笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 10151
感想 : 840
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  • Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062646147

作品紹介・あらすじ

偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、2つの死体が発見され…。犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。超絶の森ミステリィ第3弾。

感想・レビュー・書評

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  • アメリカ出張のお供に、S&Mシリーズを全巻Kindleにて購入。本シリーズを久しぶりに読みましたが、本作はシンプルでテンポの良いお話だったのかなと思います。

    主人公たちが今回立ち向かう謎は消失トリック。天才数学者から与えられた謎を解き明かそうとする中で、遺産相続をめぐり、殺人事件が起こってしまうというストーリー。

    刊行された当時からすると結構、斬新な印象を受けるトリックだったのかなとも思いますが、現代のさまざまなミステリーのことを考えると、割とトリック自体は珍しくはないように感じました。

  • S&Mシリーズ第3弾。
    天才数学者の住む館で起きた殺人事件。
    犀川助教授と萌絵のコンビが挑む。
    相変わらず彼のセンスある洒落た台詞がかっこいい。
    ふたりの恋の進展も気になりつつ…
    オリオン像が消えた謎。白骨死体の正体。
    今回の事件のトリックはわかりやすかった。
    自分でも館の図面からもしかして…と予想できたほど。
    ただ、白骨死体の正体は三人のうち誰なのか…犀川が出した結論が合っているのか分からないまま…
    「中と外はどうやって決めるの?」の問いに「君が決めるんだ」とお爺さんは答える。
    きっとこれが答えに繋がるんだろうな、と思ったものの…
    結局誰だったんだろ~

  • S&Mシリーズ第3弾!

    すごいよねぇ(*˘ー˘*).。.:*♡
    計算され尽くしていて素晴らしい。

    超安定の面白さ!!!



    嬉しいのは、星が出てくる.☆.。.:*・°
    プラネタリウムが出てくるっ⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝

    オリオン座をモチーフにした『三ツ星館』
    その庭に建つオリオン像。

    なんて素敵♡
    住みたい!!

    天才数学者博士がこの館の地下に住んでいるのですが、館を設計したのは博士の息子。
    天才一家です。

    犀川先生と萌絵が到着した夜、オリオン像の下に死体が。

    2人は事件を解いていきます。

    私のイメージだと、犀川先生は(めっちゃタバコ吸う)落合陽一です♡(^▽^;).。oO(オコラナイデネ)

    現代はタバコを吸う人が少ないので、ここまでスパスパしてると新鮮です笑

    犀川先生はタバコを吸ってる時に本領を発揮します。
    心拍数の増加がいいのかな。

    萌絵との関係も見どころのひとつ。

    私の想像では、萌絵は可愛いキャラなのですが、先生とのやり取りでたまに色気を感じます。
    お洒落だなぁと思ったシーンもしばしば。

    ーーーーー

    「いいものもってるの」萌絵はそう言って、ジャンパのポケットに手を突っ込み、煙草を取り出した。そして、素早く一本を口にくわえて火をつける。犀川は呆気にとられて何も言えなかった。
    「どうぞ、先生」
    彼女は自分で一口吸い込んだあと、煙草を犀川の口に運んだ。
    それは、犀川が今一番欲しかったものだった。(本文より)

    (ここで次の節に切り替わります)

    ーーーーー

    くぅ〜( *˙˙*)たまらんですね。
    ピンチを潜り抜けた後の萌絵の行動なんですが、犀川先生が押され気味なの、すごくいい♡

    メインの謎が本格的なのはもちろんなのですが、先生や博士の考える独自の解釈が面白い。

    ーーーーー

    「自分以外の存在に何かの影響を及ぼすとしたら、それは思考によってであり、そして、自分の存在を確認する作業によってだ。その思考運動が、外界を定義し、同時に自らの存在を認識させる。それが、君たちの言葉でいう社会であり、社会を動かしているものの本質だ。たとえば、人間は呼吸しなければ生きられないが、呼吸するものがすべて人間の歴史に関るわけではない。呼吸することは、歴史とは無関係だ。呼吸をしていることが、生きていることと同義ではないという意味だ。しかし、毎日何をしているのか、と問われれば、 呼吸をしていると答えるより、他にない」(本文より)

