翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)

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著者 : 麻耶雄嵩
  • 講談社 (1996年7月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062632973

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翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 〇 概要
     京都近郊に建つ,ヨーロッパ中世の古城と見紛うばかりの館,「蒼鴉城」。その主である今鏡伊都から名探偵「木更津裕也」が招待を受けたことから物語が始まる。木更津裕也とワトソン役の香月実朝が蒼鴉城に着いたとき,惨劇は既に始まっていた。
     木更津裕也だけでなく,銘探偵「メルカトル鮎」まで登場し,推理を拾う。数々の「本格ミステリ」のコードを装飾として使われる。いくつも披露される推理。そしてそれらの推理を覆す衝撃の真相
     全ての本格ミステリマニアに捧げたい,ミステリのそしてアンチミステリの傑作(バカミス?)

    〇 総合評価 ★★★★★
     本格ミステリのコードをてんこ盛りに詰め込んだ作品。こういう作品が好きな人にはたまらない。怪しげな洋館が舞台。首なし死体,密室殺人事件から始まって,連続殺人事件に発展。館には警察がいるのに,連続殺人は続き,4人目の死体が出たところで最初の推理。死んだと思っている人が生きていて犯人だと推理したら,その人間も首を切られていることが分かって探偵は山籠もりへ。
     そこから「メルカトル鮎」というう探偵が登場し,こちらが真打ちかと思いきや更に連続殺人が続き,7人目の死体が出たところでメルカトル鮎の推理。最初の探偵役が犯人という推理がされるというトンデモ展開
     さすがにその推理は間違いで…更に死体が続出。メルカトル鮎まで死んでしまう。
     名探偵木更津裕也の2つめの推理は山籠もりの効果もあって,更にトンデモ推理。見立てがエラリィ・クイーンの国名シリーズの見立てで,密室殺人のトリックは他人の首がくっついて再生した死体が部屋に鍵を掛けてから死んでしまったというトンデモ推理。「僕は信じます。その何十億分の1の奇蹟が起こったのだと」とかめちゃくちゃ。
     しかし,真相は別。ワトソン役だったはずの香月実朝が明かす真相は,真犯人がアナスタシア皇女で,家政婦のひさとして物語に登場し,娘の椎月を自分の身代わりとして殺していたというぶっとんだオチ
     まともに推理してこの結論に至ることはできないわけで,そういった意味では本格ミステリのコードを多用した変格ミステリ…といかアンチミステリというか。バカミスといってもいいかもしれない。
     で,面白くないのかというと,これが抜群に面白い。雰囲気も文体も好みというか…楽しんで読めた作品。★5を付けたい。
     
    〇 サプライズ ★★★★★
     木更津裕也が2つの推理を披露し,メルカトル鮎も推理を披露する。しかし,真相はそのどれでもなく,ワトソン役だと思われた香月実朝が衝撃の事実を明かす。
     木更津の最初の推理=「実は多侍摩が生きていて犯人」
    こそサプライズはそれほどでもない。しかし,メルカトル鮎の推理「犯人は木更津裕也」はサプライズが十分。木更津の2番目の推理=「見立てはエラリィ・クイーンの国名シリーズ」といった部分も驚ける。何より,エピローグで明かされる衝撃の事実,真犯人は絹江で実はアナスタシア皇女というのは…。サプライズは十分だろう。

    〇 熱中度 ★★★★☆
     作中で殺人がバンバン起こるし,中だるみはない。デビュー作ということもあって,そのとき持ってたアイデアを惜しみなく注いだという印象。これをいったいどうやって終わらせるつもりだ?と思ってどんどん読み進めることができた。小説としての面白さというより,ミステリのアイデア,プロットの面白さというイメージ

    〇 インパクト ★★★★★
     インパクトは十分。4つもの推理・真相があるだけでもインパクト抜群だが,見立て=エラリィ・クイーンの国名シリーズとか,2つ目の木更津裕也の推理による密室トリック=切断された他人の首がくっつき,死者が再生して密室を作ったというところがすごすぎる。最後に名探偵の推理をワトソン役が否定し,真相に... 続きを読む

  • 人里離れた古い洋館(蒼鴉城)に住む今鏡家で発生する連続殺人事件に名探偵の登場と、これでもかというくらい探偵小説のガジェットが満載のストーリー。
    木更津探偵の人物造形のためだろうか、作者の知識をひけらかすかのような難しい会話の連続は退屈な上に嫌悪感さえ感じる。名探偵役は、途中解決に失敗して山篭りするわ、代わりに登場する別の探偵は現実味のないキャラクターだわ、途中明かされる驚愕の密室トリックは非常識と、つっこみどころ満載です。そして木更津が解決したかに見せかけて衝撃の結末へ!まさに奇想天外なエピローグは驚愕の一言!賛否あると思うが、よくもこんなストーリーを考えたなと感心する。これが麻耶ワールドということか。

