まどろみ消去 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062649360

作品紹介・あらすじ

大学のミステリィ研究会が「ミステリィツアー」を企画した。参加者は、屋上で踊る三十人のインディアンを目撃する。現場に行ってみると、そこには誰もいなかった。屋上への出入り口に立てられた見張りは、何も見なかったと証言するが…。(「誰もいなくなった」)ほか美しく洗練され、時に冷徹な11の短編集。

感想・レビュー・書評

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  • S&Mシリーズの途中短編集。それぞれの登場人物はすべてがS&Mシリーズに関係している人ばかりではない。

  • 萌絵と犀川が出てくるということで読んだのだが出てきたのはほんのちょっぴりだったぞなもし。

    最後のキシマ先生の話が一番好きだなぁ。

  • 理系ミステリーだけでなく世にも奇妙な物語のようなファンタジー的な作品もあり意外な一面が楽しめた。
    「真夜中の悲鳴」の結末がオシャレ。

  • 「これはミステリー作品だ」

    2作品目を読み終えたあたりで、この本の志向と楽しみ方がわかり、物語に流されていく中で一生懸命、どんな真実が隠されているのかを考えた。なるほどねって時もあれば、やっぱりって時もあって、なぜだか宿題で算数ドリルをやっている時のことを思い出した。(自分の答えに自信がなくて、最後のページで答えをカンニングする感じって伝わるのかな)

    久しぶりに森博嗣の短編小説を読んで、やっぱり好きだな。って思った。一つひとつが重たくて、主人公一人ひとりが活き活きしていて、自分の中の反響や余韻を楽しみながらゆっくり読んだ。忘れたころにまた読みたい。

  • ミステリィというより、不思議さとホラー、奇妙さと怖さがブレンドされた後味。
    長編「喜嶋先生の静かな世界」を読む予定の方は、要注意!

    S&Mシリーズの短編2作を含む11本の短編集。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ラストの短編「キシマ先生の静かな生活」は、長編「喜嶋先生の静かな世界」より前に書かれたもののようですが、長編を先に読んだ者からすると、長編の重要な要素をぎゅっと凝縮した“あらすじ短編”のように思えました。
    この短編を読むと長編「喜嶋先生の静かな世界」の話の流れやラストすらわかってしまうため、長編をまだ未読の方は要注意です。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ミステリィかホラーかといった単純な区分わけができないお話ばかりで、ラストを読むことで奇妙さが勝ったものもあれば、ぞっとする怖さが襲ってきたものもありました。
    ただ、「何をするためにきたのか」と「心の法則」の2本だけは、読み終えたあとも意味がわからず、ポカーンとしてしまいました。
    この2本に関しては解説求ム!という感じです。

    そんな中、S&Mシリーズの短編2作は、もともとの世界観がわかっていることもあってか、安心して読めました。
    ただ、いつも超分厚い長編作品であるS&Mシリーズを読んでいたので、この短編2本は短くて物足りなく感じました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    この短編集は、個人的に☆4つのものから☆1つのものまで差が激しかったです。
    そのため、総合的な☆をいくつにするかで悩みましたが、オチの予測がつかない☆4つ短編が多かったことを加味し、ブクログの評価は☆4つにしました。

    タイトルが「まどろみ消去」となっていますが、同タイトルの短編は収録されていませんでした。
    でも、ほとんどのお話に共通していたのは、「軽くうとうとした気持ちを、ラストでバシーンとたたき起こされる衝撃」の感覚でしたので、とても納得の本タイトルでした。

  • 森さんの本は何冊か読んでいたけど、
    久しぶりに森さんの小説を読みたくなりまして。

    読む順番をネットで検索したときに、
    S&Mシリーズの間?終わってから?(記憶曖昧。笑)に読むと良いという本書。

    リハビリがてらの短編として選びました!

