- Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062645973
感想・レビュー・書評
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郷愁なのかな。メトロ愛とともに古い時代を思い起こしてのタイムスリップ。あちこちにちりばめられた点が少しずつ繋がっていきながら物語は思いもよらぬ展開へ。みち子の一途さがたまらない。悲しみや苦しみを封印しながら過去との葛藤を垣間見ることができた主人公は幸せだったのだろうか。
辛くても運命に抗うことのできない切ない物語。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりの浅田次郎。そうそう彼らしい世界観。メトロへの愛を感じる。昔の日本を垣間見れて興味深い。
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小さな衣料会社に勤める営業マンの真次。大会社の社長で家族を思いやらない父に反発して、兄は高校時代に自殺。真次も大学時代に家を出て、それから父親とは縁を絶っている。
そんなある日、地下鉄の出口から外に出ると、いつもの風景とは変わっている。
兄が自殺した直前にタイムトリップしていたのだ。
それから続く数回のタイムトリップで、どんどん昔に遡っていき、父の過去や兄の自殺の真相を知ることになる。
このタイムトリップは何なのか?
おそらく、何者かの意志なのだろう。
意志には理由がなくっちゃいけない。
理由があるからには、結果がある。
お話の最後に怒涛のように描かれる理由と結果は、とても悲しく辛いものだけれど、なぜだか後味の悪いものではない。
家族の愛とか、パートナーへの愛とか、生き残っていくための強さとしたたかさとか…。
東京の地下鉄は迷路のように入り組んでいるけれど、他の人の感情や生きてきた歴史にたどり着くのは、地下鉄を迷いながらも乗り継いでいくようなものなのかもしれない。 -
1995年吉川英治文学新人賞受賞作で今秋映画化された作品です。「反目し合う父と息子の根底に流れる愛情の発露」の過程をタイムトリップミステリ形式で描いた力作で、いつの時代にも幾多の文学を通して訴求し続けられてきた永遠の主題を、トリックの目新しさではなく悲劇と引替えに主人公の希望に繋がる構図を用いて鮮やかに示した、予想外に爽快な読後感の得られる一冊でした。これまでも浅田次郎の作品は巷間話題にのぼったものは一通り読んで来ましたが、本作は他と異なり古書店に持ち込むのがためらわれる一冊でした
「もし自分の半生が一冊のグラフ誌に綴じこまれるとしたら、その場面は間違いなく見開きのグラビアを飾るにちがいない」
・・・そんなシーンを果たして幾つ思い出すことが出来るであろうか -
2018/12 5冊目(2018年通算152冊目)。映画化もされた本作。話は所謂、昔と今の時代を行ったり来たりするファンタジーもの。ただ、読み進めていくうちに色々な伏線が見えてきて、最後にはなるほど!という感想が出るほど。これはぜひ映像化されたものも見てみたいと思った。併せて、この作者の他の作品も読んでみたいなと思うので今後さがしていきたいと思う。感想はこんなところです。
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父との喧嘩の後自殺した兄の命日に地下鉄構内から過去へタイムスリップしてしまった真次。
そこで若かりし頃の父に出会い、自分の知らなかった父の姿や真実を知っていく。
中高年なら戦後の荒んだ光景やこんな古い父親像も知識として理解できるけれど、今の若い人達には想像も出来ない別世界なのではないでしょうか。
大嫌いな父だって死にもの狂いで生きていた。そして明かされる残酷な真実。
やるせない気持ちになりました。 -
時空を超えて自分の身の回りの人物と会う。ぐいぐいと読み進められる作品。タイムマシンに乗ることはできないが、自分の身の回りの人の過去の話を聞き、擬似的なタイムマシンに乗ってみたい。
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浅田次郎のシリアスもの、地下鉄好きにはたまらない、戦後描写有り、ただ正直ラストは好きじゃない、
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昭和の雰囲気が味わえるのはおもしろいと思ったけど、都合のいいようにどんどんタイムスリップするのがなんだかな・・・。