  • これが麻耶雄嵩のデビュー作か・・・。読んでなかった。
    (地勢的に)隔離された洋館での連続殺人事件に挑む探偵、と本格モノのセオリーを見事に踏襲している。
    しかし、物語の展開は間違いなく麻耶ワールド。
    探偵が途中で退出(山籠もり!?)し、次の探偵が現れ、元の探偵が戻って来たと思えば片方が殺された後にようやく解決編。しかし実は助手が全ての真相を解明していた・・・。
    こんなアクロバティックな展開は初めて。話は無理があるというより論理の展開だけで説得力はないが物語としては意外性の連続で本当に面白い。
    ただし、やたらと難しい言葉をちりばめた観念的な会話は却って消化不足で退屈なうえ、全く意味が無い。
    今の滑らかな作者の語り口からは想像がつかない。
    しかしこのレベルの作品を20代前半で書き上げていたのは驚異の一言に尽きる。

  • 麻耶雄嵩のデビュー作。後のシリーズである、木更津シリーズとメルカトルシリーズ、烏有シリーズの原点となる一冊。二人の探偵、西洋風の古城、黒死館殺人事件をオマージュしたミステリ。伏流として存在する「誰が主導権を勝ち取るか」というテーマも面白い。麻耶雄嵩の作風を凝縮した一冊。 http://x0raki.hatenablog.com/entry/tsubasaaruyami_mayayutaka

  • 元々かなり苦手に感じていた作家。
    だがミステリを読み進める内に、
    変化球にも耐性が出来たと思い
    改めてデビュー作品にチャレンジ。
    終盤まではいかにもオーソドックスな
    館ものといった雰囲気で、
    そこからどんな変化球が飛んでくるのか
    楽しみにしながら読めた。
    そして、後半は噂通りのトンデモ展開。
    そこから驚愕の真相。
    思わず何度も吹き出しながら、
    最後まで楽しむ事が出来た。
    最終的にはオールタイムベストに
    数えたくなる満足度だった。

  • 装飾品めいた諸々の要素に全く乗れないんだけど、どんな顔して読めばいいんだ。

    推理が二転三転するプロット自体、構造自体で勝負するのはデビューの時からなんだね。

    ここをスタートにシリーズを始めるってのが凄い。

  • 二転三転。え?なんで?どうして?と何度思っただろう。というかメルカトル…え?これでいいの?
    タイトルからも騙されてしまったかもしれない。メルカトルなんなの一体……。

    相変わらず作家さんに振り回されながら読んだ。
    猛スピード急カーブ急ブレーキ。車を降りたら酔いまくってる感じ。でも、やっぱりクセになる。

    で、メルカトルは一体…。(メルカトルシリーズがあるから余計気になる!読まなきゃ…!

  • 最後の4ページくらいでは?となるけれど、結果的にはスッキリした。それにしてもメルカトルさんにこんな形で出会ってしまったら他のやつ読みづらいな...

  • いろいろ盛りだくさんなお話。
    木更津の山籠りには驚かされた。それと、あやとりしたくなる。
    最終的に真実に辿り着いたのは香月実朝だけ……何かの講演会(?)のレポで香月は囁かれているわけでなく自分で推理していると知ったので、ほんと食えない人だと思う。

  • 間違いなく途中で誰もが「えええ!そりゃないわ!(笑)」となること間違いなし。このびっくり部分はおそらく推理小説界でもかなりの珍現象だと思うのでこれだけで読む価値がある。
    でも安心してください、まだ続きますよ。

    そして最後まで読み終わって改めて全体を振り返ると「それでもやっぱりないわ(笑)」となる小説である。

    以下かなりのネタバレ
    まず自分の母親に気づかないというのはないと思う。
    10年20年会ってなかったとしても畝傍と伊都は気づくと思う。
    色々と無理があって動機も斜め上だが雰囲気は良く楽しめた。

  • 読者を置き去りにし、遥か彼方へ
     デビュー作とは思えない。いや、やはりデビュー作もというべきか。館を訪れるとそこには首のない死体が。名探偵さえも手玉にとる、到達不可能?な連続殺人事件の真相とは・・・。
     豪華名探偵の共演と驚愕の推理は、本書の大きな見どころ。唖然としてしまった回数では、今年ナンバー1と言っていい。一方で、クラシックなどのマニアックなネタが多く読むのに苦労した。次々と死体を増やす無能な警察や、平然としている探偵達が受け付けない人もいるだろう。

  • メルカトル鮎が好きなので
    なかなか手を出せずにいた本。
    だって、最後の事件とか銘打たれてるし・・
    さよならしたくないよ、メルカトルー。みたいな。

    というわけで遅ればせながら読んだデビュー作。
    ちょっと長かった。
    でもすごく面白かった。
    最後のどんでん返しで、やっと全て納得!って感じで
    すっきり読み終われました。
    まあ、メルは・・うん・・。

  • 設定がここまでグローバルとは(笑)
    しかもメルカトル鮎ほぼ活躍しないままで終わるとは想像もしてませんでした(笑)
    ワトソンとホームズの立場も逆だし、色々と予想外の作品でした(笑)

  • 21歳のデビュー作としては中々上出来です!前半は少し退屈でした、悲劇君が登場したおかげで、一気に読み終えた。好都合の塊という点を除けば、どんでんどんでんテンポ良くて、踊れそうに良い読み心地だ!

