キリスト教は邪教です! 現代語訳『アンチクリスト』 (講談社+α新書)
- 講談社 (2005年4月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062723121
作品紹介・あらすじ
名著、現代に復活。世界を滅ぼす一神教の恐怖!世界を戦火に巻き込むキリスト教原理主義者=ブッシュ、アメリカの危険を百年前に喝破。
感想・レビュー・書評
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ニーチェの「アンチクリスト」の現代語訳というか超訳ということである。ただこの新書を語るときには、まず、原作よりも翻訳のあり方について語らねばならないだろう。
所詮、「日本語訳」を読むのだから意訳はどうしても必要と思う。原書に忠実?に直訳されても、おそらく自分ら一般人には理解が難しい。ただ、この書のような超訳はどうかという話である。
試しに近くにあった白水社「ニーチェ全集」(西尾幹二訳)の「アンチクリスト」のページをめくると、荘厳で詩的な調べのおそらく忠実に翻訳されたニーチェの言葉として記されている。また、そうであるが故に散文調の哲学的言い回しで(アフォリズム)、日本語文としては・・・という状態なのも確かである。(余談だが、西尾についてはその歴史に対する姿勢から、その思想については信頼が置けないと思っているのだが、この訳はたぶん真面目に訳しているのでしょうね。)
それに比べ本書の訳は大変にわかりやすく、ニーチェ自身の言葉からはかけ離れてしまったが、その意図はよく伝えているのではないだろうか。確かに超訳なのだが曲解までには至っておらず、また本書の巻末の解説にもある通り、逆に論旨が鮮明となりとてもわかりやすいので、実はその試みは成功していると言ってよいと思われる。
ただ、新書タイトルや表紙絵、また、各節の小見出しや固有名詞の解説は、100%訳者の意図でニーチェは関係なく、その趣旨は理解可能だが、論旨とは別の予見を読者に与えかねない行為であり、いただけない。
さて、本書である。(笑)論旨が逆に鮮明になりすぎたおかげで、過激さもUPしたのだが(笑)、くど過ぎるのと他者攻撃が激しいのとで、まるで酔っ払いの愚痴をきいているような感覚をおぼえます。(笑)イエス亡き後、キリスト教を体系化し、下からの宗教として世の中に浸透・発展させたパウロ。だが、ニーチェの目には真理を騙り、自らの利益の手段として神を騙る思想としてみえる。現代日本社会を生きるわれわれには計り知れないのだが、長い期間における、そうしたキリスト教教会とその聖職者の、聖俗を通した抑圧の深さへの最後の怒りの爆発のような感じです。個人的にも彼の怒りと論理に共感できる部分は多い。
ただ、長いものに巻かれているのが心地よい人が多数の世の中で、神が死にキリスト教から解放されてしまった後、人々の立脚すべきよりどころを探す道はとても険しく、ついてこれる人も少ないようにも思う。そうした「その後」についても気軽に考えることができる格好の一書。 -
衝撃的な題名にひかれて読んでみた。
ニーチェの「アンチクリスト」の現代語訳ということ。
ニーチェの気持ちはなんとなく分かるが、この人は弱い者には冷たいんだな、というのが正直な感想。 -
語尾に作為を感じる。その邪(よこしま)な意図に誑(たぶら)かされるほど私は若くない。やはり、『ニーチェ全集 14 偶像の黄昏 反キリスト者』を開くべきだ。適菜の超訳はイエロー哲学といってよい。哲学することよりも、むしろ扇情に目的があるのだろう。ニーチェは材料に過ぎない。
http://sessendo.blogspot.jp/2014/04/blog-post_9.html -
ニーチェの晩年の著作「アンチクリスト」を現代語にしたもの。
難しい哲学書かと思いきや、とても分かりやすく、また非常に引き込まれるスリリングな文体であった。
いわゆるニーチェの「キリスト教」批判であり、その矢は西洋の文明を作ってきた現実世界にはない「イデア」や「物自体」という概念を立てたプラトンやカントにも及ぶ。
キリスト教というのは弱者が復讐のためについた嘘によって成り立っている。
逆にニーチェは「マヌ法典」や仏教を高く評価する。
ニーチェが一貫して主張するのは「高貴に生きること」である。
意志の力を持つ自己を敬うことなのである。
ただしニーチェが批判したのは、イエス・キリストそのものや神の存在そのものでもない。
本来の神の姿を歪めたキリスト教の「神」を批判したのである。 -
限界や苦を、罪や罰などの非現実的な概念に昇華するキリスト教的なnegativeな思考はやめ、現実のものとして受け止めかつ乗り越えることで幸福を作り出せ。という話。ニーチェは一見弱者に厳しいが、ニーチェの理想とする強者が弱者をも救いよい世界を築くという論理なのだろう。
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ニーチェの「アンチクリスト」をめちゃくちゃかみ砕いた新書。永劫回帰や超人ばかり取り沙汰されるが反キリスト教はニーチェの思想の核である。死ぬほどわかりやすいのだが、書店で手に取りやすいのを狙ったようなタイトルがお粗末でもったいない。
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個人が集団に取り込まれ、自ら考えることをしなくなる危険。
考えることは面倒くさいから…
読了80分 -
金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18352
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA72536633 -
わかりやすいニーチェ
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松原隆一郎の後書きが無理をしていて微笑ましい。
そもそもドイツ語が読めないから、良い訳なのか悪い訳なのか、見当がつかないけど、日本語としては、読みやすくて、どんどん脳の中になだれ込んで来ました。
適菜 収の訳も、これはこれで、おもしろかったです。
どちらの本も好き。
コメントいただきありがとうございます!(^o^)/
そうですね~。西尾幹二のその言動とは違って、割と真...
コメントいただきありがとうございます!(^o^)/
そうですね~。西尾幹二のその言動とは違って、割と真面目に訳しているんでしょうね。(^_^;
適菜収の超訳はとにかくわかりやすいです。(^o^)