夏姫春秋(下) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630672

感想・レビュー・書評

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  • 無事読み終えた!が素直な感想。直木賞受賞作品でなければ読まなかったかもしれない。機会に感謝。

  • 全2巻

  • 古代中国・春秋時代に生きた夏姫と呼ばれた姫の物語。



    絶世の美女であり、夏姫を手に入れたものは次々と滅んでいった。

    それ故に希代の悪女とも言われているようですが、

    妖艶な美しさが男たちを狂わせていったのでしょう。



    かなり色っぽい場面も描かれていますが、

    夏姫自身の物語と言うよりも、

    夏姫を取り巻く男たちの物語と言った感じです。



    国と国の覇を争う心理戦。

    読んでいて非常にわくわくしてきます。

  • すべてを諦め、流れるままに男たちに身を任せてきた夏姫が、最後にみせた意思力のすごさ。圧巻でした。身を切るような覚悟をしなければ、幸せになどなれないということを、教わりました。悪女という評価がないのに歴史に名をのこした珍しい女性です。

  • 1995年発行、講談社の文庫本。解説は縄田一男。あとがき有。下巻は夏姫が中心となる。しかし、この時代でも、労働力や子孫を残すために夏姫のような未亡人は他の男性に再婚させられたのではないだろうか。初めの兄に通じた部分はとにかく、その後は夫となった人物が偶然次々の奇禍にあったことからくる伝説のような気がする。そう考えると面白くないのだろうが。最後に出てくる巫臣は名臣として描かれていていい男ぶりなのだが、左氏伝とかの評価はどうだったかなぁ。

    1991年4月に海越出版社より刊行されたものの文庫化。

  • 春秋時代の戦乱のダイナミックさの中に一本夏姫の線が通っている。その悲哀な運命に暗澹たる思いだったが、最後に救いがあってよかった。

  • 上巻の最後の方までは存在の希薄だった、主人公・夏姫の物語が動き始める。

    下巻の序盤、恩人である家宰の一族を救うために有力者たちに身を投げ出す場面は悲壮で胸が痛い。
    幼い頃から抵抗するでもなく、男たちに身を任せて来た夏姫という人物が、よくわからないままで話は進んできた。しかし決して自ら頽廃を好むわけではなく、喜ぶわけでもないことがわかった。むしろこの時の無私の決意と行動によって彼女の清廉さが際立ち、ようやく彼女の内側の魅力が垣間見えた。隠されてきただけに強烈な印象を伴って。

    しかし夏姫の持つ最大にして唯一の武器は、結局はその美貌と肉体であり、男たちは勝手に溺れていく。ここへきて、夏姫の物語は展開すればするほど何もかもが悲劇的である。特に一人息子の子南の苦しみは想像を絶するし、理解されず憎まれるしかない母の気持ちも、また壮絶な悲劇である。

    だが物語も後半にさしかかって、ようやく救いの光のようなものが一筋差し込んでくる。それは夏姫に対して欲望ではなく純粋な愛情と優しさを寄せてくれる、それも思慮深く時機を待てる人物の登場である。

    運命の恋とか真実の愛とかいうには、なんだか唐突に始まった感じでやはり読んでいて困惑するのだが、そこが主題と思うからそうなのであって、夏姫を取り巻く国々と諸侯、戦争と政治の描写は相変わらず魅力的で、生き生きとしている。

    また、夏姫と同じようにここへきて、にわかにスポットを当てられた夏姫の侍女もまた魅力的な女性である。彼女がずっと夏姫を思って寄り添ってきたこと、その事実がこれまでの滅茶苦茶な悲劇をいくぶんでも和らげてくれるようだ。

    巫臣と結ばれた後の夏姫の可愛らしさは「童女」のようである。十歳にして「あれは童女ではない」と言われた彼女がようやく本来の姿に立ち返ることが出来たようで、気持ちの良いラストだった。

  • 面白い。次は太公望か?

  • 楚に移った夏姫は、巫臣と出会い、
    自身の宿命?から解き放たれる。

    いつも思うけど、宮城谷さんの小説は
    本当に読みやすい。
    こういう、古代中国の話って、好きだけど
    漢字が多くて似た名前が多くて、地理も不明で
    すぐにわからなくなっちゃうんだけど。
    宮城谷さんにはそれがないんだよなぁ。すごいなぁ。

  • 春秋戦国時代の話。
    鄭の国の夏姫という姫が主人公で、その美しすぎる容貌のために波乱万丈の人生を送ることになる。
    周陳晋楚斉などいくつもの国同士の戦いに巻き込まれ、夏姫は愛する心を失い幸せに笑えなくなってしまう。
    男たちの権力争いや駆け引きの道具とされた女性の悲しみや怨みがメインで描かれているが、どうしようもなく姫に心奪われる男たちの様子もよく描かれている。
    結末で救われる。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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