仏教・キリスト教 死に方・生き方 (講談社+α新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062723008

感想・レビュー・書評

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  • 侶とシスターが対談を通じて、キリスト教と仏教での死にゆく人への接し方や互いの宗教に関しての意見を交換する一冊。

    どちらも相手に対し寛容だし、自分の宗教にあてはめて捉えていて、宗教はお互い相容れないものだと少し思っていたが、根源的なことは同じなのかなと思った。

    中でもほほーとおもった点を二つ。

    ・仏の語源は「ほどける」
    人間は死ぬ間際、つまり仏になるとき世の中のあらゆる煩悩から解放された(ほどけた)状態になる。
    その状態でその人から出てくるのはその人が純粋に大切にしているものである。(愛する人とのふれあいとか、感謝とか)

    そのような場合は、周りの人も「何とかして治さなきゃいけない」とか「最後はこういう見送り方がいい」などというのではなく、死にゆく人の願いを聞き、その人の波長に合わせながら寄り添うのがいいのだそう。

    そして、煩悩から解放され、自分にとって本当に必要なものがわかっている状態にある人は年齢に関係なく、人生の先輩なのだと著者は考えています。

    ⇒自分も最近祖父を亡くし、亡くなる直前は昏睡状態にあったらしいので、煩悩から解放され安らかな気持ちで旅立ったものだと願いたいです。
    祖母はまだ生きているので、何を望んでいるのかをしっかり聞いて過ごしていきたいと思った。

    ・原理にがんじがらめになると真理に近づけない
    原理とは数多の現実から抽出されるものであるが、実際にはどの現実とも完全には一致しない。
    ゆえに原理を大事にし過ぎると現実を無視することになる。
    原理と現実のバランスを取っていくことが重要

    基本的に宗教は時間がたつと原理に対し寛容になる。新興宗教の戒律は基本的に厳しい。

    ⇒宗教は突き詰めていくと見えなくなってしまう
    (宗教は置いている前提条件を論理的には証明できない。「そういうものだ」といくつかの前提をおき、それをよりどころとして話を進めるということ)
    それでもある程度の前提を受け入れて日々の生活の中に宗教の考え方を取り入れることで良く生きていけると思った。
    いろんな宗教のおいしいところ取りみたいになっていしまうが、そもそも信じる宗教の数も、程度も自由であるべきだし、それぞれの宗教は重なりあっている部分も多いので問題はないと思う。

    いままで宗教は敬遠していたが、祖父の死をきっかけにして興味をもち、この本で少し理解が深まった。
    新興宗教には胡散臭さしか感じないけど、仏教やキリスト教のような何千年も継承されてきた宗教なら古典のように学ぶべきポイントが大いにあると感じました。

  • 久々にいい本に出会ったと思った。

  • 宗教は人
    お二人ともでかい。

  • 素晴らしい本でした。
    図書館で借りて読んだのですが、手元に置いておきたくなり購入しました。

  • 他の信仰も認め、受け入れる姿勢が心地いい本でした。

    特に、鈴木さんの『死に方』についての語りに感動してしまった。


    この手の本を読むと、自分は拘るところが違うのではないか、とよく思わされる。
    理屈抜きで、とりあえず感じることが大切なんだなとも思わされる。


    後書きで何度か聞いたことのある話が載っているんだけど、何度聞いても感動してしまう。またこの話に出会えた。

  • いい対談集だった。
    学ぶことが凝縮された本。
    ・”日日是好日” 日々はそれぞれ独立した良い一日一日の連続である。
    今が最高なんだ。
    ・メーテルリンク「青い鳥」「山のあなた」の持つ意味。
    ・最大の愛は、感情移入。
    ・いろは歌とは・・。
    など・・・
    繰り返し読もうと思う。

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著者プロフィール

一九五六年福島県生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒業。八三年、天龍寺専門道場入門。現在、臨済宗妙心寺派福聚寺住職。花園大学仏教学科および新潟薬科大学応用生命科学部客員教授。二〇〇一年「中陰の花」で芥川賞を、一四年「光の山」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に、『禅的生活』(ちくま新書)、『荘子と遊ぶ』(ちくま文庫)、『やがて死ぬけしき』(サンガ新書)、『竹林精舎』(朝日新聞出版)などがある。

「2020年 『なりゆきを生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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