江戸忍法帖 山田風太郎忍法帖(8) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062645768

感想・レビュー・書評

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  • 権力を握ろうと画策する将軍家側用人・柳沢吉保が、邪魔者となる先代将軍家綱の御落胤・葵悠太郎を亡き者にすべく、手飼いの忍者甲賀七人を放つ!

    悠太郎を守ってきた忠臣3人が序盤であっさりとやられてしまい、悠太郎VS甲賀七人の不利な状況に追い込まれます。悠太郎一人でどうやって7人もの忍者達と戦うのかとハラハラする展開ですが、ここから大活躍するのは女達です。

    葵悠太郎という男が、前将軍の御落胤というやんごとなき立場でありながら、立身出世に興味がなく故郷の野山で暮らしたい、というのんびりした男です。
    しかし、こののんびりさは鷹揚さや器の大きさよりも、優柔不断で中途半端な印象を与え、強大な敵と戦うヒーローとしてはちょっと頼りない。
    この頼りなさを覆い隠し、ストーリーに迫力を持たせるのが彼に集う女達。
    道中で悠太郎と知り合った獅子舞の娘・お縫。
    吉保の養女でありながら悠太郎を愛した鮎姫。
    甲賀町を嫌い悠太郎に手を貸そうとするお志乃。
    甲賀七人衆の紅一点・葉月。

    エロさや戦いの迫力は忍法帖シリーズの中ではイマイチ…ですが、この女達がとにかく魅力的で悲恋映画を観ているようでした。
    最後の刑場での戦いは素晴らしいです。
    鮎姫とお縫の友情、悠太郎の未熟さと決意。葉月の薄絹が舞う場面は、映像化したらさぞ綺麗だろうと思いました。

    分かりやすい勧善懲悪もので、忍法帖シリーズでは珍しく希望のあるラスト。
    作者本人の評価は低いようですが、わたしはとってもおもしろかったです。

  • 以外、面白かった。
    エロが少ないのでちょっと・・・とは思って読んでいたが
    最後は結構一気読みしてしまった。

    忍者じゃない女性の活躍が読んでいて楽しく、鮎姫の最後には結構泣けます。



    ネタバレです。
    最後の最後に「ひかえおろう!このお方をどなたと心得る!!」登場。そういえば最初に出てきていたねぇ。

  • 楽しい時代劇
    あからさまに テレビ時代劇 水戸黄門 だった
    甲賀忍者の巻 だ
    野心を持つ大老の陰謀に使われた
    甲賀七忍
    七人の忍者の忍法が楽しい
    それを撃つ、主人公 葵悠太郎
    忍法に苦しみながらも、ひとりづつ倒して行く
    著者本人はこの物語りをB級以下の少年小説と評したそうだ
    水戸黄門が最後に、悪大老を締め上げて正義を庶民に示して終わるこの小説のヒューマニズムは、少年にも読んでほしいのかもしれないが実際に読むのは年寄りでしょう
    助さん格さんも登場するが、今回は ちょい役 だった
    まぁ忍法がメインの水戸黄門だから珍しいのかもしれないけど、やっぱり物足りなく感じる
    山田風太郎の別の本を読んでみよう

  • 解説にあるとおり、少年小説みたい。エロもすくない。女は誰一人としてやられない。忍法は地味。忍者多数対一人の活躍は伊賀忍法帖と同じだが、伊賀の方が面白かった。
    鮎姫が可愛い。山風のかく無鉄砲なじゃじゃ馬キャラはかわいい。ラストの小塚原突入でなかなか悠太郎が吹っ切れないせいでイマイチのりきれなかった。

  • 話は面白いのだが、意外と主人公が弱い。
    超絶スーパー剣豪かと思いきや、サブキャラよりちょっと
    だけ強いというだけでちと残念。

  • 鮎姫可愛いよ。鮎姫。
    筆者が『B級にも満たない作品』と評したらしい一作。
    なるほど確かに、他の山田作品に比べ情念と言うかパワーと言うか、そういう熱量はあまり感じられなかったかな。
    と言うのもやっぱり悠太郎の振る舞いが影響してると思う。
    べらぼうに強い訳でもなく、一貫した強い思念がある訳でもなく・・・
    ちょっと読んでいて爽快感を得られない部分はあったかな。
    お縫に鮎姫に敵方である葉月に、女性登場人物が軒並み印象深い立ち位置であるがゆえ、尚更。
    とは言えあくまでも『忍法帖シリーズ』という期待感が高いせいでもあるけどね。柳生と比べちゃったりするから。

  • 3月10日読了

  • 2011年6月読了

    主人公より女が活躍する、角兵衛獅子の娘がくのいちばりの体術と度胸、敵を葬り去る。姫様お鮎に翻弄される悠太郎は、柳生忍法帖の十兵衛を思い出す。

    忍法帖にしては爽やかなラスト、虚無感に落とされることなくホっと安心できる。

  • クライマックスはとても盛り上がる。勧善懲悪なラストが小気味よいがあまり山風らしくないかも。

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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