日本の「食」は安すぎる 「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062724906

作品紹介・あらすじ

安さだけの追求が、食品偽装を引き起こす。タブーを犯さなければ生産者は生きていけない。食品偽装の根源に迫る。本物には、必要な「適正価格」がある。買い支えよう、日本の素晴らしい食を。

感想・レビュー・書評

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  • 本当に安ければいいの?手軽で安いって何か欠けて無いですか?

    本書は消費者が安い商品を求め続ける結果、生産者は行過ぎた粗悪低コスト品を製造し人体に悪影響を及ぼす食材が増え続けていると警告しています。

    安価な地鶏は偽装の疑い、日持ちする低価格弁当は添加物漬け、黄身の濃い卵は色素混餌の仕業等等
    安い食材や食物は何かしらの手抜きや簡易的に製造された偽者であると著者は語り続けます。

    なるほどその様な傾向にある事は何となく直感的に理解できるし大方間違いの無い事と思うのですが

    本書中で例えば安い素材に何が使われているのか本物との違いは何処にあるのか、比較するデータや材料・産地・肥料・生産工程等科学的かつ客観的分析の表現が殆どなくひたすら安いは駄目、何処そこ何屋さんの何食物が美味い・安全などと主観的な話が多く読み進んでも記憶に残りません。。。

    ただ非常に共感した事は、ほとんどの人は消費者で有りかつ生産者(供給者)であるから異常な安価品を求める事は自らを苦しめる事に繋がると、消費するだけの人は殆どいないのだから適正な対価を求めうる商品を売買出来るサイクルが大切だと。

    私も心からそう思います。何世代にも亘って継続出来る将来を創る為に大切な事だと感じます。

  • ふむ

  • 2008年発行書なので、少し情報としては古い部分があるとしても、著者の主張はタイトルの通り「日本の食は安すぎる」だが、それでもビジネスとして成立していることから、換言すれば「消費者が望む安く出来る食に迎合した日本の食産業」だろうか。

    食の安全や信頼性にはコストが掛かるのは全く同意するし、方向性としては環境負荷を考え、また日本の食糧自給率の向上も必要。

    一方で、著者が言うところの「本物」を、現在の価格の何倍もする値段で販売することが、上記の解決策となるのか。
    飛行機と車で富良野に行き、一杯800円のラーメンを食べることや、マクドナルドと比較する段で3200円のハンバーガーに価値観を求めるているのを見ると、そう言う流れで全体が構成されていると勘違いされるのではないかな。
    生産者や販売者も、消費者と同じ立場に立つべきだと言うのは理解できるとしても、やはり笑顔で「いらっしゃいませ」と言ってくれる方が好感を持てると思うのだが。(著者はやりすぎと言う立場)

    有機農法と手作りで、高くなっても買いたいと思う人は買うだろうし、貧困家庭で1日のエネルギーを供給出来れば良いと言う人は、今のままでも良いだろうし(もっと安くと言うダロウが)、要は色々な機会が提供されれば良いのではないか。利益を出してナンボの民間企業や販売店にそれを求めても、規制でもしない限りは無理な話しだと思う。

  • 食生活ジャーナリストとして、またちょっと聞き慣れない「農産物流通コンサルタント」として活躍する「やまけん」こと山本謙治が放った新書第一弾。新鮮・安全・しかも美味しい食品というのは高くて当たり前という信念のもと、値段の安すぎる日本の外食や食材を疑問視し、その謎を明かす。日本の食品業界では「強い消費者」を満足させるための苦労が生産者側に転嫁されており、安い食材を大量に供しなければ回らない状況こそが添加物の大量使用や食品偽装を生み出していると考える。流通の利便性や生産効率だけが優先される結果、スーパーなどでは「安すぎる食品」が大量に出回っており、こうなると健康面のみならず社会構造的にもヤバい状況であると訴える。安い食品を探し求める事よりも、少しばかり高くても優良な生産者を「買い支える」ことの重要性を説いた本書は消費者の良心に訴えるパワーがある。グルメサイトとは一線を画し、「よい食事」を追求してひたすら旅を重ねる食の記録・『やまけんの出張食い倒れ日記』は傑作!

  • う〜む、確かに日本の農家の為にも、買い支えるってのは大事だと思うし、結構いいこと書いてると思うけど、売れないだろうなぁこの本。

  • 高度成長期の中程までは、モノを生産・製造する側の力が強い売り手市場だった。ところがバブル崩壊前後から、あきらかに消費者の側に力がシフトしてしまった。明らかに安すぎる食品が繁茂している中、最も発言力を持つ消費者が購買という「権力」を正しく行使していくことこそが日本の食をより良い方向へと進めていく推進力となるはずだ。

    牛肉や野菜の生産工程、その費用の話題にはまさに目からウロコであった。チェーン店等のあまりにも安すぎる食品は必ずどこかでしわ寄せが発生している。売り手側の事情を知り、行動に移すことがこの消費社会の流れを変えるために消費者ができることではないだろうか。

  • 文章は読みやすく分かりやすい。自分も労力や経費に対して安すぎるとずっと思っていた。
    消費者の無理解に原因があるという言い分も分かるが、「本物」をつくるために必要な適正価格を、生産者側も主張してほしいと思った。

  • 社員食堂のカレーライス(\240)に具が少ない、高いと文句を言う同僚たちに読ませたい。

    消費者が安いものを求めるあまり、メーカーはコスト削減を強いられ、品質が低下したり不正を引き起こしたりしてしまうのだというはなし。
    人の価値観はそれぞれなので、安いものを選択する人がいてもいいけれど、商品の値段がつけられた理由を少し考えてから買うのとただ飛びつくのでは大きな差があると感じた。

    そして、これは食品以外にも言えることだと思う。
    メーカーが適正な価格で作って、消費者が納得して買って、労働者にきちんと報酬が支払われれば、経済が回るしみんな幸せだと思うのだけど、楽観的すぎかなあ。

  • 自分の口に入るものにはもう少し気を使おう!と心に誓いました。早速お肉やさんでハム買ってみたらおいしかった。

  • 知識のない消費者のクレーム処理のために発生した費用は結果消費者に返ってくるということは、クレーマーの人には知ってほしい。
    麦茶のからを餌にしている豚がいるという。国内で賄える餌で飼育されている家畜が増えてほしいと。
    麦茶はよく飲むので、うちの殻も使ってほしい。
    とりあえず短角牛を食べてみたいと思った。

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著者プロフィール

1971年、愛媛県に生まれ、埼玉県で育つ。1992年、慶應義塾大学環境情報学部在学中に、畑サークル「八百藤」設立。キャンパス内外で野菜を栽培する。同大学院修士課程修了後、(株)野村総合研究所、青果流通の(株)シフラを経て、2005年、(株)グッドテーブルズ設立。農産物流通コンサルタントとして活躍中。ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」。著書に『日本の「食」は安すぎる 「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない』(講談社)など多数。

「2022年 『エシカルフード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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