やがて哀しき外国語 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3179
感想 : 215
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062634373

作品紹介・あらすじ

初めてプリンストンを訪れたのは一九八四年の夏だった。F・スコット・フィッツジェラルドの母校を見ておきたかったからだが、その七年後、今度は大学に滞在することになった。二編の長編小説を書きあげることになったアメリカでの生活を、二年にわたり日本の読者に送り続けた十六通のプリンストン便り。

感想・レビュー・書評

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  • エッセイはあまり読まないのに、何故春樹氏のエッセイは何度も読んでしまうのだろうか?

    実家に帰ったときに本棚を覗いていて目に入ってきた「やがて哀しき外国語」何回も読んではずなのにどんな話だっけかな、今英語を勉強しているのに哀しくなってしまうと困るなと思い、持って帰って読む。

    そうだ、著者がアメリカで暮らしていたときに体験した、経験したことのエッセイだった。床屋の話は何度読んでも笑う。

    鋭い考察をわかりやすく説明し、たまに抜くところが、読んでいて楽しいし、疲れないんだろうなと思う。

    学生の頃はこれを読んでいて、私もいつか外国で暮したいなと思ったり、今回読んだ時はそうだよな、昔はそういう時代だったよな。懐かしいと思ったり。

  • ただの外国紀行エッセイではなく、村上さんの信念なり考えなりが十分に詰まったエッセイだった。「村上朝日堂」よりも真面目な感じがある。
    「元気な女の人たちについての考察」では、女が夫と離れて自分の仕事をして自立していることが良いこととされるのは少しめんどくさいなと思った。今のアメリカにはこんな考えはもうないのかもしれないが、女の自立を縛られすぎて夫の補佐をすることが変、または悪となってしまってな、自由を謳う国であるくせにそれほど自由な考えができないのだなと感じた。
    村上さんは、日本の小説をほとんど読んでこなかったと言っているがそれが今では日本を代表する小説家の1人になり、小説家を志望するたくさんの人々の憧れになっているのは面白いなと思った。

  • 村上春樹が90年代にアメリカで暮らした時のエッセイ。今と比べると、生活様式や人々の考え方がだいぶ違うんだと思うけど、今まであまり考えてこなかったアメリカ人の内面や日常が知れたみたいで、楽しかった。

    p49
    「お金? ああ、そういえば世の中にはお金みたいなものもありますね」

    という雰囲気とは・・・?

  • 村上春樹さんの作品は、「遠い太鼓」しか読んだことがなくて、この「やがて哀しき外国語」もエッセイだから、小説は読んだことなくて。わたしの中では、なんとなく特異な出会い方をした、特別な作家さん。
    なんで小説からじゃないの?と聞かれれば、それは、私の尊敬する方が選ぶ本10選のなかのひとつが、遠い太鼓だったから。ただ、それだけ。笑

    筆者のアメリカ留学エッセイなんだけれど、驕りとか自慢とかそういったものは一切感じなくて、淡々と、あるがまま起こるがままの出来事をオリジナリティのある言葉で表現されているな、という印象。ジャズ喫茶を経営していたくだりとか、そこから小説家になったくだりとか。これって、人によっては武勇伝にしたり人生を変えたキッカケみたいに話ししたりする内容だよね?っていうようなことも、さらっとまるで朝ごはんを食べている最中に言われるような何気ない感じで描かれていて。かっこいいおとな。

    基本的な考え方に共感することが多くて、読みやすかった。どこか諦めている人、ここまでだと限界を知っている人が好きだし、わたしもそうでありたいと思っている。逃げているのではなく、分かっているということ。

  • 自分が経験したアメリカ生活で見たこと、感じたことをぽろぽろ思い出しながら読んだ。
    本を置いた後も、ひとつの記憶からまた違う記憶も引っ張り出されて、忘れかけていたあの頃の思考が呼び戻される。忘れてたのではない。今の思考に大きく影響しているはずで、そう考えるようになった背景やきっかけを思い出してきた、というのに近い。

    それに加えて、細かな記憶も。私は癖のある毛質を持つので、やはり向こうで過ごした7年間、どの美容院へ行くか真剣に試行錯誤したなぁ、とか。
    クラスで、やたら女性にドメスティックなイメージを植え付けるような50年代のエンターテイメントに対して激しくpro/ conで議論していたのを引いた目で見ていたり。そこまで否定までせずとも、、

    あの頃の考え方まで、引っ張り出せるきっかけになるとは。
    良い読書だった。

  • 春樹さんのエッセイ大好きです。
    ブックオフで見つけて購入。
    春樹さんがアメリカで暮らしている頃、私もアメリカにホームステイしたことがあり、親近感を覚えました。
    あの頃は高校生で、アメリカの社会情勢がどのようになっているのか全然知らずに行っていましたが、今となって、そうだったのか~と気づくことが多々ありました。

  • F・スコット・フィッツジェラルドの母校プリンストン大学に招かれ、アメリカでの暮らしが始まった。独自の大学村スノビズム、スティーブン・キング的アメリカ郊外事情、本場でジャズについて思うこと、フェミニズムをめぐる考察、海外で深く悩まされる床屋問題――。『国境の南、太陽の西』と『ねじまき鳥クロニクル』を執筆した二年あまりをつづった、十六通のプリンストン便り。

  • (Mixiより, 2011年)
    自称、村上春樹ファンの自分は、よく好きな作家は?好きな本は?と聞かれると、「村上春樹なら大体読んでるよー」と答えている。この"大体"の意味する所の雑なこと。最近このエッセイを読んでない!と気づいて、「まだ読んでない春樹さんのエッセイがあったんだ・・・てか結構読んでないやつ多いぞ、、」ってことも判明。純粋に新鮮な気持ちでこれが読めて大変嬉しい。とにかく語り口のやさしさ、誰にも傷つけない感じ(後半、自分でも言及してるけど)が癖になる。こういう文章の上手さってまねしようにもできないよな、とつくづく感心。肩の力の抜き方が上手い。その中に、けっこう深い議論が含まれているのも印象的。日本人の性格を、「情報が、咀嚼に先行する」と表現したのは大変素晴らしい、言い得て妙だと思う。

  • 初めて村上春樹のエッセイを読んだ。
    海外に移り住んだからこそ見えた日本のこと、日本との違いのおかしさや難しさ、楽しさ、などなど色んなことが、村上春樹節で綴られていてとても面白かった。
    昔好きだったジャズの話やジャズ喫茶を経営したからこそ得られた知識や経験、外国語を学ぶに当たって感じた年齢という壁のこと…
    全てが私にとって未知の世界の話で、理解しきれなかったことばかりだと思いつつも、理解できたであろう2~3割の部分を、これからの生活に活かしていきたい。

  • 海外暮らしの人からの手紙を読んでるようだった。
    それはそれで楽しそうというかんじ。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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