地下鉄に乗って (講談社文庫)

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著者 : 浅田次郎
  • 講談社 (1999年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062645973

地下鉄に乗って (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは三十年前の風景。ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。だが封印された“過去”に行ったため…。思わず涙がこぼれ落ちる感動の浅田ワールド。吉川英治文学新人賞に輝く名作。

  • 『大人の童話作家』浅田次郎の初期作品。地下鉄という“地の中を走る電車”は景色も大きな変化のない、ある種の不思議な雰囲気を上手に使って現在と過去を繋ぐタイムマシンとして扱っている点が興味を引く。主人公は反目する父親の過去をタイムスリップを繰り返しながら知ることで時代と富こそ違え、父と全く同じ生方をしていることを思い知らされる。主人公の愛人であるみち子の存在と、彼女の“決意”こそは妻子ある主人公が父から受け継いだ血故の『引き継いだ業であり罪』ならば、それを残酷と言えるのだろうか。まさに大人の男の説話といえる。

  •  タイムスリップというと、SFチックな物語を想像してしまいがちだが、浅田次郎さんという類まれな作家の手にかかると、渋い邦画のような味わいを醸し出すから不思議だ… 

     冒頭の掴みから、常に予想すらさせない展開で、タイムスリップのメカニズムに疑問を感じる余地が与えられなかった。このような設定でしが描けない世界観があり、私が大好きな池井戸潤さんの『BT’63』は、この作品のオマージュとして書かれたのでは?と思う程であった。

     物語をじっくり味わいたいという気持ちと、早く結末を知りたいという衝動を、常に闘わせながら読まなければならなかった。優れた作品は、読んで楽しいだけではなく、読者に人生を問いかけてきたり、示唆を与えてくれたりするところがある。この『地下鉄に乗って』は、まるで「あなたにとって人生とは、家族とは何ですか」と訊いてきているようだった。

     主人公である真次の人生は波乱に満ちており、多くの読者の人生とは隔たりがあると思うが、読了後は、自分の過ぎ去った人生と父、母、妻との関係とをメトロに乗って確かめに行きたくなることだろう。

     続いて『鉄道員』を読み始めたが、これもいいなぁ~

  • なんで、不倫していることが、堂々としていて
    まかり通っているのだろうか。。
    もう、こういうのは刑事罰にしてほしい。
    と思う、私の個人的な気持ちは抜きにして・・・・

    タイムトリップをしながら父を知る。
    ファンタジーなお話と言えばいいのだろうけれど
    戦争というのは
    どの人にとっても、悪でしかない。
    結局、誰も幸せにならないじゃないか!という気がした。

    女は添えもので、女は意志を持たず、
    女の気持ちは男が左右する、というこの時代が
    とても哀しい。
    そして、つくづく女は強く、男は女々しい。
    結局、暴力でしか自己を主張できないなんて。

    男の人には非常に都合のいい話だったと思う。
    書き手の年齢を思うと頷ける気もするけれど。

    みち子が消えてしまうのなら、
    その代わりにと言ってはいけないのかもしれないけれど
    お兄さんに生きていてほしかった。

    敢えての個人的な気持ちは、戦争の話が絡むのは、ダメだぁ。
    つらかったぁ。

  • アムールが父だったことには流石、と思わず感心してしまった。流石浅田と言うべきか、物語へ入り込めた。過去と現在を行き来する真次やみち子、その話を聞かされる家族の困惑や好奇心がひしひしと伝わってくる。
    しかしながら、まさかの終着点、事実には呆然。いくらなんでも悲しい、寂しすぎる。
    忘れられるとかの話ではなく、存在の抹消。誰も知らない存在。それはあまりにも。
    結局誰が幸せになれたんだろう、誰か幸せになれたのだろうか。
    シュールでロマンティックで非現実的で切ない、そんな物語だ。