    感想…おおおお、久しぶりの森さん!!笑
    が第一でした。笑

    そして萌絵ちゃんとも再会できてうれしかった。

    印象的だったのは、
    「虚空の黙祷者」「真夜中の悲鳴」「悩める刑事」
    の三篇です。
    あれ、萌絵ちゃんいない。笑

    ちょっと怖くて奇妙でぞわぞわする感じでした。
    ここから私の森さん読書が再スタートです!笑

  • 森博嗣単発欲張りセット★
    「真夜中の悲鳴」の最後の一文が粋でやられちゃった。

  • 『まあ、あまり、気になさらない方が良いです。僕も貴女も、時間は未来にしか残っていません』

    『確かにそう…、一人だけで良いから、誰か他の人に、自分の生きているところを見てもらいたい、と思うことはありますよ。』

    『僕も、こうして今、奥さんと話をしているのが、小さな楽しみ、幸せですよ。こんなことだけが、毎日毎日の我々の生きる目的なんでしょう、きっとね』

    『いえいえ、本当に、お返事は、いつでも良いのです。そうですね、また、この次ということで… ー そうすれば、ええ、少なくとも、もう一度は、お会いできるでしょうから』

    『とにかく感情的な言葉を使うのはよしなさい。そうやって、自分でしゃべった言葉で、興奮してしまうんだよ。』

    『そうでしょう? 理解できないことだってあるのよ、世の中には…。なんでも、数学みたいにはいかないのよ』

    『もう発狂しそうなくらい不味くって不味くって…。一応、全部食べたけどね。うん? 発狂はしなかったよ。』

    『うん、今思うと、やっぱ運命ってやつ?』

    『どうして、ああいう時間って、すぐに過ぎてしまうんだろう。楽しいときって、神様がビデオを二倍速にしてるんじゃないかって、ときどき思うよね。』

    『もう、助手席にさ、接着剤でくっついちゃったみたいなんだ。あ、これはオーバーかな?』

    『あとあとそれが何の役に立つのか、あるいは何の役にも立たないのか、まるでわからない。けれど、わからない場合には、とりあえず何でも経験しておくのが、この世界の常套手段である。』

    『だんだん、申し合わせたみたいに、みんなで鈍感になって、頑張って単細胞の不感症になって、いろんなことが気にならなくなるのだ。』

    『一日中、たった一つの微分方程式を睨んでいた、あの素敵な時間は、どこにいってしまったのだろう?』

  • 久々にミステリー読みたいなぁーー!!!!

    ってときに、家にあった本仲間のまっちゃんからのいただき本読みました!

    森博嗣ならもう絶対面白いし、ごっついミステリーなの間違いなし!わたしを惑わしてくれ!

    と、思って読みました!

    短編集なのに、大いなるミステリーの世界にズボンズボン取り込んでってくれて、それぞれ短編ラスト1ページ、思わず

    オーマイガ!

    って言っちゃうやつです。笑笑

    なんだろ、後もひかず、でもなんだか引っかかる、気になるけどもっと気になるのは次のストーリーで、やめられない止まらない
    久々のミステリー堪能!

    大満足!!!!!

    次何読もうかなー!!!!!!

  • すべてがFになる、を読んでからの今作。ミステリーというよりは叙述トリックというか、思いついた設定に叙述を重ねていったという感じ。仔細な表現やユーモアはファンにはたまらないという感じがする。
    ショートショートの類という感じかな。

  • 読んでいたら、当時、「やさしい恋人へ僕から」できゃーきゃー騒いだのを思い出した。懐かしいなぁ。昔は短編集が全般的に苦手でしたが、最近は逆に楽しくなってきた。「虚空の黙祷者」が好きでした。

  • 森博嗣ワールド全開!
    美しく洗練され、時に冷徹

  • 森博嗣先生の短編集は初めてでしたが、スッキリするものしないもの、色々で楽しめました

  • 短編集です。

    最後に自分の頭の中の想像を180゜ひっくり返されます。

    いい意味で期待を裏切られる短編集でした。

  • 西之園萌絵が登場する「ミステリィ対戦の前夜」と「誰もいなくなった」を含む11編の短編。

    日常の中にある狂気や幻想や混沌を描いた短編。
    まんまとミスリードされ最後になって「やられた!」と頭から読み直した「やさしい恋人」「悩める刑事」、ヒンヤリと背筋が冷たくなった「虚空の黙祷者」、緊張感とラストの微笑ましさがたまらない「真夜中の悲鳴」が特に好き。

    萌絵が出てくる2編は、今一つかな~

  • S&Mシリーズを面白いと思って読み続けて、刊行順に読もうと思って手に取った本書。正直あまり面白くなかった。自分がこのシリーズを好きなのは、森博嗣がというよりは、犀川先生と、そして間賀田博士が好きだからなんだなあと再認識。

  •  S&Mシリーズ全10巻を読み終えたので、余韻を楽しむ間を惜しんで『まどろみ消去』を読み始めた。『封印再度』『幻惑の死と使途』の間に出版された作品らしい…

     205ページで、ようやく西之園モエ(何故かカタカナ)が登場した!

