文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

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著者 : 京極夏彦
  • 講談社 (1998年9月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (630ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062638876

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文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  •  「面白い本に出会ったら、その著者のデビュー作を読みなさい。そこには著者の全てが詰まってるから」
     子供の頃、本を贈ってくれた伯父が、手紙に書き添えてくれた言葉です。
     本書は、作家・京極夏彦のデビュー作ですが、京極夏彦そして京極堂の魅力がぎっしり詰まった作品だと思います。

     元々、親父が『鉄鼠の檻』を読んでいたのがきっかけで京極堂シリーズと出会いました。
     確かそのとき、
     「それ、面白いの?」と聞いたところ、
     「むちゃくちゃ面白い」と親父が答え、
     「じゃ、読み終わったら貸して」と頼むと、
     「これ、シリーズもんやから、順番に読まんとあかんぞ」と言われました。
     で、調べてみたら、『姑獲鳥の夏』『魍魎の匣』『狂骨の夢』そして『鉄鼠の檻』と、目の前で親父が面白がって読んでいる作品に到達するまでには、アホみたいに分厚い三冊のノベルスを読破しなければならないと知り、愕然としたのを覚えています。
     が、読み始めたらどハマりしました。寝食こそ忘れませんでしたが、学校の勉強は全部忘れて読みふけったのを覚えています(ヲイ

     冒頭、京極堂と関君が、徳川家康とダイダラボッチを引き合いに、延々100頁にわたり実存について議論するところで、一気に京極ワールドに引き込まれました。
     冷静に考えれば、「これ、いつ話が始まるねん?」と思うところですが、そんなことを考えさせない筆致で、知的にスリリングな会話が続くので、貪るように読んだ記憶があります。

     いよいよ事件が始まっても、鬱々とした関君の視点から物語が語られるため、いつしか自分も関君の気持ちに感化されたのか、暗いモノトーンの世界で物語世界を見ていることに気づきました。
     二十か月以上も妊娠中の女性。記憶が見える超能力探偵・榎木津。そして、久遠寺涼子と関君の過去…話はどんどんややこしくなります。
     眩暈坂を登るところから話は始まりましたが、僕も読み進めるにつれ、そんな感じがしてきました(笑)。「これ、ちゃんと風呂敷たためるの?」と少し心配になりながら、読み進めたのを覚えています。

     が、最後、全ての憑き物を落とすため、黒装束に身を包んだ京極堂が出てきたとき、ここまで読んできた僕の、心の中に澱のように溜まった憑き物も一緒に落としてくれたように感じました。
     こんな訳のわからん事件の真相が、京極堂の説明を聞くにつれ、オセロが一気にひっくり返されるように、きれいに説明されていきます。「この世には不思議なことなど何も無いのだよ、関君」というセリフは、著者から自分に向けられた言葉のように刺さりました。人生で体験したことのないレベルの「アハ!体験」だったと思います…って、何かオセロだのアハ!体験だの、比喩がセコいですね…orz

     今更私なんぞがあれこれ書いても屋上屋を架すようなものですし、なるべく予備知識なく読んで欲しいのでモヤーッとした感想しか書けませんが、とにかく未読なら読んで下さい。というか、これ読んでないって時点で人生損してます!

  •  民俗学やら心理学やら、薀蓄満載でとても濃厚だった。その薀蓄が、ストーリーの前提になっているので、他のミステリーと比べて少し骨が折れるところはあるかもしれない。小説以外の本をあまり読みたがらないくせに知識だけはいろいろと欲しがる私としては、結構ありがたい作品だった。

     人間は自分の都合のいいように世界を認識する、というのはわかったけれど、登場人物のひとりひとりが作者の都合のいいように出来すぎている気がしないでもなかった。
     それでも、そのひとりひとりが持つ濃密な背景が複雑に絡み合って出来た巨大な謎が解き明かされていく様は、硬く閉じた蕾が少しずつ緩んで、大輪の蓮の花が咲くような、そんな絢爛さを感じた。

     連綿と続くミステリ小説の歴史の中でも、関口はアンリライアブル・ナレーターの際たるものだろう。彼がいるからこそミステリは生まれるが、逆に言えば彼さえいなければ(久遠寺家を訪問したのが榎木津と敦子だけだったら)、こんなこじれることなかったんじゃ……(笑)でもまあ、真実が白日の下にさらされるためには、京極堂のアレが必要だったわけか。。。

