平安鎌倉史紀行 (講談社文庫)

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著者 : 宮脇俊三
  • 講談社 (1997年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062636605

平安鎌倉史紀行 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 『古代史紀行』に続く、「日本通史の旅」シリイズ第二弾であります。
    日本史の流れに沿ひ史跡や歴史上の人物のゆかりの地などを巡る企画で、今回は長岡京遷都から鎌倉幕府の滅亡までを辿ります。即ち『平安鎌倉史紀行』といふ訳。

    古代史では歴史と神話の境界線があやふやで、従つて素人も色色と妄想する愉しみがあつたのですが、平安鎌倉となると文献も揃ひ始め、歴史の形が次第にはつきりとしてきました。宮脇氏も、あまり気の進まぬ事件や好まぬ人物がゐるやうですが、さうも言つてをられず、せつせと現地へ向かひます。

    あくまでも歴史の流れ順に訪問する為、同じ場所に何度も足を運びます。一見無駄足のやうに見え、交通費も嵩むのですが、著者は何度も旅行出来て嬉しいと全く意に介さないのが愉快であります。
    なるべく鉄道やバスで移動したいと言ひながら、タクシーをやたらと駆使します。史跡巡りにはその方が便利だからですね。運転手から地元ならではの情報も仕入れる事もできます。

    日本史を繙くとどうしても京都が中心になりがちなところを(実際京都は何度も行つてゐますが)、少しでも変化を付けやうとする姿勢も読者思ひでよろしい。平泉・鎌倉・熊野・比叡山・水海道・日振島(愛媛県・藤原純友を巡る旅)・黒田庄・福原(神戸)・厳島・木曾宮ノ越・一ノ谷・壇ノ浦・美濃太田・永平寺等等。さすがに蒙古襲来の項では、モンゴルまでは行つてませんが。それにしてもこの蒙古軍といふのは、知れば知る程腹が立つのであります。某国なら千年恨みは忘れないと喚く事間違ひなしですな。

    武士が擡頭し、新田義貞軍が北条高時を追ひつめ、鎌倉幕府が滅亡したところで本書は一旦終ります。ああ早く続きを読みたい喃。日本史のおさらひにもなつて、まことに愉快な一冊となのでございます。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-700.html

  • 鉄道紀行作家、宮脇俊三のライフワークとなった「日本通史の旅」。本書はその2巻目に相当します。

    ある時は慈愛に満ち、またある時は冷酷な氏の筆致が冴え渡ります。歴史概説としても、旅行記としても楽しめますし、京都や鎌倉を幾度も訪れては辛抱強く史跡を巡る氏の姿勢には頭が下がります。

    鳥辺野や阿弖川など歴史の表舞台に現れない史跡を訪ね、庶民の悲哀を描こうとしているのも印象的。坂上田村麻呂や藤原純友に今なお好意を持つ地元の人々の姿を知ることが出来るのも、旅行記という体裁をとった本書の魅力の一つではないかと思います。

  • 歴史的遺構を時代順に追っていく紀行文。平家物語に詳しいのを思いだし、本棚から取り出した。壇之浦の悲劇の舞台を訪れ、安徳陵や平家の墓を巡る文章は傑作だと思う。平家物語本文の引用と静かな観察眼が哀れみをよく引き出している。その後鎌倉時代まで紀行は続くが、平家物語を辿る旅の方が文章に力がこもっているように感じた。

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