深川澪通り燈ともし頃 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062636094

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  • 深川澪通り木戸番小屋で17回泉鏡花文学賞受賞作品のシリーズ。江戸で五指に入る狂歌師となった、孤児の政吉。子供の頃は庇護者もなくかっぱらいで口をしのいだ。塩売りになり、客と喧嘩になった折に間に立って知り合いになった木戸番小屋の夫婦、お捨てと笑兵衛に文字を教えてもらうことに。それから作り出した狂歌で気持ちを歌にする喜びを得る。恋女房と所帯を持ち狂歌も腕を上げて本に。
    すれ違いから夫婦の気持ちは離れ、いつしか後戻りできない事態に。不幸が繰り返されるが、いつも笑顔で迎えてくれる木戸番小屋の夫婦が最後の砦。いつも暖かい気持ち良い場所に、期せずして足が自然に。。。このシリーズは群像劇。木戸番小屋の夫婦は常に表に出ないが、人々の心の拠り所となって小さな幸せを見守る。。。

  • 深川澪通り2作目。
    前作と変わって、中編2編収録。1話ごとの主人公は変わるけど、微妙に続いている。そういうところも、登場人物にリアリティを与えているのかな、と思う。
    ひとまず「めでたしめでたし」のそこで終わりじゃなく、人生は続いていくものなのだから。

    それにしても今作の、特に1話目は、悲しいお話。小さなボタンの掛け違いが、大きなひずみを生んで後戻りできなくなって。
    それが人生よ、って言われても、救いがないのは嫌です。

    わたしは明るいほうを見ていたい。
    ということで、☆2つです。

  • 深川澪通り木戸番小屋の2冊目は、悲しい話でした。
    1冊目は1つ1つの話に救いがありましたけど、2冊目の特に前半の話は悲しい話です。

    2冊目は中編が2作。2作が微妙に繋がってる感じです。

    孤児の塩売りから仕事でも狂歌師としても這い上がったけれど、全てを失ってしまう人の話。
    仕事に夢中になるあまり家庭を顧みなくなり奥さんに出て行かれるとか、その後知り合った女性とも最後の野心から二の足を踏むうちに時間がなくなってしまうとか、本当に好きだったから逃げてしまったと後から戻って来られても他の男と駆け落ちされたことが忘れられないとか、人の暮らしは江戸時代も今も同じみたいです。

    後半は、経済的には自立していて長年不倫をしている女性が自分の行く末に不安になりつつ、それでも自分の選んだ道に胸を張って見栄を張ろうとする話。
    夫がいても、子供がいても、友達がいても、結局最後は1人かもしれない、という不安も昔も今も変わらないようです。

  • 安定の作品です
    前後編のような2話の中編

  • 20130616 登場する人がみな一所懸命なので、読む方も体力がないとついていけない。引き込まれるのはドラマとして良くできてるからだと思う。

  • 絆の小説。

  • 再読了。

    連作長編二話。

    二話目の主人公、お若さんが素敵過ぎます。

    「お前も来年は十七だろ。姉ちゃん母子を養ったり、おみやと所帯をもとうとしたり、もう立派に一人前じゃないか。一人前なら、もっと見栄をお張り。姉ちゃんを吾兵衛さんにとられたのが口惜しくっても、姉ちゃんに甘ったれられなくって淋しくっても、そんなことは平気だって顔をおし。一人前の男が、それくらいの見栄を張れなくってどうするんだよ」

    十六のときに、こんなことを言ってくれるお若さんが・・、北原亞以子さんが身近にいたなら、わたしも一人前の男になれたかも知れませぬ。

  • 深川澪通り木戸番小屋の続き。主人公が2人でてくるが、短編としてでは無くて、ストーリーが続いている。木戸番小屋夫婦の温かい雰囲気に誰もが気を休めにやってくる。一人ぼっちの心情なんて、現代人に通じるものがある。

  • O2 深川澪通り木戸番
    狂歌のハマり、廼仕上がり全てを失う政吉の話。
    仕立屋として独り立ちしているお若は自分一人だけが一人身でいることを嘆き、周りは一人身で気軽なお若を羨ましがる。
    話では何年も過ぎ去って行くのに、変わらない木戸番夫婦がいい。

  • 江戸で五指に入る狂歌師となった政吉は、野心のあまり落ちこぼれて行くが、唯一救いの燈がともっていて...。幼い頃親を失ったお若は、腕のよい仕立屋になれたが、一人の心細さがつのる時は、まっすぐに深川澪通りに向って...。辛い者、淋しい者に、無条件に手をさしのべる木戸番夫婦を描く、傑作時代長編。

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著者プロフィール

作家

「2017年 『化土記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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