    ーーーーー

    萌絵が博士に「毎日何をなさっていらっしゃるのですか?」との質問への回答だ。

    面白い。
    思わず付箋貼りましたよ(*´艸`)
    はい。毎日呼吸してます。
    天才に迂闊に質問できないですね…笑

    私は、どんな小説を読んでいても、こんなちょっとしたやりとりが好きな部分だったりする。
    多ければ多いほど感情移入の度合いが強かったりする。
    この作品ではないですが「この情報、いる〜?」っていうような遊びごごろがある小説も大好き(≧∀≦)

    とにかく、細かく挙げるときりがないほどの魅力が沢山詰まったシリーズである。

    森博嗣作品、まだ読破してない事を嬉しく思う‪(*∩´꒳`∩*)

    これからも少しずつ読んで、死ぬまでには読破するぞ!!(このセリフ、死亡フラグじゃありませんように…( ≖ᴗ≖​))ふふ…

    おもしろいので、超おすすめです!!❀.(*´▽`*)❀.




    • Kさん
      Kaniさんこんばんは。

      Kaniさんのご感想に大共感すぎて、勢いでコメント書いてしまいました!

      私もS&Mシリーズ今読んでいます。
      小...
      Kaniさんこんばんは。

      Kaniさんのご感想に大共感すぎて、勢いでコメント書いてしまいました!

      私もS&Mシリーズ今読んでいます。
      小さなパズルピースが繊細に計算されて配置されている感じがたまりませんね!今後の萌絵ちゃんと先生の関係も気になるところです。

      小説のちょっとしたやりとりが好き……すごく分かります!特にS&Mシリーズは、細かいお気に入りポイントが多すぎて、ブクログのフレーズ機能で記録する手が止まりません笑

      Kaniさんの続きのご感想も楽しみにしております!
      2023/03/20
    • Kaniさん
      Kさん、コメントありがとうございます❀.(*´▽`*)❀.

      共感…⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝
      ありがとうございます!
      めちゃく...
      Kさん、コメントありがとうございます❀.(*´▽`*)❀.

      共感…⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝
      ありがとうございます!
      めちゃくちゃ嬉しいです(*´▽`*)

      このシリーズ、面白いですよね〜!
      ミステリも面白いし、先生と萌絵も考え方が面白いし。
      計算され尽くしていて、それらが全て回収される爽快感。
      素晴らしいです。・:+°
      読んだ後「好き!」って実感します笑

      ゆっくり味わいながら読みたいですね!
      共に楽しみましょうヽ(´▽`)ノ♡
      2023/03/21
  • 僕のライフワークでもあるこのS&Mシリーズをはじめとする森博嗣先生の各シリーズに登場する謎の天才女性科学者『真賀田四季(シキ・マガタ)』を追うというチャレンジ・シリーズ。まだS&Mシリーズの3作品目ですが、本書も理系ミステリーの魅力バクハツでした。本書には真賀田博士は出てこないけど・・・。

    そう言えば、本書から小説の書きぶりが今の森博嗣先生の書きぶりになって読みやすくなっていますね。つまり、文章で改行が多用されたり、会話シーンが多くなっていたり、状況説明や環境説明が少なくなっているということです。森博嗣先生の処女作でS&Mシリーズの記念すべき第1作『すべてがFになる』や前作の『冷たい密室と博士たち』はページにびっしり字が書いてあって読むのに時間がかかりましたが、本作はサクサク読むことができます。

    本書のあらすじですが・・・
    希代の数学者である天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティーに天王寺博士の孫のつてで招待された本シリーズの主人公、犀川創平助教授と大学生の西之園萌絵。パーティーの席上、博士は庭に設置されている大きなオリオン像を消してみせる。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、パーティーに招待されていた天王寺博士の家族二人の遺体が発見される・・・
    という感じです。

