ガラスの麒麟 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1520
感想 : 166
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062648868

作品紹介・あらすじ

「あたし殺されたの。もっと生きていたかったのに」。通り魔に襲われた17歳の女子高生安藤麻衣子。美しく、聡明で、幸せそうに見えた彼女の内面に隠されていた心の闇から紡ぎ出される6つの物語。少女たちの危ういまでに繊細な心のふるえを温かな視線で描く、感動の連作ミステリ。日本推理作家協会賞受賞作。(講談社文庫)


「あたし殺されたの。もっと生きていたかったのに」。通り魔に襲われた17歳の女子高生安藤麻衣子。美しく、聡明で、幸せそうに見えた彼女の内面に隠されていた心の闇から紡ぎ出される6つの物語。少女たちの危ういまでに繊細な心のふるえを温かな視線で描く、感動の連作ミステリ。日本推理作家協会賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 通り魔に殺害された女子高生の事件を軸にした、連作ミステリー。
    ガラスのように繊細で壊れやすくて不安定な女子高生たち、また過去の出来事から逃れられない先生を描いた。

    節ごとに語り手が変わって誰の話?と戸惑う。なおかつ登場人物が複雑に絡むので、特に後半は何がなんだか…。
    殺害された女子高生、保健室の先生の人物像が見えなかった。また、犯人の犯行動機も分からなかった。
    もやもやが残った読後感。ごめんなさい(*>ㅅ<)՞՞

    • Manideさん
      お面仲間ですね(^^)
      お面仲間ですね(^^)
      2024/02/03
    • なおなおさん
      Manideさんのように、顔の上にお面を乗せれば良かったかな…ま、本日限りだからいいか^^;
      Manideさんのように、顔の上にお面を乗せれば良かったかな…ま、本日限りだからいいか^^;
      2024/02/03
  • 連作短編6作品収録
    表題作は48回日本推理作家協会賞受賞作品
    女子高生が殺され、各章それに関連するお話が続き
    最終章で・・・でもなんかモヤモヤ感あって
    いまいちだったかも
    各章で語り手は変わっていました

  • 新刊の棚でこの本の新装版を見掛けたが、私が買ったのは中古本屋で昔の版。2000年6月15日第1刷発行だわ。相変わらず作者のお財布には全く役に立ててなくて恐縮だ。

    女子高生・安藤麻衣子が通り魔に殺害された事件を発端とする連作短編集。登場人物はあれこれ変わるが、高校の養護教諭・神野菜生子を探偵役にして話は進む。
    「ガラスの麒麟」 直子の奇矯な行動の謎が知れたと思ったところでもうひと捻りあり。
    「三月の兎」&「ダックスフントの憂鬱」 謎解きは意外と単純。いずれもやるせなさや悪意に満ちた話でありながら、最後にほろっとさせられたり微笑ましくなったり。
    「鏡の国のペンギン」 作中のセリフに『よくもまあ、トイレの落書き一つからそんなことを思いつきますね』とあるようにやや強引な推理だが、合わせ鏡のペンギンの話に何となく納得。後で思えば神野先生の心情も映されていたことが分かる。
    「暗闇の鴉」 出せる筈もない手紙を巡るトリックだが、これを通じて麻衣子の性格の一端が覗ける仕掛け。
    連作とは言え一つひとつの話に味があって単品としてきちんと完結した話になっており、またそれぞれにこの年頃の女性が通り過ぎなければならない過程と痛みのようなものが表現されていて、話が進むに連れ美人で人気者だった麻衣子の心の襞が浮かび上がって来る巧みな作りが楽しめる。
    そんな話に最後の書き下ろしが加わることで大きなひとつの話になるのだけれど、ここまでに明らかになった麻衣子の繊細さ、率直さ、気まぐれ、突っ張り、甘えなどを綯い交ぜにしてうまく組み立て決着がつけられたようには思うが、直感的にまとめられた感も否めず、犯人の動機や行動については凄く引っ掛かりを残したのだった。

  • 懐かしい小説。
    この小説、10年以上前に一度読んだのだけど、病院に通ってた時期で、待合室のソファに座って読んだ記憶がある。
    他の小説もたぶん読んでるはずなのに、強烈に覚えてるのはこれだけ、という不思議。

    通り魔に殺された17歳の美少女を軸に、彼女を取り囲む人々の人間模様を描いた短編連作。
    ミステリだけど、謎解きが主題とは思えない。
    危うい少女性、抱えた傷や痛み、自分を傷つけた誰かへの復讐心。
    殺された少女の心模様は、少女が書いた「ガラスの麒麟」という童話に表される。