  • 作者の処女作だが、私は先にメルカトルものの短編集を2つ読んでいる。
    読後投げつけたくなると一部で言われてるようだし、短編も短編なのでかなり斜に構えながら読んだが、短篇集に比べれば最後はちゃんと解決するのでモヤっと感はだいぶ薄いと思う。
    ちょっとトンデモ感はあるけど、最後の二転三転は凄かった。
    これが処女作というのは物凄いと思う。
    ただ、登場人物の会話や地の文で抽象的な部分や引用がかなりあるのでそこが少し読みづらいと感じたかな。

    ちなみに嫌いな人も結構いるらしいメルカトル鮎は個人的には気に入っていたので結構衝撃的だった。
    サブタイトルに名前出てる割に出番かなり少なめだし。
    最後あれだし…

  • 大昔に一度読んだことがある作品だが、サイン本を入手したので再読。ああ、こんな話だったなあと思い出にひたることもなく、すっかり内容を忘れていたので新鮮な気持ちで読了。
    重要部分はかろうじて覚えていたものの、一番肝心な部分を忘れていたので最後は普通に犯人とともに驚いたという。
    二転三転する謎、古典ともいうべき登場人物、そして何と言ってもメルカトルが良い。いま読んでも、メルカトルは、単純に見るとコントのような役割…。

  • 初めて読んだ時は展開に全くついていけなかった。読み直してもあまり変わらなかったけど。
    作者の意図した解決(?)は無限階梯のようだが、途中の特に穴の見られないメルカトルの解決が最後まで明確に否定されていないし、その後の解決が彼の解決の上に立てるとも思えなかった。
    後の作品での彼の無敵(無謬)ぶりがそれを補強しているようにも思えるが、逆にバイアスをかけているとも言えるかもしれない。
    まだ理解というか納得できていない作品です。

  • 面白いかどうかで言えば、間違いなく面白い。
    だけど、何もかもが狂ってる。
    読む価値はあると思う。

  • 十年ぶりに再読。

    やっぱり面白い!真犯人(?)はばっちり覚えていたが、事件のことはほとんど忘れていたので、新鮮な気持ちで楽しめた。
    人里離れた洋館で起った連続殺人事件の話で、後半の推理合戦が面白い。探偵たちの推理はどれもぶっ飛んでいてかつ魅力的なものばかりで、読んでいてわくわくする。

    十年前、初読の時にはまったく思わなかったけれど、登場人物の中でメルカトルが一番人間らしく感じた。他のシリーズ作品を読んだ後だからかな。

  • 初めて読んだ麻耶作品でデビュー作。
    なんでメルカトル最後の事件なんだろう…ってこういう事か!

    前半は文章を噛み砕きながらで読むのに結構時間がかかりました。
    どんでん返し満載でした。麻耶さんの作風が少しわかったような。
    なんじゃこりゃあと言いたくなるので最後まで気は抜けない!

  • 探偵二本立てはアレでしょ!などと思いつつもすっかり騙されまくりの舞台がえし。ちゃぶ台をひっくり返したい心境に。
    それでもこれでもか、これでもか!の展開にひっくり返されたのは私の方。
    やられました、面白かったです。

  • 麻耶さんデビュー作。

    なんかもう色々、予想外です。
    特にメルカトルが。。。笑

    少し詰め込みすぎて読むのが辛かったかな。
    結末は嫌いじゃないです。
    「麻耶っぽい」感じがだんだん掴めてきた。
    読むたび癖になる、気になる作家さんです。

  • 不可思議な密室と奇妙な死体からはじまる。
    名探偵は二人。
    衝撃的なトリックの解明があったり、
    名探偵が指摘する容疑者、それを否定する名探偵の推理合戦。
    しかし犯行は終わらない。
    そんな中ついに真実にたどりつく・・・。

    と、推理小説としての要素が盛りだくさん。
    有名小説のパロディとか知っているひとだけの楽しみもある。

    けれど途中で「ないわー」と声に出してしまった。
    そういった面白さがある。

  • 処女作とのことで、文章表現が・・・と、我慢するところはありましたが、
    人が次々と死んでいく怒濤の展開で、最後まで短時間で読むことができました。
    最初の作品で名探偵の「最後の事件」を描くなんて、作者の非凡さが発揮されている作品だと思います。
    偶然ですが、メルカトル出演作で、最後に読みました。
    彼の生い立ちや考えを少し垣間見ることができた気がするので、
    「メルカトルかく語りき」や「鴉」を再読したくなりました。

    「何か推理小説を読みたいな~」という方にはお勧めできないかもしれませんが、麻耶作品に興味を持っている!という人は読んだ方がよい作品だと思います。

  • とても面白かったです。古風な館で起こる異常な連続殺人。二転三転する結末はびっくりです……まあ、なんじゃこりゃ、という感じではありますが。

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