冷たい密室と博士たち (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062645607

作品紹介・あらすじ

同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが…。究極の森ミステリィ第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • S&Mシリーズ第2弾です。
    『すべてがFになる』の衝撃の事件から1年後のお話。

    犀川助教授は、古い友人喜多助教授の研究施設へ低温度実験の見学に行く。
    西之園萌絵も同行し、氷点下20度での実験は問題なく行われた。
    その後、実験準備室で男女2名の遺体が発見される。
    普段鍵をかけないドアがロックされており、密室状態であった…。

    今回は犀川先生の友人が登場するので、やり取りが新鮮でした^ ^

    密室のトリックも安定の面白さ。

    「あそこから出れないからあっち回ってあー行ってあーなって…」と迷路のように考えてみましたが「それが可能だった犯人は?」となると思考が追いつかず、犀川先生のようにゾーンの極地に到達できません…w

    もちろんトリックも解けなければ、犯人も当たりませんでした(´>∀<`)ゝ

    先生は方程式を解くように犯人を求めていきます。
    散らばっていた謎を最後一つに収束させていく頭の中は一体どうなっているのか。
    探偵=作者ですもんね。
    森博嗣先生、素敵です(♥ω♥*)

    Twitterでも呟いたのですが、私の中での犀川先生の見た目が、落合陽一です。
    俳優じゃない所がまたwww
    イメージねっw

    • Kaniさん
      naonaonao16gさん、おはようございます( ´ ▽ ` )

      過去に会ったことのある知人…
      なるほど!
      私、身近な人や過去に会った人...
      naonaonao16gさん、おはようございます( ´ ▽ ` )

      過去に会ったことのある知人…
      なるほど!
      私、身近な人や過去に会った人は、なかなかイメージしないかも。

      犀川先生=大沢たかおもいいですねぇ(*´﹃`*)

      人によって湧いてくる映像が違うって、面白いですよね(^-^)
      そこも小説の素晴らしい所のひとつですね♪
      2022/04/16
    • naonaonao16gさん
      小説に出てくる人をどんな風にイメージするか、って面白いですよね!

      犀川先生は、大沢たかおからシュッとした感じを抜いた感じ、みたいなイメージ...
      小説に出てくる人をどんな風にイメージするか、って面白いですよね!

      犀川先生は、大沢たかおからシュッとした感じを抜いた感じ、みたいなイメージをしてました笑

      だからやはり映像より先に小説に触れといた方が想像力ってつきますよね。

      ドラマ化や映画化などで俳優さん決まると「イメージより若い!」って思うことがあるんですが、実際作品の中での年齢と近いことが多くて、自分が歳を重ねてるんだなぁ、とつくづく思います笑
      2022/04/16
    • Kaniさん
      naonaonao16gさん、おはようございますっ!

      映画化での俳優の違和感、分かります〜!

      ドラマでとっくに世に出ているのに、勝手にイ...
      naonaonao16gさん、おはようございますっ!

      映画化での俳優の違和感、分かります〜!

      ドラマでとっくに世に出ているのに、勝手にイメージ作っちゃって分裂してるのもあります。

      アガサ・クリスティの有名探偵「エルキュール・ポワロ」は、私の中ではきかんしゃトーマスの「トップハム・ハット卿」ですw

      「オリエント急行殺人事件」を映画館で観た時、ポワロ役のケネス・ブラナーがカッコ良すぎて、何の作品だっけ?ってなりましたw
      映画もとても大好きなので、別物として見ちゃいますね^ ^
      2022/04/17
  • S&Mシリーズ第2弾。
    大学の実験室で起きた密室殺人事件。
    犯人もトリックも見抜けなかったが面白かったなぁ。
    すべての謎が解けてひとつの真実にたどり着いたときの悲しみと充足感。
    そして、犀川と萌絵のふたりのやり取りも見どころ。
    所々、彼のさりげない台詞がカッコイイ。
    言葉のセンスが洒落てるんだよね。
    お互いに対する気持ちが見え隠れして少しくすぐったい。
    ふたりの今後も気になるなぁ。

  • 【萌絵でーす。】S&Mシリーズ第2作品目。読友さんのところに犯人仮説をあらかじめ記載済み。当たった!でもハズれた!共犯だったのか~このシリーズでも萌絵の魅力がどんどん引き立ってきた。極地研究所内で2人の大学院生が殺害される。さらにもう1体の白骨化遺体。犀川助教授と幼馴染みの喜多助教授が犯人を追う。しかし、いつの間にか萌絵が極地研で犯人と遭遇する。怪しい犯人は教員、大学院生、事務員。ラストに明かされる犯人たちの動機は怨恨。複雑な密室トリックに対し、犀川のキレが冴えわたっていた。次も萌絵の登場が楽しみ!

