倒錯の死角 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062646901

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。
    折原一さんの叙述トリックが好きだ。
    最初は丁寧にじわじわと、後半はスピード感、そして登場人物と共に狂う感覚を体験できるのが好き。
    本書の登場人物にアルコール中毒者がいたので、余計狂った。
    以前読んだ「倒錯のロンド」でのわけ分からない読後感が忘れられなく、今回も楽しく読んだ。

    内容は、ある男が部屋の窓から、向かいのアパート201号室の女性を見てしまう。かつての覗き趣味が暴走しそうだ、ああどうしよう、取り返しのつかないことになりそうだ、あの淫乱女を追い出さねば〜とエスカレートしていく。これがベースなのかな。

    書き方がうまいなぁ。まず構成から凝っている。
    プロローグ:脱稿直前
    第一部:発症前
    インタールード
    第二部:発症後
    エピローグ:脱稿直後
    …この章題にしたって誰視点なのだろう?と考えると、もう狂わされている。
    「〜〜〜という話でした(完)」というある若い男の“創作”なのか、それとも“真実”なのかよく分からない終わり方。
    これでいい。もういい。折原さんの小説は読み直しはしないって決めてるw
    わけ分からないレビューでごめんなさい。

    • かなさん
      なおなおさん、こんばんは!
      私も折原一さんの作品が以前から好きです(*^-^*)
      きっかけは、何気なく学生時代に読んだ
      折原一さんの作...
      なおなおさん、こんばんは!
      私も折原一さんの作品が以前から好きです(*^-^*)
      きっかけは、何気なく学生時代に読んだ
      折原一さんの作品…
      でも、覚えてないんですよねぇ…
      何を読んだのか、思い出せない!
      けど、激しく面白くって
      衝撃を受けたことだけは覚えてるんですよね。
      いつか、その時の作品を思い出せて
      読めるといいんですけどね(^-^;
      2023/07/24
    • なおなおさん
      かなさん、コメントをありがとうございます。
      かなさんも折原さんがお好きなんて嬉しいです。
      叙述トリックが好きで、調べると折原一さんがオススメ...
      かなさん、コメントをありがとうございます。
      かなさんも折原さんがお好きなんて嬉しいです。
      叙述トリックが好きで、調べると折原一さんがオススメと出てくるんですよね。それが読み始めたきっかけでした。
      激しく面白いですよね。頭こんがらがりますよね〜^^;
      2023/07/24
  • 折原一=叙述トリック 
    皆様騙されたくて読むのですよね?私もその一員

    多人称視点で複雑に絡み合う言動/行動が
    後半300頁位に違和感を感じだし、「ここからか!?」とワクワク感を覚える。快感

    叙述トリック、一度脳が覚えるとこの感覚を欲すようになる。良いのか悪いのか、最高のエンタメです

  • 折原マジック!
    素直に騙されましたー!
    きちんと種明かししてくれるのも嬉しい。
    その種明かしも意外な人物に語らせる(そして折原さんを感じさせる)のも面白い。
    そしてオチの不気味さ。ぞくっとしますねー!

  • いやぁ、夏の読書にふさわしい、ぞっとするお話だった。
    折原さんの倒錯シリーズ2冊目、こっちも凝ってるなぁ。おかしいと思ってからは読む手が止まらず。
    気づいたものもあったけど、大体は騙されるよこれは。絶対序盤に出てきたアレでしょ!と思ったけど違ったー。シュッって…
    最後まで読んでも理解できない所が途中にあったけど、真相があれだと謎のままだな…。

    袋とじの部分はあそこからなの?

  • のぞきがテーマの折原作品。折原一さんの登場人物は何かしら性的な嗜好が偏っているので、読んでいて飽きない。のぞきをする男とのぞかれる女の手記で淡々と話を進めていくが、終盤につれて若干文面が…。そして最後の見事な叙述トリック!さすがです!
    小説で袋とじなんて初めてで興奮しました笑

  •  いやあ、面白かった!ページをめくる手が止まらないというのはこういうことを言うんだろうか。この著者は初めて読んだが、今まで読んでなかったことを深く後悔するとともに、今後読める楽しみが増えた。
     覗く男と覗かれる女という、少し淫靡な世界感に食指をそそられ、そこに覗く男に恨みを持つコソ泥も入ったあたりから、一気に物語に引き込まれる。
     また、袋とじを破き、その先を読み進めていくと、またこれまでと違った顔が現れる。二度美味しい小説である。
     この物語には様々な狂った人物が登場するが、一番狂っているのは○○かもしれない。

  •  アルコール中毒の翻訳家・大沢芳男の家から見えるのは、新社会人・清水真弓の部屋。毎晩その部屋をこっそり覗き見る大沢、見られていることを感じながら日記をつけ続ける真弓。それぞれの覗き・覗かれる様子が交互に書かれて物語はすすんでいく。そんな中、アルコールのせいでとんでもないことが・・・!

     なんと袋とじがある、この本(@@)結末部分はハサミを入れないと見ることができない。そこまでして作者が隠した、この物語全体に隠された二重にも三重にもなっているトリック。またしてもやられた。

  • ロンドに比べ見かけることの少ない死角の方です。 折原氏お得意の複数人視点に日記視点を交えた非常にトリッキーに作りになってます。

    日記を用いた時系列の誤認と母と娘のよる清水真弓の二人一役の叙述トリックである。
    正直どちらもトリックとしては大掛かりすぎて中々飲み込みにくいものだろう。 というか通り魔するなら早々に大沢か高野も殺してしまいそうなものだが。 中々面白かったのは曽根の見た骨を埋めるシーンの誤認だが、結局は大沢の幻想という狂気的なトリックでこそ成立するので評価は難しい。
     最終的には曽根が一番まともで読者の気持ちを代弁するような存在になる。 それぐらい本作にはまともな人間がいなかった。

  • 読む前から、途中から袋とじになってるのは気がついてたので、めちゃくちゃこの袋とじに重大な何かが眠ってるはず!!!!!

    と、期待しまくって読んでたので、ぶっちゃけ期待ほどはびっくりしなかった。笑

    いや。今の今までいろんな本でびっくりさせられてたからかもなぁ?20年前の本だもの、その間にありとあらゆるびっくり小説出てきちゃうよね。

    面白いには面白いんだけどね。

    湊かなえのように三人の視点が交差して話が進む、往復書簡のような形式もあり、断片的にそれぞれの思惑が交差するのは面白いんだが。

    ちょっと拍子抜けはあるかなぁ?

    ただ、どんな展開が待ってるか!!!!!!って半分まではめちゃくちゃワクワクする一冊です。

    袋とじは。

    袋で閉じなくてよかったんじゃないかなーと思うくらいでした。笑笑
    いや。それがまた興味をそそるのかな?

  • マミちゃん…そういうことだったか…
    視点が入れ替わりながら進んでいく構成なので、何らかのトリックが使われていると予想してはいたが、母親が娘に成りすましていたのは予想外だった。

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著者プロフィール

埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者を経て1988年に『五つの棺』でデビュー。1995年『沈黙の教室』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。叙述トリックを駆使した本格ミステリーには定評がある。『倒錯のロンド』『倒錯の死角』『倒錯の帰結』など「倒錯」シリーズのほか『叔母殺人事件』『叔父殺人事件』『模倣密室』『被告A』『黙の部屋』『冤罪者』『侵入者 自称小説家』『赤い森』『タイムカプセル』『クラスルーム』『グランドマンション』など著書多数。

「2021年 『倒錯のロンド 完成版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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