- Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062659260
感想・レビュー・書評
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このシリーズは初めて読んだが、伝記的部分と思想的部分がバランスよく記述されていて、わかりやすくて読みやすく、入門書として最適だと思う。著者によって出来具合のバラツキはあるだろうが、他思想家の本も読んでみたい。
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ミシェル・フーコーの生涯をたどりながら、その思考の全体像を描き出そうとする概説書。フーコーが提唱した様々な概念を「道具箱」として積極的に利用することを結論としているが、全体としては、主要著作の梗概を示しつつ、フーコーの様々な遍歴、また大学の行政官のような仕事など、研究活動以外の部分、フーコーの「世俗的」な側面にもスポットライトを当てている。そういう意味で、非常に面白い伝記である。それと同時に、著者がフーコーに対して抱く思い入れも率直に吐露されており、これも、近代社会のインフラとなっている知のシステムに何かしらの生きづらさを感じた人々の共感の物語のように思われ、非常に面白い。
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序章 その死から
第1章 高等師範学校生・フーコー
第2章 北の街へ―フーコーの「さすらい」
第3章 『狂気の歴史』―精神医学の考古学
第4章 「人間」概念の解体―人間科学の考古学に向けて
第5章 政治の渦のなかへ―チュニスからヴァンセンヌへ
第6章 「管理」のまなざし―『監視と処罰‐監獄の誕生』とその背景
第7章 「性」と「権力」の迷路―フーコーの最後の苦闘
著者:桜井哲夫(1949-、足利市、社会学) -
所在:紀三井寺館1F 請求記号:130.8||G3||26
和医大OPAC→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=20908
フーコーの著した『臨床医学の誕生』は、本学図書館に所蔵はあるものの、<だれも借りてくれない>状態です(さびしい…)
精神医学についての考察『狂気の歴史』、さらに近代的な「医師―患者」関係の成立について考察した『臨床医学の誕生』などは、哲学書といえど(哲学書だからこそ?)医学生には押さえておいてもらいたい!
そこで、いきなり哲学書を読むのは…という方は、この<現代思想の冒険者たち>シリーズを手にとってみるのがおすすめ。『狂気の歴史』ほか、ミシェル・フーコーの重要な著作について、分かりやすく解説されています。
中井久夫『治療文化論』を読んだあとでは、中世において「一つの美学的ないし日常的な事実として社会の視野のなかに立ち現われていた」狂気が、十七世紀になって「排除の対象」となったこと、その経緯など、興味深く感じました。
「理性の言葉である精神医学の「表現活動(ランガージュ)」は、狂人の沈黙を基盤として存在してきた」と、著者は書いています。
そしてフーコーは言うのです。
「私は、この[精神医学の]表現活動の歴史を書きたいとは思わなかった。むしろ、私が書きたかったのはこうした[狂人の]沈黙の考古学なのである」
沈黙させられた「狂人」―『治療文化論』にも引用されていた、精神科医、斎藤茂吉の歌なども思い出されます。
(スタッフN)
【併読のススメ】
中井久夫『治療文化論―精神医学的再構築の試み』
和医大OPAC http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=21203
ブクログ http://booklog.jp/users/wmulk/archives/1/4006000529 -
地元の図書館で読む。この本は再読です。何度読んだのかわかりません。この本を読んで、このシリーズを読み始めて挫折します。やはり、ライターが抜群です。他のライターと比較すると、別格です。この哲学者の名前は、知っています。残念ながら、何をやっているのか知りませんでした。今回もわかりませんでした。フランスの哲学者を紹介するとき、バックグラウンドを丁寧に説明します。違和感を持ちます。何故なのでしょう。学校の方が重要なのではないのでしょうか。そこが疑問です。これが、フランス流なのでしょうか。この手のメモをつくるだけでは十分ではありません。リンクをつくらなければなりません。別の本と有機的につなげていく努力が必要です。同時に、継続するためには、手間のかからないものでなければなりません。項目、そして、関連リンクがいいでしょうか。そんなもんでしょうか。それとも、サーベイにしましょうか。色々考えてしまいます。
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人間の世界には、意味が見いだせない空白や空洞がいくらでもある。けっして、この世は、意味ある行為や言葉で充満しているわけではない。むしろ、人間が、得手勝手に作りあげた事柄が存在するだけである。現実に存在しているものは、もとからそのような意味あいで見られてきたものなのか。いや、かつては現在とはまったく違ったものとして考えられていたのではないのか。誰もが信じている一本の筋道などというものは存在しない。真理、真相は、どの時代の、どの状況なのかによってそれぞれ異なる。人間の歴史は、穴だらけ、空白だらけである。(p292)
「長いこと、人々は、私に、何が起こるのか説明してくれとか、将来のためのプログラムを与えてほしいとか要求してきました。だが、私たちがよく知っているように、どれほど意図が優れていようとも、こうしたプログラムは、常に抑圧の道具や手段になってしまうのです。(…)」(p295)
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軽くムスカな気分になった。「私にもフーコーが読める!読めるぞ!」
哲学書を辞書なしで読んだのは初めてだ。
真理とは今もっとも新しい誤解である。なるほど -
フーコー研究者として名高い桜井氏のフーコー解説。「現代思想の冒険者たち」シリーズは評価が高い。
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フーコーの解説本は結構読んだ気がするけど、これしか覚えてないな。
監獄の誕生・言葉と物・性の歴史とか結構いろんなもの網羅してていい。