文明としての江戸システム (日本の歴史)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062689199

作品紹介・あらすじ

豊かな自然に依存した徳川文明は、国際的には"近代世界システム"と"冊封体制"に対抗して"日本型華夷秩序"を形成し、国内では幕藩体制のもと、各領国が拡大する市場経済により統合されていた。発達した貨幣制度、独自の"物産複合"、プロト工業化による地方の発展、人口抑制-環境調和的な近世日本のあり方に、成熟した脱近代社会へのヒントを探る。

感想・レビュー・書評

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  • この巻では、江戸時代の中の文明と現代の文明の比較や、江戸時代の時の文明の解説です。

  • 『文明としての江戸システム』 (日本の歴史)  講談社 2002
    人口学の鬼頭宏氏の本。
    江戸時代については各論は別として、全体を概括する本は、近世史専門の人にはあまり良いものがないので、こういう人の本は期待が持てる。この本は「日本の歴史」シリーズの中で、江戸時代の社会構造に着目したもので、最近の各論の研究成果をよくまとめ、人口学的視点を加えたような読みごたえのあるものだった。

    1つだけ個人見解を述べる。この本で、石高の小さい農家の娘が都市部に奉公に出るのは家計を助けるためかという部分があったが、読者は親子の情緒的な話に流されやすい感がある。石高が少ない家は田畑が少ないだけのことで、したがって農業の仕事が少なく、何かの副業をしている。副業を継承するのでなければ、娘は奉公に出るだけの話。そのほうが良い縁もあるだろう。
    田畑に必要な労働力は決まっていて、家族の労働力が少なければ人手を借り、多ければ他の仕事を求め、外へ出ることもある。
    また田畑の量で調整し、田畑を貸したり借りたりして家族労働力の量に合わせる。田畑が少ない場合に、晩婚により親子世代の年齢差を広げ、家の働き手を少なく維持する傾向もある。

  •  日本の歴史19 鬼頭宏『文明としての江戸システム』

     江戸時代を政治史ではなく、文明史(という表現で合っているのかはわからないが)という視点で見たものです。
     特に人口の問題などが大きく取り上げられています。
     時代が安定して、成熟してくると人口の停滞…広義での少子化が起こるようになった、などという部分は現代にどことなく通じるものがありました。
     後は、産業の発達や自然との関わりも面白かったです。

     個人的に一番興味深かったのは、都市とは人口を自動再生産できないというところでした。
     それが日露戦争近くまで続いて、しかも農村人口に影響を与えていたと。

  • 日本の歴史(19)
    文明としての江戸システム  近世史の論点
    ISBN:9784062689199
    ・鬼頭宏(著)
    講談社
    2002/06/10出版
    338p 19cm(B6)


    ◆要旨 (「BOOK」デ−タベ−スより)
    豊かな自然に依存した徳川文明は、国際的には“近代世界システム”と“冊封体制”に対抗して“日本型華夷秩序”を形成し、国内では幕藩体制のもと、各領国が拡大する市場経済により統合されていた。発達した貨幣制度、独自の“物産複合”、プロト工業化による地方の発展、人口抑制-環境調和的な近世日本のあり方に、成熟した脱近代社会へのヒントを探る。

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    ◆目次 (「BOOK」デ−タベ−スより)
    第1章 日本文明史における近世
    第2章 江戸時代の村に生きた人々
    第3章 人口にみる江戸システム
    第4章 人間を取り巻く環境
    第5章 産業発展と生活革命
    第6章 生活を支えた経済システム
    第7章 生活としての徳川文明
    エピロ−グ 徳川文明の成熟

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著者プロフィール

上智大学名誉教授

「2023年 『日本経済の歴史[第2版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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