空夜 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.16
  • (6)
  • (8)
  • (53)
  • (8)
  • (0)
本棚登録 : 197
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062637473

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 帚木さんはこういう作品も書かれるんだなぁ。
    私は純愛物語と言っても良いと思う。

    叶わない恋、祝福されない恋も全力で落ちたいと思ったなぁ。

    俊子も真紀も夫と子供がありながら、別の人を好きになってしまう。
    俊子は欲望のままに達士との逢瀬を重ねる。真紀は想いを抑えながらも少しずつ慎一への気持ちを深めていく。
    最終的に二人の運命は対照的な結末となる。俊子は達士を不慮の事故で失う。真紀は慎一に想いを打ち明け、結ばれる。

    慎一への真紀の想いーー好きになってはいけない、けど寄りかかってしまいたい、もどかしさ。分かるなぁ。

    大人の純愛物語。

  • 恋愛小説です。そういった分野を好む人には良いかも知れません。帚木さんの文章が好きなので読んでる最中は結構熱中できるのですが、終わってしまうと何も残ってないような気がします。どうもこの手の恋愛小説は私には似合わないのでしょう。
    それと帚木作品に共通しているのですが、私にはどうも最後の一章が「くどい」感じがします。
    ちょっと生臭いかな。もっと将来の予感で終わった方がすっきりしたか・・・と。恋愛小説としての出来も、むしろ「賞の柩」の方が良いかも知れませ

  • 2000.01.01

  • 帚木蓬生らしい、季節の香りを感じさせる叙情的な物語。

  •  ちょっと前に、母が言いました。
     この人の本は、優しい本だね、と。

     その時まだ、一冊しか読んでなかったので、優しいのか、やさしくないのか、まったくもって区別が付かなかったんですが、今回これで、2冊目。
     ちょっとミステリーがかっているのかしら? と思ったら、結婚もして子供もいる奥様方の恋愛話。
     でもなんというか、自然とドロドロもしていなければ、濃くもない感じはしました。読後感はどちからというと、さっぱり……というか、落ち着くところに落ち着いたのかなあ……と思います。

     情念は情念なんだけど、理性的でないわけではない話なので、どろどろにはならなかったかなあ……と。
     後、多分、恋愛してる奥様がきっとピュアなんだろうな……と思います。
     個人的な一番の感想としては、分厚さの割りに薄かったなー……という。
     できればもうちょっとどろどろぐちゃぐちゃでもよかったのかもしれません。
     でもこれ、結婚してから読むと、きっとまた違う感慨を覚えるような気がするので、ちょっと読む時期を間違えた本のような気もしています。

  • ギャンブルにはまっている夫、女を作って家を空けている夫に愛想をつかした二人の女性の恋愛物語。

  • レビュー

  • 帚木さんには、珍しい恋愛小説。
    「千日紅の恋人」も恋愛小説だったけど、あれはすごくさわやかな恋愛小説だった。
    読後感も秋の澄んだ青空みたいな小説だったけど、「空夜」は、二組の不倫を描いている。
    私は、もともと恋愛小説は苦手だし、不倫となると絶対途中で「ケッ!」ってなってしまう。
    ところが、帚木さんが書くと、不倫の恋愛もなぜかす~っと読めてしまうから不思議。
    たぶん、人の気持ち、人間が、しっかり描かれているからだと思う。

    「人を好きになる」ことで、人は、違う人生を歩もうとする。
    あきらめて、投げやりになっていた人生をもう一度やり直そうとする。
    たしかになあ・・と思ったけど、どんなに深く愛し合って結婚しても、
    結婚生活は地味で平凡な繰り返しで、激しい気持ちもだんだん消えてゆくと思う。
    恋愛は、恋愛だけとして描かれるから美しいんだろうなあ・・。
    一組は相手の死で終わり、もう一組は成就する。
    でも、その50年後はどうなってるのだろう・・って私は思ってしまうのだけど(ーー;)

  • 帚木蓬生という作家は不思議。「水神」で遅く知ってファンになり、出世作「三たびの海峡」を読み、最近の「蠅の帝国」を読んだ後、この「空夜」「空山」という大人の静かな恋愛?小説と、時代をばらばらに読んだからか、ジャンルというものがない。どれもある種の重さと静けさを持った深い作品には違いない。
    九州の田舎を舞台にした大人の恋愛小説の形をとっているが、桜、菖蒲、櫨、蛍、薪能・・・と、四季それぞれの美しい情景や生活がゆっくりと静かに流れるように丁寧に描かれている。
    柴田錬三郎賞。

  • 不倫ものなんだろうけど、大人の純愛小説。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

帚木蓬生の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×