    少女性を扱った小説や映画はいくつか見ているけれど、ほぼ全てが危うく、すぐに壊れそうで、そして美しい。
    自分が少女だった頃のことを振り返ってみると、自分の悩みや苦しみは特別なものだと思っていたような気がするし、救って欲しいのに何かを拒絶するような部分もあって、とてもちぐはぐだった。
    上手く生きる方法なんて今でも分からないけれど、今よりももっと分からずにいた少女時代の苦しみを、読みながら思い出した。

    ある意味主役とも言える、養護教諭の神野先生のミステリアスさや独特な哀しい感じが、物語に透明感を与えているように思う。
    こんな保健室の先生がいたらきっとファンになって通っちゃうな。笑

    病院の待合室のソファから見える景色まで思い出して、切ないような懐かしいような、そんな気分で読み終えた。

  • 「ななつのこ」の作者が書いた日本推理作家協会賞受賞作となれば、否が応でも期待は高まります。
    しかし結論から言えば、本当にこの作品が受賞したの?という疑問しかわきませんでした。内容からして少なくとも、日本推理作家協会賞ではない気がするし。六つの物語も連作という武器を効果的に活かしたとも言えず、昔の受賞作は良かった、と思わず年寄りの様に嘆息してしまいました。

  • ガラスとか危うさとか、あの年代ならではの感覚とか、とてもよく描かれている。神野先生を中心としたオムニバス形式、ミステリーとしてもうまい。

  • 通り魔に襲われて、十七歳という若さで亡くなってしまった女子高生の安藤麻衣子。
    その安藤麻衣子が通っていた学校や、周辺で起こる謎めいた出来事を物語とした、連作短編集。

    女子高生たちの、脆くて儚くて危なっかしいような感情を、繊細に表現しているそんな内容となっています。

    中高生の頃って、保健室って、特別な空間だったりしますよね。
    学校の中にあるんだけど、教室ではないし、保健の先生も、教師とはちょっと違うし。
    で、窮屈な空間から開放される、特別な場所。みたいな。

    だから、保健室の先生にはつい悩みを打ち明けたり、プライベートな話をしてしまう。っていう感覚、なんとなく分かるなー。

    この中で一番好きなのは「ダックスフントの憂鬱」
    物語全体を通しての、静かーで、暗ーい雰囲気から一転して、なんだか微笑ましい内容に心がほっこりしました。

  • 通り魔に殺された女子高生。
    そこから続いていく連鎖。
    ミステリではあるけど、ミステリ感よりも緻密に描写された人間の精神や思考の方が目立つ。特に、側からみればなんでも面白い/楽しいことがいっぱいな女子高生や若い女性の心情。多感で繊細な面も(男の俺にはわからないかもしれないが)、自己肯定という面に関しても、美しい描写がされている。
    人が殺され犯人がいて、という内容ではあるが、どこか温かい作品。
    細いけど、しなやかで強かな絹の糸が様々な方向に枝分かれしているようなイメージ。

  • 「あたし殺されたの。もっと生きていたかったのに。」通り魔に襲われた十七歳の女子高生安藤麻衣子。美しく、聡明で、幸せそうに見えた彼女の内面に隠されていた心の闇から紡ぎ出される六つの物語。少女たちの危ういまでに繊細な心のふるえを温かな視線で描く、感動の連作ミステリ。日本推理作家協会賞受賞作。

  •  通り魔殺人で突然命を失った女子高生安藤麻衣子。彼女の死によって広がる波紋をミステリ要素と合わせて描く連作短編。

     一番のお気に入りは「三月の兎」優しい結末が胸を打つ短編です。通り魔殺人の被害者の担任が主人公となる短編ですが、それなのに切なさややるせなさでなく、優しくオチをつけてくれる加納さんの優しさがにじみ出ている短編だと思います。

    「ダックスフントの憂鬱」も結末が可愛らしくて良作です。表題作「ガラスの麒麟」は登場人物それぞれの微妙な心の傷や作中作の被害者が生前残した童話”ガラスの麒麟”から浮かび上がってくるメッセージなど短編ながら人の心の機微をしっかりと描いていると思います。

     しかし最終話に近づくにつれ、通り魔事件の核心に迫ってくるあたりからが個人的に消化不良に感じてしまいました。

     犯人の登場があまりにも唐突で前後の脈絡が感じられず、被害者の麻衣子についても行動の理由が今一つ腑に落ちず人物像がぼやけたままに終わってしまった印象。最終話で話をつなげるための人間関係も途中から分かりにくくなってしまったように思います。

     短編単独として見た場合は良作も多かったように思うのですが、連作としてみるとアラが少し出てしまっているという印象を受けてしまいました。
     
    第48回日本推理作家協会賞

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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