  • 再読
    読んだことを忘れてもう一度何も知らない状態で読み直したい、という本がいくつかあるけど、これもその一冊。
    初めて読んだ時の衝撃が忘れられない。

    途中までは長い講義があるけど、挫折しちゃだめ!中盤で混乱した頭が、最後には解されて整頓されてはあーっと溜息がでる、心臓がばくばくする本です。

  • aの林檎はbの林檎ではない、に再度なるほど。(2015.12.14)

    見たいものしか見ない、見えているのに見えないこと、あると思う。この世には不思議なことなど何もないのだよ(不思議なものはある。オカルトと解釈)、の台詞がとても好き。

  • 京極夏彦との出会いがこの本で良かったと心底思います。

  • 京極夏彦はこれが初めてだったが、これでハマった。
    主人公の京極堂がウンチクを話すところがあるが、このあたりはあまりハマらないようにしないと、疲れてしまう。
    予想できない結末や、京極堂の推理力がすごかったり、読んで損はなかった。
    ちなみに本の厚さは鈍器(笑)

  • 面白かった!

    怪奇ともチョット違うと思います。
    呪詛や陰陽師 それに科学的なこと

    摩訶不思議と理論的な洞察力が合体し、
    本を放すことができませんでした。

    複数の探偵役が登場しますが、京極堂は凄すぎる!

    この小説が初めて描いた作品だなんて…

  • 強烈 の一言。
    ウィキぺディアで「レンガ本」として言われるだけあり、なかなかに分厚いです。
    ですがこの分厚さが京極シリーズの始まりであったことを、後々に思い知らされるのです。

    読み終わった後は分厚さから来る重さで達成感を感じました。
    面白い。わかりやすい。

    後日、京極夏彦さんが「暇だからこれを書いた」という事実を知っておっかなびっくりでした。
    暇だから書いたものが、本になるってすごい。

  • この季節に最高のミステリー・ホラーですね。
     エアコンいりません(笑)
     京極夏彦さんのテーマとして
    「土着信仰」と「論理的な現代科学」と「人の心の不思議」を議論で戦わせ、
    ありえないことを「ありえる」と証明しながら、
    最後の最後は、やっぱりありえない世界にいく…という。
     いや、ありえそうだからありえない。
     ありえなさそうでありえる。
    だから、背筋がぞぞーっとなるのですよね。

  • ★4.0
    何故か夏に読みたくなる1冊で、もう何度目か分からないくらいの再読。蘊蓄を語らせると止まらない京極堂、見るもの全てに惑わされる関口、奇想天外・傍若無人な榎木津等、個々のキャラクターが本当に魅力的。そして、オカルトちっくな雰囲気を醸し出しながら、「この世に不思議なことはない」と現実的(時に強引)な解決を見せてくれるストーリー運びも個人的には大好き。骨壷の中の干菓子、塀の中の墓地、書斎の中の死体、その中にある対象を認識するまでの不安と、認識をしていても感知しない視覚。うん、やっぱり面白い!

  • 精神が乱れると百鬼夜行シリーズを読みたくなる。関口くんと自分が重なって、大丈夫大丈夫関口くんだって頑張ってるんだしって思うからかもしれない。
    民俗学から脳と精神の話からミステリから、とにかく情報量が半端ない小説なので自分の身の回りの雑多なことを忘れさせてくれるのもいい。

  • 「脳」は外界からの情報を処理し、それを「心」に向けて表現する。その舞台が「意識」である。

    心は常に何かで満たされなければならないような傲慢な観客なので、時に脳は処理落ちしたり、虚構と知りつつ都合の良い情景を心に見せることがある。それがユーレイ等の幻覚となって意識に現れる。

    こういう文学的だけれど論理的な独自の解釈が面白い。
    今後もシリーズを読み進めたい。

  • ページ数に尻込みするも、挑戦
    読んでみれば納得
    夢中になって読み耽った

  • かなり昔に図書館で借りて一気読みして、京極堂シリーズにはまるきっかけになった作品です。

    不思議な事など何もない。

    ミステリにおけるトリックの不思議さにとどまらず、世の中のいわゆる怪奇現象といったものにも、人の世の理を解いてキチンと説明を付けてしまう。

    特に、姑獲鳥の夏は、中でもかなりセンセーショナルな設定から入って、読者にとって衝撃的な真相に行き着くという、相当ヘビーな構成になっています。

    最高です。

    民俗学、脳科学、哲学など、あらゆる広範な知識と、
    魅力的なストーリーやキャラクタ。

    昔読んだ本の再読や、未読の本の制覇など、京極堂シリーズにもう一度飛び込みたい。

  • 圧倒的な蘊蓄と驚愕のラストが素晴らしい。
    何度もこういう結末じゃないかなを良い方向に裏切ってくれる。
    京極堂は探偵であり、古本屋であり、神主でもある。濃いよ。

