- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062705837
感想・レビュー・書評
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もう、「ちゃちゃちゃ探偵団」予備軍(?!)の子どもたちが、可愛くて可愛くて♪
「ちゃちゃちゃちゃうるさいんだよ、おまえらはー。」だの
「けぇけぇけぇけぇ、おまえらニワトリかーっ。」だの言いながら
引っ越してきた北九州の社宅の子どもたちと一丸となって
姑息な大人にひと泡ふかせ、パックの秘密を死守する一本気な少年、森。
モデル並みの美少女なのに、宇宙一訛っている強気な少女、あや。
幼少時のトラウマから、大人の男性の前ではフリーズしてしまうけれど
人の気持ちを繊細に察し、出来る協力は惜しまない柔和な少年、ココちゃん。
この3人をはじめ、一致団結して、「犬や猫よりひどい扱いを受けてきた」パックを
子どもらしい知恵とバイタリティーで守り続けようとする社宅の子どもたちが素晴らしい!
工場→独身寮→平社員の社宅→役付社員の社宅、と広がる工業団地の独特の雰囲気や
そういう環境だからこそ生じる大人同士のやっかみや足の引っ張り合い、
大人の事情に理不尽に振り回される子どもの切なさも丁寧に描かれ
それでも、大人になったらできることはきっともっとあると信じながら
今できる反抗や冒険をあきらめず
「バカっちゃねぇ」「ほーんと、バカなんやけぇ」と元気よく叫びながら
自転車で坂を全速力で駆け下りていく子どもたちに
心の中にまで爽やかな風が吹き抜けるような、素敵な1冊です! -
面白かった!
入り込めない本は全然読み進めない私ですが、この本は最初から最後まで一気読みでした。
どの章も、どの瞬間も面白かった!
父親の転勤で、北九州の工場地帯の団地に引っ越してきた5年生の高見森(シン)。
向こう見ずの無鉄砲、とにかく思ったらすぐに手と足が出る性格の彼は乱暴者のイジメっ子というレッテルを貼られ、転校前の学校では友達もおらず嫌われていました。
けれど、森には森の考えがあって行動している。
このお話は森の語りで進んでいくので、世間にはただの乱暴者のイジメっ子に見られてしまう森の心の内が分かり、なんだか切なくなりました。
いるいるいる!こういう子!と思いながら読み進んだけれど、やや暴れ馬みたいな児童でも、ここまでこんなふうにみんなから突き放されるのは珍しいような?
昨今の小学校では、いろんな個性がもっと受け入れられているような気がするけど…?そういう意味では、転校前の森は色々と運が悪かったのかも。
それでも、そんな現実にめげずに、自分を貫いている森は偉いと思う。
そう、森は自分を貫いている子で、そこがとても清々しいと思いました。
転校した先の北九州の社宅の面々も、皆個性があっていい子ばかり。森がみんなに受け入れられていくのをほっこりしながら見守ったり…。
そして、全然知らずに読んだのですが、このお話ミステリー仕立てになっているんですね。
一番初めに、森の幼少の頃の事件が出て来る。
それから、屋根の上のぐるぐる猿の謎、猿の正体、パックのこと、最後にあやのこと!
最後まで、飽きさせずにあっと驚くミステリーでした。
ミステリーを追っていくに従って、変わったタイトルの謎も解け、森が抱える胸の内のこんがらがった糸も解れ、パックという衝撃的な人物のこともわかり…。
パックの存在はもちろんのこと、佐藤くんとのこと、そして何より、あやの正体が気になって仕方なかったので、最終的にすべてが詳らかにされてすっきりして読了できました。
どれもが、えっ?え!あっ!というような展開でした。
あやの正体には、最高にときめきました(笑)。
パックに対して生じた疑問も、猿からの手紙がなんとなく腑に落ちさせてくれました。世の中、こういうこともあるのかもしれん。
最後に、森には佐藤くんから返事が来るといいなぁ…。 -
タイトルなんのこっちゃと思ってたけど、読み終わってみたら小洒落たタイトルやなーってなるからすごい。
パックの正体、子供だけに見えてる集団幻覚とか小動物をヒトだと思ってる系だったらどうしようと不安だったんだけどよっぽどそのほうがマシだったってオチ…
最後の勝からの手紙重いな〜、とか思ってるうちにあやの正体が明らかになってそっちかい!!!
