英国庭園の謎 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062648912

感想・レビュー・書評

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  • とっても読みやすい短編集。
    全部面白かった!
    言葉遊びが巧みで、火村先生のようにはなかなか解けない。

    短編の登場人物達もそれぞれ個性があっていいなぁ。
    特に『ジャバウォッキー』は犯人が独特で強烈。
    『三つの日付』ではアリスの記憶力が羨ましかったけど、『完璧な遺書』ではお茶目な行動に笑った!
    愛されキャラでもっと好きになった。

  • '22年6月29日、Amazon audibleで、聴き終えました。今回が2回目、かな…?

    これも、大好きな本、でしたが…良い感想の思い出と共に、嫌〜な気持ちになったのもまた、思い出しました。

    中では、「雨天決行」「三つの日付」「ジャバウォッキー」が好きでした。

    「雨天決行」…被害者の気持ちを想うと、なんとも悲しい気持ちがします…火村の謎解きに、唸ってしまった。

    「三つの日付」…これも、火村の…って、どんだけ小説の主人公に入れ込んでんねん!凄いのは、有栖川さん!と、この感想を書きながら、自分に呆れてしまった┐(´д`)┌

    「ジャバウォッキー」…本書中は、この作品が一番好きです。火村とアリスを突き動かす、その動機が…とても有栖川さんっぽくて、優しさに溢れているなぁ、と。

    で、「英国庭園の謎」、ですが…暗号の謎解きには、感心しました。でも…人間の、「ねじ曲がった、醜さ」を突き付けられて、ブルーになったのを、よ〜く思い出しました。

    ちなみに、本作も…「ブラジル喋の謎」と同様(「ブラジル喋」の「再読記録」の方に書きました。良かったら、そちらも見てください!)audibleでの「目次」に、各作品のタイトルが記されてませんでした。ここは、不満(┛✧Д✧))┛彡┻━┻でも…

    いやぁ…有栖川ワールド、満喫中!ハマってる&惚れてる!Amazon audibleにも、感謝!

  • 国名シリーズ第四作目。本格ミステリの短編はとても良い。『完璧な遺書』の、最後に火村助教授が指摘した、遺書の瑕疵と、表題作『英国庭園の謎』の、難解な暗号とその解読方法、まさかの真相に驚いた。

  • 公園にはじまり、庭園におわる短編集。
    大作家の御屋敷から、南米テイストのバー、新大阪駅に英国庭園というテイスト豊かな舞台での謎解き。
    作者による解説、喜国雅彦氏による解説も読み応え有り。

    ◆「雨天決行」
    主な現場:西宮市 甲山森林公園 10/3
    警察サイド:兵庫県警 捜査一課 樺田警部、野上部長刑事
    伝統芸能、シャーロック・ホームズの技を継承した?火村の観察眼が冴える一編。
    お約束の野上部長刑事とのやり取りだが、ほほえましい一節もあり。
    樺田警部の「声優ばりの渋い低音(バス)」「甘い声」「それが地声なのだから、女性を相手にするときは得だ」もポイント。
    ◆「竜胆紅一の疑惑」
    主な現場?:東京 目黒碑文谷の作家宅
    警察サイド:なし
    関係者:珀友社、片桐光雄
    珀友社編集長からの、ダンディなベストセラー作家の悩み相談依頼。編集者のふりをする火村も見もの。
    ◆「三つの日付」
    主な現場:兎我野のラブホテル、天王寺のバー「ナスカ」
    警察サイド:大阪府警 森下刑事
    関係者:赤星楽(昨年5月にある事件に巻き込まれて不幸な死)
    アリスが取調べ?され、過去の事件のアリバイ崩しを検討。故人も登場し、少し切ない。終わり方が粋。
    ◆「完璧な遺書」
    主な現場:京都、木曽福島
    警察サイド:京都府警 柳井、長野県警 富樫
    犯人の一人称による倒叙形式ミステリ。解説では「出番をなしにしてアリスには申し訳なかった」と触れられているが、アリスの変わった形での関係の仕方が逆にその存在をアピール。
    火村の実地での謎解きが爽快。
    ◆「ジャバウォッキー」
    主な現場?:アリス自宅、火村研究室
    警察サイド:なし
    華麗なる言葉遊び。頭を使う火村、体を使う?アリス、電話を通してのコンビネーションが見事。
    ◆「英国庭園の謎」
    主な現場:大阪和泉市のはずれ、緑川隼人邸
    警察サイド:大阪府警船曳班、森下刑事(鮫山警部補初登場)
    参加者が暗号を解いて宝物をみつけようと英国庭園を探索している最中におきた殺人事件。
    見事な英国庭園、「不思議の国のアリス」を思わせる登場人物に囲まれて、どこか象徴詩のようなロマンテッィクな暗号の謎をとく。