  • 至上のミステリーだと思う。
    初めて読んだ時、こんな話しは読んだ事がない!
    と驚愕した。

    京極堂の憑き物落としなる名推理は素晴らしく、
    榎木津などの登場キャラの個性がまた面白い。
    一番好きな作家さんだと感じる。

  • 2015.1/29〜2/5。なかなか手を出せずに積んでいたが、ようやく読了。序盤の解説やらは少々斜め読み。半分を超えた辺りからページが進む進む。わくわくしながら読んだのは久しぶりかもしれない。

  • ノベルス版以来、約20年ぶりの再読。ミステリを含むあらゆるフィクションを忌避していた自分に小説の面白さを知らしめてくれた(まさに憑き物が落ちたかの如く!)記念碑的作品でもある。当時はあまりの面白さに頁を捲る手が止まらず一晩で読んでしまったので、今回は時間をかけて熟読玩味するつもりだったが、結局2日で読了。シリーズの最高傑作を問われれば迷わず次作『魍魎の匣』を挙げるが、読み手を物語に引き込む求心力はこっちのほうがずっと上。それは多分、これが語り手である関口自身の物語でもあるからだろう。あと榎木津サイコー。

  • 初めて読んだのは高校生の時でした。凄く分厚つくて飽きてしまうのかなと思ってましたが・・・サクサクと最後まで読んでました。いつしか、学校まで持っていくくらいハマってしまいました。設定がとても細かく、登場人物が本当に個性的で実際に会ってみたいと感じました。

  • こんな怪奇な話にどういう結着をつけるのか気になり、
    600ページ超あるのも気にならないくらい夢中で読んでしまった。
    ものすごい知識量を持って書かれているのがよくわかる。

    自分が見ていると思っている世界のなんと頼りないことか。
    心霊的なものじゃない部分でゾッとした。

  • 禁断の扉を開けてしまった気分です(笑)。

  • 最初の京極堂でのやりとりが結構長い上にだらだらしてたけど、事件が本格化してからは、面白く、楽しく読めました。
    死体がもともと床に転がっていたとか、事件の大きな原因になった人が行方不明だったりと、謎解きはちょっとどうかと思いましたが、キャラがたっていて、今後のシリーズに期待できました。
    詳しい紹介はこちら→http://monogatarigatari.blog.fc2.com/blog-entry-66.html

  • 京極夏彦という存在を今まで知らなかったことに悔やまざるを得ない
    それほどにこの本は衝撃だった、なにより京極堂の語りがツボすぎた

    長いし怖いけど、いろんな人に勧めたい

  • 京極夏彦の作品は豆腐小僧から2冊目です。始めの京極堂と関口の会話がとてつもなく長く、すこし難しいと感じ、馬鹿なわたしには辛かった。頑張ってゴリゴリ読み進めていくうちに慣れてくるけど。映画の魍魎の匣を見ていたので、主要登場人物は皆、役者さんの顔で読めました。

  • 僕には滅多にないことだが久しぶりに読み返した。
    人生において性格形成に大きく寄与する本というのはそうそうないと思うが、この本は僕の物事に対する考え方を大きく変えた本である。

    といってもいわゆる自己啓発を促すビジネス新書の類では決してない。ただのミステリー文庫なのであるが僕にとってはとっても深く考えさせられた本なのである。

    物事の一面的な見方しか出来なかった自分が多角的な視点で物事を考えようと決意し少なくとも短絡的な考え方はやめることになった本なのである。
    そして読み返してみた感想だが、やはり面白い本である。
    あらゆる物事に対する知的探究心はこの本に出てくる主人公、京極堂に見習いたいものである。

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文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)の作品紹介

この世には不思議なことなど何もないのだよ-古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。東京・雑司ケ谷の医院に奇怪な噂が流れる。娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)の単行本

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