  • 今回も密室殺人で、しかも全員がアリバイがある。
    どうやってこのトリックを崩していくのかと読み進めていくけれども、主人公の犀川先生は全く動く気配なし。
    ほぼ最後の方まで関わりたくないスタンスを崩さないから、一体いつ解決に乗り出すんだろうとハラハラした。

    理系のミステリって、思考回路が本当に論理的で他の小説とは違うなぁと思った。
    犯人の心理を探ったりとかはせず、出てきた事実を並べて犯人とトリックを導き出してる。

    前作ほどエキセントリックではなかったけれど、とっても面白かった。

  • S&Mシリーズ二作目。前作の『すべてがFになる』もそうですが、本作も理系ミステリーの魅力爆発です。
    本作もある大学の研究室内で起きた密室殺人事件をテーマにしています。森博嗣先生のデビュー作『すべてがFになる』は、真賀田四季博士の存在が強烈すぎて密室殺人事件だったことをすっかり忘れていましたが(笑)。

    そもそも「理系ミステリー」って何なんでしょうか。
    ネットで調べると『理系ミステリーとは、題材やトリックに科学や生物学など、理科系の学問を使ったミステリー』となっています。理系ミステリーで有名なのはこの森博嗣先生の『すべてがFになる』に続くS&Mシリーズや東野圭吾先生のガリレオシリーズですね。
    実を言うとガリレオシリーズは『容疑者Xの献身』しか読んだことがないので、ガリレオシリーズが理系ミステリーだっていうのはあまりピンときてません←。
    本作を読んでみて、やっと、理系ミステリーとはなんぞやということが分かりましたw。

    通常のミステリーでは、殺人事件が起こって、刑事や探偵がやってきて、現場や被害者、被害者の家族や交友関係のことを調べていき、数々の参考人や目撃者から話を聞いて、犯人を見つけていくという流れになるかと思います。
    本書では、密室殺人事件が起こって、主人公の犀川先生や西之園萌絵が探偵役として事件を調べていきます。
    ここから通常のミステリーと理系ミステリーとの違いが分かれます。

    理系ミステリー(少なくとも本書の犀川先生の推理)は、警察でいうところの「鑑の捜査」をしないんですね。
    「鑑の捜査」とは、被害者の身辺調査や犯行動機の捜査や目撃者・参考人からの聴取やその場所の土地鑑を有する者なんかを捜査することです。

    犀川先生や西之園萌絵は、殺人事件の起こった状況から、
      この殺人を実行することが可能な人物は誰か?
    という命題だけで、捜査を進めていきます。
    この方法は、通常のミステリーしか読んだことがない人にとっては、とてつもなく限られた手がかりだけで捜査をしている様に感じます。
    例えるならば、算数の文章問題で

      ある大学の実験室の中でケンジロウ君が死んでいました。その奥の実験室ではタマコさんが死んでいました。二人とも背中にナイフが刺さっています。他の部屋には、大学の先生や他の学生がいました。この実験室は鍵がかかっていて、出入りするには特別な手続きをしなければなりません。この二人は誰に殺されたのでしょうか。なお、この二人とこの建物内にいた他の人々との間には特別な関係はないものとします。

    みたいな感じです。

    つまり、捜査の基本である被害者の身辺調査も詳細な鑑識活動も無しという状況で犯人を割り出していくのです。
    犀川先生の天才的な推理によって、現場の状況から犯人が誰であるかという問題を証明していく。
    そう、殺人事件の犯人は誰であるかを『証明していく』って言葉が一番この犀川先生の推理方法を語るときにしっくりくる言葉だと思います。

    結論的にいうと、本書、面白かったです。
    もちろん、犯人が割り出された後は、動機とかが解明されますが、それはあくまでおまけみたいなもの。犀川先生の『証明方法』を楽しむのがこのS&Mシリーズの醍醐味なんですね。

    そして、いちいち犀川先生の言葉が小気味良いんですよ。
    本書で僕が一番良かったと思った犀川先生のセリフは、「数学が何の役に立つのか」という答えに対して犀川先生の答え、

      『だいたい、役に立たないものの方が楽しいじゃないか。
      音楽だって、芸術だって、何の役にも立たない。
      最も役に立たないということが、数学が一番人間的で純粋な学問である証拠です。
      人間だけが役に立たないことを考えるんですからね。』