    本書のオリオン像のトリックについては序盤の方で大体分かってしまい、ちょっと犀川先生が気づくの遅いかなと思いましたが、やはり、犀川先生が自分の空間の中に入って、完全に事件の謎を解き明かすところは格好いいです。
    そして犀川先生が犯人を名指しした後で
      「動機?そんなものは知らない」
    と言い放ち、関係者を唖然とさせるところが、このS&M理系ミステリーシリーズの醍醐味ですよね。
    つまり『理系ミステリー』とは「ハウダニット(どうやったか?)」「フーダニット(誰がやったか?)」だけを追求し、ミステリー解明の三大要素の一つである「ホワイダニット(なぜやったか?)」を完全に無視するところにその本質があるのです(←適当)。

    また本書での読みどころは、謎解きもさることながら、やはり、犀川先生と西之園萌絵との恋の行方でしょう。
    今回は以前にも増して萌絵ちゃんの犀川先生に対する『好き好き攻撃』が激しい(笑)。
    犀川先生も萌絵の気持ちを正確に理解しているところはちょっと驚き(笑)ですが、まあ、13歳も年下で小学生の頃から知っている女の子が自分に憧れてる気持ちって、解らんでもないですね。
    ただ、萌絵ちゃんももう21歳だしね。いつまでも子供扱いするのもかわいそうな気もします。
    さりとて34歳にもなる助教授が、二十歳そこそこの学生に手を出したなんていうと世間体も悪いしねぇ。犀川先生も悩みどころです(笑)。

    森博嗣先生の作品には必ず素晴らしい名言がちりばめられていますが、今回も犀川先生、格好いいことをずばっと言ってくれています。
    『教育~教育というものが概念として存在するとすれば~』についてです。
      『人間は自分の生き様をみせること以外に、他人に教えることなど、何もないのだ。
      一般に使われている教育という言葉は、ありもしない幻想でしかない。』
    うん。格好いいですね。
    しかも、これが実際、教育者(犀川先生も作者の森博嗣先生も)の言葉なのですから(笑)。

    という訳で、話は戻って、ラストの萌絵ちゃんからの犀川先生への謎解きには、困ったもんです。
    YESと答えてもNoと答えても、どちらにしても『萌絵得』ですもの(笑)。
    まあ、僕だったらそうですね~。
    「おでこにチュウ」くらいで勘弁しておくか。って、クラリスとルパンのラストシーンかっていうのっ←

  • シリーズ3作目。「定義するものが存在する」というテーマに沿ったトリックと犯人像に鳥肌立ちまくり。ラストの展開には呆然としました。余韻がすごすぎ。私たちが見ていたのは、本当に博士自身だったのだろうか…。公園にいたのが本物の博士…??

     「君が決めるんだ」

    このシリーズは、本当に「天才」という存在の書き方が上手いですね。真賀田四季ほどとは言わないですが、天王寺博士が醸し出す「理解できない領域にいる天才像」にゾクゾクしっぱなしでした。今後の作品でいったいどんな魅力的な天才が登場するのか、楽しみに読んでいきたいと思います。


  • S&Mシリーズ3作目。
    相変わらず面白い。
    何度読んでも面白い。

    今作は1作目のように天才が出てくる。
    天才数学者との会話がまた知的で楽しい。

    共通しているのは
    1作目の天才真賀田博士も
    今作の天才天王寺博士も
    会話の無駄を徹底的に省く。
    天王寺博士の「不定だ」発言連発が爽快。

    今作はS&Mの最後のやりとりも良い。
    完全にラブストーリー。
    事件のトリックより何より
    萌絵からの難題に気づいて、
    一番真剣に取り組む犀川がまた好きになった。

