翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062632973

感想・レビュー・書評

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  • メルカトル鮎を読むなら、この本からだったのですね。短編から読んでしまったのですが、メルカトルのことは好きになったので、気を取り直して長編にチャレンジ!

  • 二人の名探偵の火花散る対決と書いてありますが、それぞれの出す推理が全ての謎を解き明かしていないため、推理を読みながらもこれから正しい推理が出るんじゃないかと考えながら読んでしまいました。

    ネットの書評を見るとこれはアンチミステリという部類に入る作品だと分かりました。
    そう言われて初めてこの作品を理解できたような気がします・・・。

  • 屋敷で起きた連続殺人
    頭部と胴体が切断された死体と密室トリック
    木更津とメルカトルの推理対決
    助手香月の恋愛パート

    激アツ要素が盛り沢山なのに読み終わる頃には何故か事件のトリックも犯人の動機もどうでも良くなってる不思議

    読み終わった人に質問なんですが
    ひさが双子に憤然とした口調で言った「ポン」ってこれどういう表現なんですか?

  • 一筋縄ではいかない著者の片鱗がうかがえるデビュー作だ。
    何しろ書き出しからして「翌日、私たちは今鏡家へと向かった。」って、何の翌日だよ前日に何があったんだよ説明しろやおい、とツッコミの一つも入れたくなったのは私だけではあるまい。
    さすがにずっとそんな調子というわけではないけれど、いい意味でアクの強さはあるので、多少強引な設定には目をつぶろうという気にはさせてくれる。

    京都近郊の古城で起こる密室殺人、首なし死体、見立て殺人、そして名探偵登場と、まるで金田一耕助の世界を再現しているかのような雰囲気だが、普通の作家だったらはまずやらないであろう意外性のある凝った展開の連続で、なんだかんだそれなりに楽しめた。
    本作に限らず、麻耶作品はいわゆる「本格」のフォーマットからのずれ具合に味があるのだけど、そのあたりにさほど思い入れもない読者にとっては割とどうでもよかったりするので、デビュー作にして広く浅くより狭く深く読まれることを狙っていたんだなあというのがよく分かった。
    もちろん著者の「本格」に対する並々ならぬこだわりがあるからこそできる芸当なんだけど。

    それにしても木更津はともかく、使い捨てキャラにしか見えなかったメルカトルも後の作品で再登場するとは驚きだ。
    もしかして本作の「あれ」は無かったことになっているのだろうか。このあたりのふてぶてしさも並の作家にはないものを感じる。

  • 私がミステリー小説を読む上で一番重要視しているのは、探偵を好きになれるかどうか。そしてそれは、事件をちゃんと解決に導くかという一点によりほとんど決まる。性格に難があってもまぁ許せる。だからこの本に登場する2人の探偵を私は好きになれない。何億分の一の確率で成立するかもしれないものをトリックと称する探偵って不自然だと思う…。あの人と犯人が対峙する最後のシーンにしても、くまなく読んでいても犯人の真の正体に辿り着ける読者なんているのかという疑問が拭えない。フェアじゃないよなぁと思う。
    この本はたぶんミステリー小説を相当な数読んできた人向けの本なんだと思う。私にはトリッキー過ぎた。

  • 色んな意味で衝撃を受けました。凄いとしか言いようがないです。
    第一部の木更津くんの推理が余りにも弱くて、最大の謎である地獄の門の密室を簡単に第三の鍵で片付けていいわけがないと最初すこしガッカリしましたが、そんな探偵を翻弄する犯人の狡猾さが凄まじい。探偵の敗北って、本格ミステリではなかなか味わえない(ただ私が出会ってないだけなのかも)ので、心が沸き立ちました。第二部でメルカトルが登場してからも事件は止まらず、混沌とするばかり。
    この「場」の雰囲気とメルカトルがマッチしすぎてゴシックホラーのような様相を呈しているのがまた良いです。
    短編でメルカトルを知っているだけに、結末には嘘でしょ? と叫びたくなりました。文字通り最後の事件になってしまって、残念。
    クイーンの国名シリーズの見立ては本当に良かった。日本樫鳥を加えるのはちょっと無理があるけど犯人霧絵の終わり方がとても綺麗だったので、最後のどんでん返しは少し複雑。ワトソンどころかモリアーティのようで、木更津くんが可哀想だなと。私の好みの問題なので、本当なら星五をつけたかったですが一つ減らしました。
    これを一番最初に読んで、残りの木更津シリーズ及びメルカトルシリーズをどういう気持ちで読めばいいのだろうとずっと考えてしまいます。

  • 探偵役がクルクルと入れ替わる終盤の展開が予想を裏切ってきてとても面白かった
    見立てや動機関連で聖書の知識があった方が読みやすかったであろう部分があった

  • 麻耶さんの本は既に何冊か読んでいたのですが、メルカトルシリーズは未読だったのでデビュー作でもある本書から読ませていただきました。

    矛盾していますが、予想していた通り予想外の展開の連続で、後半は正直驚き疲れました笑

    私如きでは手放しでこの作品をオススメすることはできませんが、間違いなく面白いです。

    シリーズの他の作品も読んでみたいと思います。

  •  木更津と香月、職業は火村英生と有栖川有栖、関係性は神津恭介と松下研三で木更津の推理力はホームズ、小説の雰囲気は横溝正史の金田一耕助シリーズ、読点の多い文体は太宰治の人間失格っぽいなと思いました。
     本格ばかりこれまで読んでいたので読み終わってすぐはなんだこれは、と思わず絶句してしまいましたがこれはこれで私のこれまでの推理小説の価値観をひっくり返されたのは良かったかなあと思っています。

  • いかにも怪しげな舞台や登場人物。探偵役のやたらと気取った態度。二転三転する推理。実現不可能とさえ思われる殺人方法。意外すぎてついていけない結末。これを楽しんで読めるためには日々の鍛練が必要と思わされた。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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