    うん、格好いい。萌絵じゃなくても犀川先生に惚れちゃいますね(笑)。

    犀川先生と西之園萌絵の恋愛の行方も楽しみですし、このS&Mシリーズはゆっくりと楽しんでいこうと思います。

    • くるたんさん
      こんにちは♪
      素晴らしいレビュー、今回もじっくりひきこまれました(⁎˃ᴗ˂⁎)
      私は理系ミステリというだけで鳥肌が立つんですが、なるほど!「...
      こんにちは♪
      素晴らしいレビュー、今回もじっくりひきこまれました(⁎˃ᴗ˂⁎)
      私は理系ミステリというだけで鳥肌が立つんですが、なるほど!「証明していく」ということなんですね♪その言葉でなんだか一気に心がふわっと軽くなりました♪
      ハードルが高く思っていたこのシリーズ、「証明していく」過程を楽しみながら、いつか、いつか…(笑)読んでみたいです✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
      2019/07/19
    • kazzu008さん
      くるたんさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます!
      今まであまり理系ミステリは読んだことがなく、しかも根っからの文系人間なのでコ...
      くるたんさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます!
      今まであまり理系ミステリは読んだことがなく、しかも根っからの文系人間なのでコンピュータプログラムを使ったトリックとかよく分からないのですが、森先生のミステリはそんな僕でも分かりやすかったです。

      「証明していく」っていうのも読みながら、思いついた言葉なので、もしくるたんさんのお役に立てたのならすごくうれしいです。
      このシリーズはもう20年以上前のシリーズなので、多少古さも感じますが、十分楽しめますよ。タイミングが合った時に、ぜひ読んでみてくださいね!
      2019/07/19
  • S&Mシリーズ2作目。

    今回読み返してみて思ったのが、
    この作品の影響を無意識に受けていたんだ
    ということ。

    人を待たせるのは人の時間を奪うこと、
    問題を解くことより出すことの方が難しいこと、
    この2点は特に今の私に根付いていて、
    犀川先生の受け売りだったことを思い出して
    びっくり。

    今作も前作同様、
    知的な会話を繰り広げていて楽しい。

    ただ、今作はいつものコンビS&Mだけでなく
    犀川の友人の喜多が出てくる。
    この犀川と喜多の会話もまた面白い。

    萌絵のときは教師然といった、
    どうしても上下の関係を感じさせるけれど、
    犀川と喜多は対等で会話が軽い。
    会話はかなり知的なのに少し少年っぽさすら感じる。
    それが新鮮でより楽しめた。

    印象的な台詞は
    「最も役に立たないということが、
    数学が一番人間的で純粋な学問である証拠です。」
    の部分。
    学生の頃、なんでこんな無駄なこと学ぶんだろうと
    考えていた自分が、ちょっと救われた感じ。

  • '23年3月1日、Amazon audibleで聴き終えました。S&Mシリーズ(と言うんでしたっけ?)、二作目。

    本作も、過去に何度か読んでますが…毎回、楽しめます。「F」と同様、大好きな作品です。

    audibleでは初体験でしたが…より、楽しめた感じです。audibleも、自分の好みにバシッとハマると、良いものですね。感謝!

    このシリーズ、全作品、聴いてしまいそう(⁠・⁠o⁠・⁠;⁠)

  • 1999年作品
    多分、昔に読んだ気がする。段々、思い出したような感覚だった。
    殺意にはそれなりの理由がある。共犯者の納得の理由がある。被害者も同情できない理由もある。
    犀川先生の人間らしい結婚願望や嫉妬があり、楽しめる。

    私はトリックをさほど重視しておらず、楽しめればそれでいい。
    微分方程式(ラプラス変換)
    フーリエ解析
    行列式・行列変換
    複素数関数
    ベクトル解析を知らずに、生きてこれたら幸せだったかもな?

  • 前作「F」の真賀田四季という人物があまりに人間離れしていたので少し身構えていましたが、今作は非常に人間味が溢れた人物が犯人であり、心情も理解しやすく少しビックリしました。とはいえ、肩透かしだったかというとそのようなことはなく、論理的に組み立てられたトリックが明かされる流れは非常に魅力的であり、大満足の一冊です。

    また、前作でも感じましたが、登場人物が非常に魅力的で素晴らしいですね。特に今回から登場した喜多先生は、犀川先生とは真逆の性格でありながら気のおけない友人であり、同レベルの高度なやりとりができる人物として、とても好きなキャラクターです。(途中まで犯人かも知れないと思っていたので、気が気じゃありませんでしたが…)おそらくシリーズのキーパーソンの一人だと思うので、今後の活躍が楽しみです。

  • S&Mシリーズ2作目。
    前作の「すべてがFになる」と比べるとインパクトに欠けるものの、王道のミステリィを楽しめた。
    犀川と萌絵のユーモアのある会話劇は今回も健在。ずっと会話シーン読んでいたい

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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