    でも実は犀川助教授のクリスマスに対する考え方が
    一番印象的。
    私の中で犀川と言ったら、これというくらい。

    「十二月二十五日だから、1、2、2、5の数を
    全部足すとちょうど10になる、
    というくらいの印象しかない。」
    まず足してみようと思わない…
    と、初めて読んだときの衝撃が忘れられない。

  • 天才数学者が住む館で起こった殺人事件。
    数学者の出題する問題と、殺人現場の謎を犀川先生が解決する。
    今回の事件は犀川先生も結構積極的に動いていたし、萌絵はより大胆になっていってて面白かった。

    消失トリックは簡単に思ったけれど、岡目八目かもなぁ。
    もしその場にいてトリックを見せられたらきっと分からなかったんじゃないかなとも思う。
    犯人も見当がつきやすい。
    それでもやっぱり事件の謎を詳らかにしていく犀川先生は格好いいし面白い!
    萌絵との仲もちょっとずつ進展してて、次ぎの巻も楽しみ。

  • '23年3月4日、Amazon audibleで、聴き終えました。S&Mシリーズ、三作目。以前も、読んでるはずだけど…内容はあまり記憶に無かったです。

    でも、像消失のトリックは、すぐにわかりました。なので、ウッスラとは、記憶があったのかな?
    まあ、面白かったけど…作者の碩学、衒学ぶりが、ちょっと鼻についたかな…各章のタイトルが、「格好つけすぎ!」と感じました。僕の、やっかみ?

    でも…知的(?)好奇心を刺激する、面白い小説だと思いました。

  • 数学的な言葉たちが、事件のキーワードとしても人生・人間関係のキーワードとしても光る、犀川&萌絵シリーズ第3作!

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    天才数学者・天王寺翔蔵博士の住む三ツ星館。
    そこで開かれるパーティーに参加することになった犀川助教授とお嬢様大学生・萌絵。

    その席で天王寺博士は、館の庭にあるオリオン像を消してみせる。

    そして、再び出現したオリオン像の下には、死体が転がっていた…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    前作にあたるシリーズ第2作「冷たい密室と博士たち」は、ゆったりした話運びで、衝撃的なエピソードも少なめのお話だったため、正直なところ、失速気味のようにもうつりました。

    ところが、第3作「笑わない数学者」は、最初から最後までコンスタントに情報がもたらされたため、程よいスピード感がありました。
    またそれらの情報が、さらに読み手の推理をかきたててくれ、とても面白かったです。
    結局のところ、わたしが推理した内容はことごとく外れ(苦笑)、最後に「こ、これは当たってるだろう?!」と思った渾身の推理も、読み手に解釈を委ねられた形で物語は幕を閉じました。

    「定義があれば、存在する」(460ページ)
    「ねえ、どっちが中なの?」(中略)「君が決めるんだ」(479ページ)

    こうした数学的なセリフが、事件のからくりやラストシーンと絶妙に呼応していて、非常に気持ちよく読みきれました。
    最後に残った謎は、読み手の想像に任されたものの、それはけして後味の悪い任され方ではありませんでした。
    「定義すれば、存在する」という物語全体を貫くキーワードが、物語だけでなく人生を別の角度から考えるためのキーワードにも見え、おもしろい言葉に出会えたなと思いました。


    「これは最高に難問だ。
    (解けたことにしようか…、とけなかったかことにしようか…)」(474ページ)

    これだけ読むとなんてことはない文章かもしれませんが、この言葉が書かれているエピソードを読むと、犀川と萌絵の関係性をあらわす上で、この学問的な言葉がニクイ演出となっているのがわかります。
    数学的な言葉たちが、事件にも読み手の人生にも、こんなにも効いてくるなんて…驚きを通りこして悔しくなってしまうくらい、おもしろい物語でした。

  • 再読。

    今となっては、結構散見されるトリックたけれど初めて読んだときは思いもつかなかったことを思い出す。
    ただ、安定の面白さで飽きることなく読了。
    複雑な人間関係は事をややこしくする。人に言えない秘密は多く抱えるものではない。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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