ココちゃんって呼んでる母親なんやねんてめえでつけた名前きちんと呼べやとか思ってたのにきちんとした理由があったのでお母さんごめん…
しかし十時あやをあやちゃんだと思って恩返ししようとしてた森とそんな森の手助けをするココちゃん、まんま人魚姫の構図だなあ…とか考えていたので「こっちはとっくにそのつもりでいたよ……五歳の頃からずっと」は胸が熱くなった。 -
非常に面白かった。
タイトルでは想像がつかない内容というのも私好み。
自分の個性を持て余し、それゆえ周囲に持て余され荒みきった主人公が、新しい友人との交流を通して成長していく様が描かれている。
人には色々な事情と面がある。自分にだって。見る角度を変えれば見えるものが変わるよね、成程。
みんな平気な顔して暮らしながら、その反面色々な思いと悩みを抱えている…のかも?
不思議な少年パックが、聞き上手で相手の悩みを解決してしまう様はエンデの「モモ」を思わせる。
正直、続きが読みたい。
そして、彼らがどんな大人になるのかを見てみたい。 -
少年少女向けのミステリーシリーズ。
これは、高校生や大学生向けの子供時代を振り返らせる、ノスタルジックな作品、ではなかろうか。
小5の俺は、新学期に合わせて東京から北九州の町へと引越しした。
気になる奴、気の合う奴、もちろん、気に入らない奴もいて。
俺には忘れられない記憶もあって。
初めての土地での学校生活が始まる。
大人になる前の、でももう子供ではない読者にこそ読んで欲しい。 -
登場人物まさかの北九州訛り!
主人公くんには悪いけど、意味全部わかる笑
「言葉も通じないくらい遠い土地に来た」っていう背景に入り込みにくかったところはありますけど、逆に自分が地元民側でクラスメイトか何かの視点で見ていたような不思議な感覚。
北九州弁わかったからこその読書体験でした。 -
最初、不器用な主人公がチクチク痛い。
周りに誤解されて、それでもいいやって思っている。
そんなに真っすぐ進むんじゃなくて、ちょっと待ってって思うのは、私が大人の目線で見ているからかも。
だんだん読んでいくうちに、子供だったころの不器用な自分がよみがえってきた。
考えてみたら、主人公が一番普通で、大変を抱えていた子だらけだよ。
パックはとっても賢いけど、自由と危険は隣り合わせだもんね。彼なら大丈夫だと思うけど、大人になったみんながパックの将来の問題も解決してほしい。そんな気持ちのいい子たちだった。
「猿」と「ハチドリ」、私も見てみたい。 -
児童文学。腕白っ子の森は、父親の仕事の関係で東京から九州へと引っ越して転校することになった。そこで出会う新たな人間関係と不思議な存在。子どもには子どもの社会があるのだということを思い出させてくれるお話でした。
大人としては、今後のバックの生き方が心配になってしまうのですが、それは無用ですね^^;
ごあいさつが遅くなって申し訳ありません(;_;)
実は以前からまろんさんの本棚をこっそり覗いておりました。
まろ...
ごあいさつが遅くなって申し訳ありません(;_;)
実は以前からまろんさんの本棚をこっそり覗いておりました。
まろんさんのレビューは、感じたことがそのまま言葉になっているような、とても素直なレビューだと思いました。
わたし、毎回レビューを書くのにうんうん頭をひねっているのですが、なかなかまろんさんみたいなレビューが書けなくて・・・(´・ω・`)
まろんさんのレビューを読んで、わたしももっと上手に文章にできるようがんばります!
本書はノベルス版を書店で見かけ、気になっていたのです。
まろんさんのレビューを読んで、ますます読んでみたくなりました☆
私のミーハーな本棚をこっそり覗いてくださっていたなんて、
うれしいような、恥ずかしいような。。...
私のミーハーな本棚をこっそり覗いてくださっていたなんて、
うれしいような、恥ずかしいような。。。
その上、感じたことを書き連ねてついダラダラと長くなってしまう
私なんかのレビューをそんなふうに言ってくださって、ありがとうございます。
私こそ、すずめさんの本棚とレビューを見せていただいて
知らない作家さん、読んでみたい本にたくさん巡り会えて、うれしい限りです♪
この本、「ちゃ」とか「けぇ」連発の九州弁がとても小気味よく響いて
それを喋る子どもたちも本当に可愛らしいので、お時間があったらぜひぜひ!
それにしても、この講談社のミステリーランドシリーズの装幀って
全部揃えて本棚に並べておきたい美しさです(*'-')フフ♪