- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062635370
作品紹介・あらすじ
瀬戸内の小島・葉名島の、児童わずか七人の小さな小学校にやって来た、大きな先生。病気が原因で口をきけなくなったこの先生では…、という声もあがる。数々の事件が起こるなかで、子供たちは逆に心の交流を深め、自然の大切さや人間の優しさについて学んでいく。柴田錬三郎賞に輝いた、涙と感動の名作。
感想・レビュー・書評
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子供の頃にかかった病気で話すことが出来ない「機関車先生」が、瀬戸内海の離島に臨時教師として招かれます。話せないながらも、その大きな体と優しい人柄で生徒たちの信頼を得て、島に欠くことの出来ない存在になっていきます。生徒たちの姿、島のゆったりと美しい空気が伝わってきます。
なのですが、何故機関車先生が皆の心をつかむのかがあまりピンとこないのです。優しくて運動神経万能、体が大きくて誰よりも力が強い。好まれる要素山盛りではあるのですが、心をつかまれるというのはそれ以外の要素があるはずだと思うのですが、機関車先生の魅力爆発みたいなエピソードが無いのが残念。みんななんとなく彼に引き込まれているというざっくりとした表現でしかないのであります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自然の大切さ、人との関わり。人間としての機微。様々なことを、事件を通じて学んでいく。その姿がなんとも清々しい。
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確かに「口をきかん先生だから、機関車先生」だが、物語の中で子どもたちは「機関車みたいに大きくて強いから、機関車先生!」と言っている。言葉を発することができないのを気にしているのは、大人たち・島に住んでいない人たちばかりだったように思う。
言葉を発することができなくても、たくさんのことを教えてくれる人。実際問題、手話や伝言板があるけれども、それ以上に真っ直ぐなハートで語る先生。誠吾っていう名前、いいね。誠心誠意ぶつかっていく人。
児童文学ではあるが、ファンタジーではない。現実に起こり得ることばかりを物語っている。現実の厳しさも物語っている。
ファンタジーな要素があるけれども、瀬戸内の話としては『ももへの手紙』も読んでほしい。瀬戸内、島の過疎をなんとかして・・・。 -
少し古いお話かと思いきや、全然色褪せていない夢中になれるお話でした。
話すことができない臨時教師の先生と子供達を中心とした島民との関わりのお話。
話すことができないだけで、機関車先生は物凄く有能な先生で、島民や読者の心を掴んでいきます。
人生に一度でもこんな先生に教えてもらえたら、最高にラッキーなんじゃないかと思いました。 -
悔しいのである。
珍しく通勤電車の中で読む本を忘れ、駅のコンビニの小さな本棚で見つけた本。伊集院静などという照れ臭い名前に辟易しながら買った本。強くて優しい先生と離島の小学生の交流、少女は先生に淡い恋心を抱き、網元は業突く張りで、その子分は先生を目の敵にしつつ、最期には感服してしまう。主人公の先生が子供の頃の病気の所為で口が聞けないことを除けば、これと言って目新しいものも無く、というよりなんだかメロドラマにでも良く出てきそうな通俗的筋書きの本。
しかし、一気読みでした。それがなんだか悔しいのです。
内容的にも文体面でも特に優れているとは感じませんでした。しかしなんとなく心地よく読ませてもらえた本でした。
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読んで良かった。子どもと接する職に就いてる身としては、同業者に読んでほしい本。
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最後は私の望みどおりにならなかったけど
とても良い作品でした なんか懐かしいほのぼのとした作品 -
口のきけない30歳の教師が離島の小学校にやってきて、生徒や島の人と交流する話。
戦後10年、瀬戸内の小さな島。 -
口を聞かんきかん機関先生、しゃべれなくても人間性の素晴らしさ、誠実さ、逞しさなどは子供にはちゃんと伝わって、周りの人からも慕われる。
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後書きで児童文学はただ喜ばせる物語ではなく、生きることとそれに伴う痛みから目を逸らさない勇気を分け与えること
と書いてあり、胸に刺さった。
確かに思いつく自分の好きな本はどれも自分に勇気を分けてくれていたな。