  • 作家アリスと臨床犯罪学者・火村が活躍する国名シリーズ第4弾。
    本作は6編の短・中編が収められている。
    表題作は暗号を解くことで犯人に至る道筋が開かれる仕組みとなっており、犯人は結局誰だったのかは推理の中では明かされない。この暗号も、いわれてみれば「なあんだ」という程度のものだが、とっかかりになるヒントがなければなかなかそこに気がつかない。
    そのほか、「雨天決行」は出版にまつわる蘊蓄が、「竜胆紅一の疑惑」では作家ならではの苦悩がそれぞれ物語に役割を与えられており、作家という仕事の一端が垣間見える。
    「ジャバウォッキー」は支離滅裂な言動を繰り返す相手がいったい何を言っているのかがわかってくると、大変良く練り上げられ、齟齬のないように緻密に物語が編まれていることに気づかされる。
    いずれも、小粒ながらも佳作のミステリで、短編ならではの味があり、手軽ではあるが手強い作品群である。

  • 『ジャバウォッキー』だけで★★★★★の価値がある短編集。
    『ジャバウォッキー』の緊張感と疾走感、そして電話越しに掛け合う火村とアリスの息の合った活躍がとても好き。

  • 作家アリス&火村先生シリーズ第7弾、国名シリーズ第4弾。短編集。「雨天決行」と「三つの日付」が特にいい。ワープロだったりかな入力だったり、今ならパソコンやローマ字入力などに置き換えられてしまうものがちらほら出てきたりするけれど、有栖川有栖の本はいつ読んでも新鮮な気がする。

  • 推理小説ではやっぱり主役は探偵でしょうか。

    アリスももちろん好きだけど助教授が動きを見せるとすごくどきどきする。

    重大な、(しかし周りと読者にとっては些細な)発言に突然気迫を背に身を乗り出す様が余りに印象的でした。

    追い詰められる側視点の作品も臨場感があって良かった。短編ならではの手法だし。

    しかし旧知の友に対する「お前のことだから」って言葉にはときめかざるを得ない。

    今回はアリスと助教授の遠距離タッグも見ものでした。ホームズが解いてワトソンが捕える、の図は伝統的なんでしょうか。名探偵の発想はいつも突飛で緊迫した空気を描ききれない限りギャグにしかならないだろうから、やっぱり有栖川さんすごいな。

  • 「ジャバウォッキー」が一番好きです。有栖川作品の中で一番かも。

  • 『雨天決行』
    雨の公園で殺害された女性作家。「雨天決行」という被害者の事件前の言葉。

    『竜胆紅一の疑惑』
    自分が家族に殺されそうになっていると疑惑を持つスランプ中の作家・竜胆紅一。竜胆が出版社に預けた未発表の原稿と事件の関係。

    『三つの日付』
    3年前の事件の殺人事件のアリバイ立証のために聴取されるアリス。赤星楽とともに写った写真のカレンダーの日付の謎。

    『完璧な遺書』
    片思いの女を殺害し、自分に送られた絶縁状を元に遺書を作ったが・・・。ワープロの変換に隠された落とし穴。

    『ジャバウォッキー』
    かつて火村が捕えた犯罪者の復讐。アリス、火村に電話をかけ犯罪を予告する。「時計がおくれている」という言葉の秘密。

    『英国庭園の謎』
    引退した会社社長宅で行われた宝探しゲーム。殺害された社長。社長が残した暗号の謎。

     2010年4月7日読了

著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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