失楽園(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062647793

作品紹介・あらすじ

凛子と久木はお互いに家庭を持つ身でありながら、真剣に深く愛し合ってゆく。己れの心に従い、育んだ“絶対愛”を純粋に貫こうとする2人。その行きつく先にあるものは……。人間が「楽園」から追放された理由である“性愛=エロス”を徹底的に求め合う男女を描き、人間とは何かを問うた、渡辺文学の最高傑作!


二人が育んだ絶対愛
久木と凛子は己れの心に従い永遠に愛をとどめようとした!大反響を集めた注目の文芸大作

凛子と久木はお互いに家庭を持つ身でありながら、真剣に深く愛し合ってゆく。己れの心に従い、育んだ“絶対愛”を純粋に貫こうとする2人。その行きつく先にあるものは……。人間が「楽園」から追放された理由である“性愛=エロス”を徹底的に求め合う男女を描き、人間とは何かを問うた、渡辺文学の最高傑作!

感想・レビュー・書評

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  • あの名作を再読。

    性の規制緩和とか、今読んでも爆笑表現が満載。

    上巻の最後、栃木から帰れなかった日。
    お昼前に東京について、そのまま仕事にもいかずに
    ダラダラと部屋で過ごして、何となく夜の10時になってしまうという
    一日がいつの間にか終わる感覚、ここは好きだ。

  • ……。

    初っ端から情事のシーン!??

    濃厚な描写続きで、最初からお腹いっぱいになってしまいました。



    回想で二人の出会いの話が出てきたと思えば、すぐにまた情事のシーン。



    上巻はほぼ「逢って情事に至る」ということしか書いてない。

    ・女性の方が性の快楽が強い

    ・俺が女を快楽に導いた

    ・けど、男は結局女の奴隷になり果てている。

    etc



    延々と性行為に関するあれこれしか書いてない。

    時々、会社の人に会って仕事の話をしたりはするけど、それ以外は逢って情事。

    彼女の父親の葬儀も終わってすぐに呼び出してやりまくる。



    喪服でやるのがよかったらしく、次は赤い襦袢でやるんだと。

    盛りのついたオスの事しか書いてない。


  • 不倫もの。日経新聞連載だったらしく「おじさんの妄想する不倫」って感じで、ぎりぎり読める官能小説。「女体の神秘を思う」「女は「やめて」と叫びながらも諦めたように…◯◯は熱く燃え…」こういう小説があるから女性の身体と性をいいように誤解する人がいるのでは…勝手に久木がムラムラしてやってるだけじゃないか、それを愛と開き直ってるだけじゃないかと思う…
    それはそれとして、不倫がテーマのものは、錦繍など生理的に受け付けない上に後ろめたさやこっそりしている感じが嫌いで全然読めないんだけど、逆にこれはすがすがしく、華厳の滝、夜桜の下の野天風呂、薪能、緋の襦袢、鯛の兜焼きと蕗の和物など、小道具として出てくるものがしっとりしていて美しく、読めるか読めないか、で言うとついついさっくり読んでしまいます。

  • 阿部定事件のif版といった趣。
    親の葬式直後に無理やり呼び出して性交をしたりする精神的な鬼畜。閑職といいながら仕事もせずに高収入を得ている点については羨望。

  • 溺れるほど、自らの日常を破壊する程に堕ちていく二人。男女の恋愛における絶頂期には、このような状況が訪れる。しかし、それとは異なるのは、この恋愛が、世間一般からは許されぬ、不倫だからである。

    学生時代、講義を受けず、朝から晩まで恋人と情事に耽り、このままで大丈夫だろうかと不安になる感覚。堕ちるだけ堕ちて、退廃的な自らの生活に少しだけナルシシズムを感じるような。それでも愛おしく、こんな時間が永遠に続くことを願い。しかし、それは過去の話で、自分は当時とは違う日常に身を置いている。

    小説が齎す疑似体験により、この感覚を味わえるとすれば、この物語は、青春を想起するきっかけとなる。その一点だけでも、本著はオススメできるのである。

  • こんなに強く惹き合う相手が世の中に居る人は幸せだと思う。

  • 出版社に勤める久木祥一郎は、53歳で出世コースから脱落し、閑職に回されてしまいます。そんな彼が、37歳で書をたしなむ松原凜子と出会って男女の仲となり、そのまま二人はおたがいの身体に溺れていきます。

    久木は凜子を、二度にわたって鎌倉への旅行にさそい、身体をかさねます。さらに久木は、凜子の書の授賞式にもすがたを見せて、逢瀬をたのしみます。

    そんなある日、久木は凜子と連絡がとれなくなります。凜子の夫が二人の関係に気づいたのかもしれないと考えた久木ですが、その後凜子から、彼女の父が亡くなったことを聞かされます。しかし久木は、彼女の身体が欲しいという欲望に抗うことができず、彼女を呼び出して喪服姿の凜子とセックスします。

    年が明け、二人はまたしてもおたがいの身体を求めあいます。凜子は久木と会うたびに、快感の上限を更新する体験をあじわわされ、彼によって自分が変えられてしまったことを責めます。しかしそれは久木も同じでした。凜子の誕生日に、二人は中禅寺湖のホテルで一夜を過ごしますが、大雪のために東京へ帰ることができなくなります。二人はともに、家庭を捨ててでも一緒にいたいと願います。

    本書がベスト・セラーになった頃、「ただの官能小説だ」という批判があったようですが、官能小説としてはかなり贅沢な作品だと思います。源氏と六条御息所は下半身の相性が悪かったという談義などは、「文学」のほうから見れば噴飯ものなのかもしれませんが、こうしたスノッブな演出を利かせた官能小説というのは、けっこう需要があるのではないかという気がします。

  • 1997年(平成9年)第1位
    請求記号:Fワタナ 資料番号:010355006

  • 単調。期待していただけに少し残念だった。最後まで読む前に飽きてしまった。

  • もう行き場が無くて、互いにすがるだけで、そうしておかないと闇に落ちてしまうことが分かっていて――――、それなのに求めてしまう。だからこそ求めてしまう男女の話。不倫経験はないけれど、理性が吹っ飛ぶ時の感覚をわたしは知ってる。幸せの傍らに確固とした切なさや痛みがあるのを、冷静に見ているのに、なのに、止められない時っていうのは、結局自分本位。なんだよね…

    さて、行き着く先は。

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著者プロフィール

1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。1970年『光と影』で直木賞。80年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学賞受賞。2003年には菊池寛賞を受賞。著書は『失楽園』『鈍感力』など多数。2014年没。

「2021年 『いのちを守る 医療時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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