     『まどろみ消去』を読了しました。西之園モエとカタカナにした理由は、『今はもうない』で西之園嬢と表現していたことと同じような理由か?

     私と森先生の作品との出会いはセレンディピティに溢れている。私は『喜嶋先生の静かな世界』を入手した直後に、以前から積んであった「キシマ先生の静かな世界」が収録されている『まどろみ消去』を読んでいる…『まどろみ消去』の大部分は、文章のトリックでミスリードを楽しませる趣向で、森先生風に言うと「読まなくても良い作品」なのかもしれないが、中には人間が何に惹かれ何に絶望するかを示唆する内容も少なくない。

     文章のトリックでミスリードさせられるミステリーは、大嫌いだったのですけれども、『まどろみ消去』は、まさにそんな短編集でした。でも、森先生にやられると嫌じゃない?

     森先生の思考を少しでも多く発見し繋ぎ留めたい読者なら、手に入れて書棚の一等地に置いた方が良いだろう。この作品には、脳細胞の一つとして、繋がる機会を待っている可能性があるから…

  • シリーズ第6弾!と言いたいのですが、
    S&Mシリーズの中間地点です。そう、5冊分の一幕目が終了し、約15分間の休憩です。(つまり短編集です)

    森博嗣の短編・・・なんだか違和感でしたw
    (決して作品が不満なのではなく、もっと続けてください~という読後感)

    いつもの軽快なキャラクターたちの会話やあっと驚くトリックという感じではなく、何処かダークな毒を含んだ短編が沢山ありました。

    最後まで気を抜けない短編って、凄いですよね。

    さて、15分休憩のあとはついに2幕目!
    最後までの5冊、心して挑みたいと思います!!

  • 短編集はあまり好きじゃないけど、びっくりするくらいおもしろかった!森さんは何故こんなにアイディアが出てくるんだろう。ミステリーばかりじゃない、というかミステリーの定義がよく分からないけど、様々なタイプのお話があった。S&Mシリーズのも二つ。小さな宝石がたくさん詰まってるみたい!

    「純白の女」は、多重人格障害なのかな。でも、四季のような、混ざらない純粋さってことだろうか。

    「優しい恋人へ僕から」これ、すごく好き。僕がとてもかわいい。このくらいシンクロ率の高い人、稀にいるよね。最後の一文まで分からなかったけど、気づかなくてよかった。

    「ミステリィ対戦の前夜」は爆笑!遊びすぎでしょう(笑)岡部さんの、変な英語と変な日本語がテンポよすぎ!

    「誰もいなくなった」犀川先生、かっこいいです。

    「何をするためにきたのか」………モンハン?

    「心の法則」全く分からなかった。完全に油断して読んでたけど、確かに最初から言ってること難しかったな。もう一回ちゃんと読まないと。一番ひっかっかった、一番面白いのかも?

    「キシマ先生の静かな生活」なんか、とても泣けた。本当に。研究に没頭できること、好きな学問ができることって、やっぱりとても幸せなことなんだなあ。大学って尊い場所なのね、もっとそれを自覚して勉強しようと思った。


    解説よかったなあ。萌絵の十進法のジェスチャー、あそこも爆笑した。森さんがやりたいのはミステリーそのものではない、というのはなんとなく感じていたけれど、でもミステリーである理由もちゃんと分かった。
    どんな形であれ、日常からほんの少しはみ出すことが世界の謎について考える一歩になるんだ。突発的にはみ出したりするのが、犯罪がらみ、特に死が近い時なんだろうな。そうでなくても、より理系が、より研究者が、そういう思考を常に持っているのね。

  • 帰省の新幹線内で読みおわりました。楽しめたのですがのめり込めなかったような気がしました。森さんの作品を楽しむにはやっぱり500ページ位の一つの話をじっくり読みたいなぁと思いました。なんていうか,もっと重厚感を感じたかったなっていう感想をもちました。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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