子どもの脳の発達 臨界期・敏感期 ―早期教育で知能は大きく伸びるのか?(講談社+α新書)

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著者 : 榊原洋一
  • 講談社 (2004年7月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062722537

子どもの脳の発達 臨界期・敏感期 ―早期教育で知能は大きく伸びるのか?(講談社+α新書)の感想・レビュー・書評

  • 生まれる前に読んだ脳科学の本はなかなか頭に入らなかったんだけど、
    今だと不思議と面白い。やっぱ実物が目の前にいるからか。

    最近早期教育の信憑性が気になっているので、
    客観的な視点で描かれている本はないか?
    と思い読んでみました。

    まず臨界期という表現の誤解。
    脳の発達が乳幼児期(またはそれ以前)~3歳ぐらいにかけて、
    急速に進み、あたかも

    「その時期でないと身につけることができない」

    という表現。この根拠になっている実験をあげて、
    また否定する根拠になる例をあげて、説明してる。

    まず、根拠になっている例で、人間を例にしたケースはない。
    哺乳類の中でも種によって進化や成長は大きく異なる。
    遺伝子情報が酷似しているチンパージですら、
    とても同じようには当てはまらない。

    なのに俗にいう「臨界期」はそれを当てはめている。
    または都合のいいように話を曲げて引用している。

    実際には、脳の発達が活発な時期はもっと長いスパンであり、
    思春期ぐらいまでは続くと考えられるらしい。
    その上、その後も成長が止まる。という考えは当てはまらない。

    なので正しくは「敏感期」と呼ぶべきじゃないかという話。

    逆に、10歳でIQ?が180あった天才少年も、
    大学入試のころには普通の成績になっていた、なんてこともある。
    ただ単純にピークが早かっただけの、「早熟」という考えだ。
    IQ?だったか、計算方法は年齢によって比例するらしいので、
    10歳で180だと18歳並、というだけで、
    どんな人間より頭がいい、というわけではないらしい。

    科学的な根拠になるともっと怪しい。
    「シナプスの形成され、その濃度が~」
    とか
    「xx部分の血流が起こることで、~」
    なんていう、もっともらしい事を述べる人もいるが、
    誰もシナプスの濃度や脳の血流と、
    脳の働きの関係を証明できていないらしい。
    シナプス・血流=天才ではないようである。

    他にも狼に育てられた子どもの話なんかも出てくるが、
    現在では科学的に考えれば、かなり嘘が混ざっているようで。
    よっぽど閉鎖的な、または劣悪(虐待など)の状況にいない限り、
    発育に障害が出ることはないらしい。
    それぐらい子どもの成長能力は自立しているという。

    もし、早期教育をさせたいなら、
    「何をさせたいか?」
    を明確にすることだそうだ。
    それで、期待通りに成長しなくても子どもにあたらない。
    当然だけど。そして無理をさせない。

    極端な例かもしれないが、逆に弊害になることがある。
    刺激を与え続けられることがストレスになり、障害が起きるらしい。

    また早期教育の効果としては、親が
    「やってあげてる」
    という充足感が得られること。
    これは嫌味な言い方ではなく、本能的にそういった仕組みが備わっているので、
    「そう思っちゃいけない」なんてことはないらしい。

    やっぱり「今だから」って考えは捨てて、
    やりたいこと・やらせたい事をのんびりやればいいかな~。
    でいろいろ経験はさせてあげたいです。

    研究者がそんなにわかってないんだから、
    今の時点で「こうしてやらないと」なんてわかるわけない。

  • なるほど、似非科学にやられてる部分があった。
    そう思わせられる話。
    早期教育についての諸説は聞いたことがあっても、その検証については知らないことが多い。
    あまり面白くないから。

    結局のところ、早期教育には興味は完全に失せなかった。
    しかし、それが効果的かどうかは検証されていないし、やった結果が出ないことを以て子供に才能がないと辛くあたるようなことになると、もはや。
    なかなか面白かった。

  • 『シナプスの数が多ければ優秀』という子育てに対するステレオタイプをエビデンスベースで否定している。おもしろい。

  • 図書館所蔵【379.93SA】

  • 早期教育については役に立つという証拠も害になるという証拠もともに「科学的な」ものはないので、やるなら反対はしないけどほどほどに、というごもっともな内容。著者は発達神経学などを研究している小児科医だそうで、科学的に正しくあろうとすればこういう無難な内容にならざるをえないのかもしれない。早期教育の草分けはソニーの井深大が書いた「幼稚園では遅すぎる」という本で、その根拠としては・刷り込みが起こるのは生後24時間まで・ヒューベルらの片眼遮蔽実験で生後2-3ヶ月瞼を縫い合わせたネコの視力は失われる・シナプス数は8-12ヶ月でピークに達し、あとは減少するのみ・8歳の狼少女は保護された後も言葉を習得できなかった。親から監禁・無視されたネグレクト児は6歳ぐらいまでに救出されれば言葉を習得できる。などが下敷きとなっている。どうも母国語については臨界期がありそう。第二外国語についてはニューポートの実験というものがある。7歳ぐらいまでに渡米してきた中国人の英語力はネイティブと同等だが、8歳以降に来た者の成績は次第に低下する、ということで7歳ぐらいまでに始めないといけない。ヒアリングも「馴化法」という手法で調べられている。lake,lake,lake,rake,rake,,,,という音を聞かせると、l->rに変わったところで(乳児がそれを聞き分けていれば)脳波が変化する。新生児から6か月までは、あらゆる言語についての聞き分け能力があるが、使う機会のない音の聞き分け能力は6か月以降失われてしまう

  • 子どもの早期教育は有効か?その裏づけである脳科学のキーワード「臨界期」は根拠があるのかを検証。啓蒙書や認知心理学の教科書によく登場する実験・逸話が気持ちよくめったぎりにされていく(現在は「敏感期」とらえるのが正しいとのこと)。著者のバランス感覚は確かなもの。再読。

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