  • 3回目の再読。
    本書を読んでまず感じたのが・・・ちょっと本の内容と違うんだけど、読み手側の環境や状況の変化によって、感じることも変化するんだなぁ~っていうことでした。
    この本から私は浅田小説ファンになりました。
    当時好きだったモデルのMASAKOさん(だっけ?)が雑誌ですすめていたんです。
    地下鉄の古い路線を舞台に、そこをタイムスリップの入口にするのもナイスアイディアと思います。

    ワンマンな父親に反抗し、確執を持ち、そんな主人公がタイムスリップして自分の知らない父親に会う。そして自分の知らない父親の違う面を見ます。
    でもなぜ?急にそういうことが起きるのか?
    そこに秘められた悲しい結末。
    最初に読んだ時はクライマックスがあまりにも衝撃的に感じ、すごかったぁ!という思いしかなかったんです。
    で、今回読んで・・・主人公のへんにポジティブさっていうか、あんなすごいことがあったのに淡々とし、それでも明日はくるんだーみたいな部分がちょっと鼻につくというか・・・。
    私が主人公ならきっと狂いそうになるくらい嘆くのではないかな~って思います。
    (ん・・・これは女性側の視点なのかな?)
    それと、あのアムールがどうしてこうも変わってしまったのか?というところもちょっと疑問に思ったり。
    本書はもっと長く書いて欲しかったなぁ~と今回は思いました。

    自分をこの世から自らの手を使って消してしまったみち子があわれに感じます。
    いくら『愛』のためとは言え・・・。自己犠牲できるほど愛していたんだろうけど。
    私は「I love me」だからきっと無理><

    それでも、やっぱり好きな本には変わりません^^
    たしか、この作品はTVのスペシャルドラマになったんじゃなかったかな?
    主演が佐藤浩市さんと常盤貴子さんだったような・・・ちがったかなぁ~
    観たはずなんだけど、本より感動しなかったことは覚えています。
    浅田氏の作品って、視覚どーんとくる感動じゃなくて、ジワジワとくる読書からの感動の方が絶対いいと思うなぁ~。

  • 浅田次郎さんの本を読んでいると、なんの変哲もない文章なのにパズルをはめていくような気持ちよさを味わいますね!だいすきだー

    ラスト、というよりもそれまでの旅が素敵で素敵で。
    浅田さんの描く男の人は本当に格好よいです。薄汚れた服の中身は粋で健康的で、読む側も前向きで爽やかな気持ちになります。
    大好きですが他の浅田作品との兼ね合いで星よっつ!

  • SFというよりヒューマンドラマに重きを置いた作品だが、それでもタイムスリップの設定の雑さが気になった。
    リアルタイムであの時代を体感してきた世代にとってはノスタルジーが感じられてより良いのだろう。
    そういった思いを抱けなかった自分でも、ここに描かれる親子愛、愛人との絡みはとても切なく感じられた。

  • ちょっと切ないなぁ。でも、さすがの内容。読みやすいし。

  • まさに地下鉄に乗ったらタイムスリップしてしまう話。しかし行ったら行ったきりではありません。何回も現在と過去を、地下鉄を通じて行ったり来たりするのです。現在と過去の移動手段である「地下鉄」が、車両に限らず駅構内への出入口だったりするのが面白いですね。地上へ出たら昭和の風景だったりとか。

    この、場面が短い章ごとに入れ替わるの、浅田氏の『日輪の遺産』でもそうでしたが、場面転換が多くて若干読むのに疲れます。何だか気分が落ち着かないと言うか。でもまあ「次は一体どの時代に行くんだろう」とわくわくする感じはあるかな。

    読後の感想としては、何だかもっとこう、切ないながらも心が温まる話を想像していたんですが、そうでもなかったな……という印象です。父と息子の確執の氷解を期待していたら、あっそういう話ではなかったのね~という。そこも重要な部分なんですが、男女の関係のところにも同じくらいかそれ以上の焦点が当てられていました。
    SFというよりはファンタジーっぽい話でした。

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