃなくて、ほんとに。

    でも、BL的なフィルターをかけて見るとですね、一彰の本命は李歐なんですが、一彰の周りに李歐のライバルが多過ぎるというね。

  • この本を一概に「男たちの友情を描いた小説」や「同性愛を描いた小説」とは言えないと思う。
    一彰と李歐が互いに抱くものは友情を超越した、愛までをも超えたなにかのように思えた。
    数ある女性を抱き、妻子も持った一彰だが、その一彰が本当に、魂がふるえる程愛したのは李歐ただ一人だけだった。
    友人であり、恋人であり、家族であり、魂の仲間である、それが李歐なのだ。


    読後は幸福に満たされて、涙が止まらなかった。
    本当に良い作品。

  • 圧倒的なスケール。
    重いストーリーなのにすっきりするエンディング。

    読み終わって満足できたのは久しぶりの作品だった。
    本筋にあんまり関係はないんだけど、後半の奥さんが死ぬ直前のシーンでの一彰の心境の転換が一番心に残ってる。誰もいないと思って帰ってきた家の玄関に積んであるデパートの紙袋だとか、その癖主婦らしく、無茶な買い物はしないところとか、そんな当たり前のことが。微笑ましくて。
    そのあとの絶望感が半端なかったよ!(笑)

    あと桜見に行きくなった。ひとりでぽかーんと。

  • 所々の描写が繊細で、ちょっとしたほのぼのシーンに癒されました。李歐に惚れてしまいそう・・・笑 少しだけ中国語に詳しくなれました。

  • 高村薫を一冊もアップしていないことに気づいたので、ちょっと、あわてて。
    比較的入りやすそうな所から。
    運命的な出会いをした若者二人の、ノワールな人生。
    一筋の絆が光り続ける。
    文庫化に際して全面的に書き下ろした作品。
    当初の単行本も読んだので、どこが違うかも面白かったです。

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