- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062725781
作品紹介・あらすじ
子どもも大人も使える「人と関わるスキル」。有名大学の人気講座をまるごと公開。宮台真司(社会学者)、森達也(ドキュメンタリー作家)、名越康文(精神科医)氏らの「特別授業」も収録。
感想・レビュー・書評
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「コミュニケーション力」も取材の一歩から
「知るは一時の恥、知らぬは一生の恥」…
事務職、営業職を問わず、人とコミュニケーションする力
=「人の話を聞く力」が必要だ。
その基本の力がつく方法を伝授。
社会の肌触りを体感する。
自分の身のまわりを掘り下げる。
相手の怒りから逃げてはいけない。
「あたりまえ」のことをする。
パターン認識で相手との共通項をさがす。
「出会う」プロセスも大切。
「場」と「空気」も大切。
相手の「見た目」は情報のかたまりだ。
「反逆する風景」(犯罪者の家族が楽しく生活していることなど)
を無視してはいけない。
共同体や文化背景からくる「言葉」を読む。
必ず「生身」に触れること。
…以上のことを学びました。
「人とつながる」ということはどういうことなのかを
教えてくれます。
情報化が進んだ現代ではネットで調べただけで
つい「分かった」気になってしまいますが、
やはり実際に「生で」会わないとその真髄は
感じ取れないんですね。
私も筆者のように「足で書く」ことができるように
なりたいと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
↓貸出状況確認はこちら↓
https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00165410 -
ベテラン・ノンフィクションライターの著者が、いつくかの大学で担当してきた「ノンフィクション論」「取材学」の授業内容をベースにしたもの。ゆえにこの書名になっているが、けっして初心者向けの内容ではなく、私のようなライターが読んでも参考になる点が多々ある。
むしろ、「このへんは大学生には高度すぎるのでは?」と思わせる部分も少なくない。なにしろ、著者の授業にはほとんど本を読まないような学生も参加しているそうだから……。
《取材のスキルには普遍性があり、メディア業界以外の日常でも「使える」ものなのです。営業の仕事であれ、人の悩みを聴く仕事であれ、介護の仕事であれ、犯罪をした疑いのある人を取り調べる仕事であれ、さまざまな職業で「使え」ます。》
……と著者もいうとおり、本書はライター/ライター志望者にかぎらず、「人に話を聞く仕事」に就いている人なら一読の価値があると思う。
宮台真司、森達也、名越康文、永江朗などをゲストに招いた特別授業の内容も収録しており、著者一人の考え方/方法論のみに偏っていないところもよい。
著者自身の取材の舞台裏を明かしたくだりも多く、それらのエピソードが総じて興味深い。たとえば――。
《ぼく自身も取材をした相手の怒りを買うことはあります。
犯罪被害者遺族の取材をライフワークにしていますが、あるとき、ぼくは新著のお知らせを一斉メールで送ったことがあります。その文面の末尾に「皆様のご多幸をお祈りします」と書いたところ、ある遺族から「最大の不幸を味わった人に多幸などない」と罵倒されたことがあります。ぼくは勇気を出して、すぐに遺族のもとに赴き「至りませんでした」と謝罪しました。》
取材というものの奥深い魅力を伝える一冊だ。 -
取材に限らず、目的を持ったコミュニケーションのハウツー本としてレンタル。
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三葛館一般 070.16||FU
本書は、ノンフィクション作家である藤井誠二さんが大学で「取材学」を講義されたときの今までのエピソードと、著者が実際行なった豊富な取材体験を例として挙げながら「取材」や「コミュニケーション」の本質についてまとめられていて、人とコミュニケーションする力を身につける方法もきめ細かくレクチャーしてくれています。
また、本書は読むことでコミュニケーション力について学べるだけでなく、著者のセルフノンフィクションとしてもとても愉しめる一冊です。
コミュニケーション力は、事務職や営業職はもちろんのこと、みなさんが将来目指す医療や看護の仕事においてもとても必要で、非常に役立つ力だと思います。みなさんも学生のうちに本書を一読し、内容を楽しみながら「コミュニケーション力」をレベルアップさせてみませんか。
(かき)
和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=60158 -
ああ、読んでからすぐに記録つけてへんかったから、全然覚えてない。ただ、さすが藤井さんだと思ったような記憶はあるから、深いことが書かれていたように思う。まぁ、これはいつかまた読む本でしょう。
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ノンフィクションライターが大学で行った「取材学」の講義をまとめたもの。バーチャルなコミュニケーションが増える中,「生身の人間」と対峙することの意味,大切さなどを説く。最近,色んな人と交渉する機会が増えて,メールでのやりとりを重ねるけど,やはり最後は自分の肉声で伝えることが必要だな,と感じていたので,タイムリーな本でした。人と直接関わるのは確かに面倒だけど(いや,私が面倒だと思うだけかもしれないけど),結局それがあるから自分の中に一つ一つ経験を積んだ厚みが出るんじゃないのかなあ,と遅ればせながら気づいた次第。大学生のコミュニケーション能力向上には非常に有用な講義ですね。本読むだけじゃなく,やはり人間から伝えられたい内容でした。
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読んでいて、「コミュニケーションとは、こういうものなんだよ」と、教えられている気がした。その辺は自己啓発本などに通じる部分があると思った。真新しいことが書いてあったわけではない。結局は取材というものは、いかにして他者とのコミュニケーションを円滑にさせるかに尽きるのだなと、本書を通して強く感じた。また、ものを書く上ではその中に「不整合性」を取り入れるべきであるという主張はとても勉強になった。その「不整合性」の重要性については、辺見庸『反逆する風景』で詳しく述べられているらしいので(本書でも何度も引用されている)、次はそちらを読んでみることにする。