ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062645713

感想・レビュー・書評

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  • 今回も読みすすめる中で、自分の好みが分かって大変面白く読み進めた。

    以下、面白かった順に番号を振っている。

    ⑤『ブラジル蝶の謎』
    ④『妄想日記』
    ③『彼女か彼か』
    ⑥『鍵』
    ①『人喰いの滝』
    ②『蝶々がはばたく』

    やっぱり自分は島田荘司が好きなんだなと思いました。今回の短編集は「彼女か彼か」のような進め方も面白かったし、「蝶々がはばたく」のような消失トリックも面白かった。時代もあるのかもしれないが、当時読んでいたら面白さが違ったかも、と思う作品もちらほら。単純にいろんな作品に会えて読んでいて面白いので、国名シリーズは最後まで行こうと思います。

  • 火村・アリスのコンビが活躍する国名シリーズ第三弾。6篇収録のミステリ短編集。異国の蝶が天井を埋めた部屋で殺された男の事件に始まり、蝶々がはばたく祈りの物語で締めくくるというのがいい。一番好きなのは『人喰いの滝』。トリックよりも精霊流しが印象深かった。

    『ブラジル蝶の謎』
    美しい異国の蝶が天井を埋めた部屋で殺された男。なぜ蝶の標本は天井へと移されていたのか。殺害現場として不釣り合いな美しさを誇る部屋。その舞台の妙もさることながら、異国の蝶と犯罪、さらに火村の存在へと迫ってくる展開は鮮やか。ラストシーンの余韻がすごい。

    『妄想日記』
    焼死体で見つかった深山家の娘婿・宇田美彦。彼の妻は自殺。本人も交通事故の後遺症で言葉を話せなくなっていた。彼が遺した新作文字で書かれた日記の意味とは─。
    不可解な物品と焼死体の謎が解かれた時のゾクゾク感。意味がわかったら怖い話というか。言葉が話せなくても伝わるものはある。最後は思わず合掌してしまった。

    『彼女か彼か』
    女装趣味を持つヨウちゃんが殺された。遺産や男女トラブルの渦中にあったヨウちゃんを殺したのは誰か。オカマバーの蘭ちゃんの軽快なトークに始まり、容疑者たちの証言をつないで矛盾を暴く。当たり前のことが盲点になる面白さ。蘭ちゃんの快刀乱麻っぷりが楽しい。

    『鍵』
    別荘で主人の秘書が撲殺され、その近くには小さな鍵が。夫人は時を同じくして盗難に遭った宝石箱の鍵だと言う。それは殺人を解く鍵となりうるのか─。
    人を信頼するために人を束縛してしまうってやりがちだよね。それは人を信頼できない自分の弱さでしかないんだけど。いくら鍵をかけようとしても、人の心に鍵はかからない。

    『人喰いの滝』
    夏に起きた女優の川への転落死と、冬に起きた老人の崖下への転落死。女優を飲み込んだ「人喰いの滝」から真相を引きずり出せるのか。
    雪に残る足跡の謎は『スウェーデン館の謎』でもあったけど、今回はまた違った趣向で描いてくれる。その解き明かし方がお茶目というか、プロ顔負けで皮肉が効いてて好き。

    『蝶々がはばたく』
    電車にてアリスの隣に座った男性から聞いた35年前の友人たちの消失。足跡を残さぬまま蒸発した彼らをホームで見かけた男性の衝撃。彼らはいかにして消えたのか。
    まさに蝶というテーマを締めくくるにふさわしい一篇。運命は人を助ける奇跡も、人を襲う絶望も持っている。ぼくたちはただ、蝶々がはばたくのを願うことしかできない。

  • 読みやすい話だった。推理小説は楽して読みたいタイプだから、推理とかじゃなくて叙情重視の方が嬉しい。それにしてもタイトルの付け方が上手いなあ。

  • 作家アリスシリーズ6作目で、
    国名シリーズ3作目となる本作。
    発行は1996年。

    「ブラジル蝶の謎」
    「妄想日記」
    「彼女か彼か」
    「鍵」
    「人喰いの滝」
    「蝶々がはばたく」
    の6篇を収録。

    短編が溜まってきたから
    国名シリーズを出すことになったものの、
    肝心の国名がついたタイトルの作品がないことに気づき
    慌てて表題作を書いたという面白いエピソードも。
    蝶で始まり蝶で終わるタイトルも素敵です。

    個人的には
    色とりどりのアグリアスが美しく印象に残った
    「ブラジル蝶の謎」が好きでした。
    ラストには
    本シリーズ中に度々出てきては火村の闇を覗かせる
    例のセリフも出てきて、
    ゾクっとさせられました。

  • 国名シリーズの第三作目。本格ミステリの緻密な論理と、それから導かれる真相に驚かされる珠玉の短編集。表題作の『ブラジル蝶の謎』の派手な殺人現場と真相に驚いた。

  • 短編集なのでスケールは小さいがバラエティーに富んでおり、飽きずに読めた。

  • ・ブラジル蝶の謎
    タイトルにするほどの話ではなかったのでは…
    トリックというトリックでもなくただこっそり殺しに行ってこっそり電話握らせて…蝶もただの目眩し。
    動機も明かされないし正直なーんだって感じ。
    ・妄想日記
    疾患に関してちょっと専門的な内容。あの暗号日記わざわざ図が出てくるから何か意味があるのかと思ったらなかった笑
    最後1行が良かった。
    ・彼女か彼か
    犯人普通に予想ついた。でも語り口調で話進むのは面白かったな。
    ・鍵
    189pの1行目誤字かな。どの本でもそうだけど誤字脱字誤植見つけるとすごい気になっちゃう…
    しかも結局何の鍵かと思ったらまさかの貞操帯かい。ちょっとドン引き…茉莉も茉莉で何で大人しく従うんだ?それとも一郎が勝手に作ってただけでつけてはいなかったんかな…どっちにしても引くけど^^;
    ・人喰いの滝
    タイトルは凄くそそられるけどストーリーやトリックは割とあっさり。夜中の雪の中だから誰か来る可能性はかなり低いとはいえ見られたら一発アウトなトリックだな…
    ・蝶々がはばたく
    珍しく人が死なない笑
    逃亡に出た時に津波が足跡だけを消してくれるのは流石に都合良すぎだなと思ったけどたまにはこういう平和な謎解きもいいかも…?

    やっぱり長編ものと比べると全体的にあっさりしてて物足りない感は否めない。でもその分暇つぶしにさらっと読むには丁度いい^ ^


  • 火村有栖川コンビのお話はやっぱり長編の方が好きだけれど、短編もサクサク読めて良い〜
    そして火村先生の流石の推理

  • 長編よりも短編の方が好きです。火村とアリスの掛け合いが好きなので、短編だと二人が早く合流してくれるから。
    全作品おおっと思ったけど、私が一番好きなのは「鍵」!!!!
    何の鍵だろうな~と思ってたらまさかの結末で、うおおおって興奮してしまった。
    今回は全部好きな作品でした。へへへ。面白かった。

  • 火村英生シリーズ第六弾

    あとがきで筆者自身も書いている通り、蝶にサンドされた6編の短編集。
    確かに時代背景に“ん?”って思う所はあったけど、短編集と言う事で私はあまり気にならなかったかなぁ。


    相変わらずの火村先生の頭の中の抽斗の多さと思考にびっくり。
    最後のお話なんかは特にそうで、珍しく安楽椅子探偵物になっているのだけど、産まれてもいない時代の事をよく推理できるなと…
    と言うか砂浜に着いた足跡を消す=津波が起きたと言う発想になるのが純粋に凄い。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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