日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062726382

作品紹介・あらすじ

食糧危機と農業弱者論は農水省によるでっち上げ!年生産額8兆円はアメリカに次ぐ先進国第2位!生産高-ネギ1位、キャベツ5位、コメ10位!7%の超優良農家が全農産物の60%を産出。

感想・レビュー・書評

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  • なかなか興味深い内容。農業の補助金漬けをやめるべき、輸出を促進すべきなど、一部の主張には頷くこともできる。ただ、全体としては低評価。その理由は、何よりもまず出典の欠如。一部には記載してあるものの、参考文献リストもないし、こういう状態でだらだらと自説を開陳されても、果たしてほんとうに正しいのかどうか読者には判断ができない。この手の本でまず守らなければならないことを満たせていないという点で、もう高い評価は与えられない。また、そのデータの活用の仕方も、どうも自分の都合が良いようにしすぎているふしがある。たとえば農家の高齢化は問題がないとするくだり、8割が「疑似農家」(=農業を専門的・本格的に取り組んでいない農家)だとしているが、でも残り2割に農業生産の大半を占める大規模農家が含まれるのだとしたら、それは問題だと思うが、なぜかそこはスルー。大規模農家のあいだで高齢化問題があるのかないのか、肝腎なところは書いていないのである。そもそも売上の大半は大規模な農家が占めていようとも、ほかの農家が滅びて良いということはないだろう。この本のなかでは、一事が万事そういったトーンで書かれているが、たとえば経団連の大手企業が輸出額の大半を占めているからといって、そのほかの中小企業からの輸出がなくなってしまっていいかといえば、そんなわけはないはずだ。そう考えると、本書における論の進めかたには問題があると感じる。だいたい、統計上の数字ではなく実態を見ろと主張している箇所があるのに、終盤では他国の数字の伸びを引き合いに日本の農業政策を論じるなど、とにかくいろんなところから自分に都合の良いデータを引っ張ってきているから、姿勢が首尾一貫していないのである。農水省を噓だらけ、国民を騙していると喝破しておきながら、本作の論調も騙しそのもの。参考になる部分はあるので読むなとはいわないが、真に受けておなじ主張を展開するのはやめたほうがよい。

  • この本の著者の会社が企画した、オーストラリアメルボルンの農業視察にぎりぎり間に合う形で、本を入手でき、視察中に読み終えることがてきた。

    この本は、食に携わる人には、是非読んでいただきたい一冊である。

    本当の食糧問題とは何か、食の世界におけるマーケティングは誰かやっているのか。世界の数字を、きちんと紐解くと、世の中はこのように見えてくるのではないか。

    昨今、農水キャリアから天下りせず、仕事をしている人たちも、同じような主張をなさっている。

    事実を数字で捉え、政策を決め、感情を反映させたマーケティングにより、消費を導く初動をつければ、後は経済の理論で需給のバランスが取られて行くのだろう。ただ、現在は余りにも、偏った情報により、需給バランスが偏っていると言わざるを得ないのだろうと思う。

  • 食料自給率というものが殆ど日本の農政官僚の造語だと知っただけでも値打ちがあった。self sufficiencyをネットで調べればたちどころに分かるはずだったのだが。世界的にはエネルギーに関して使われる概念である。

  • 自給率政策や兼業農家に対する批判は的を射ている部分もある。しかしながら、組織率の高さを批判する(確かに、行政機関の組織率は一般企業と比べて格段に高いのは事実だが)、「ヤミ専従する職員に戸別所得補償制度の補償金は任せられない」など、支離滅裂かつ極端な表現も多い。また、「メディアは農林水産省の言うことを鵜呑みにしている」とも批判する一方、FAOSTATからの情報など海外情勢についてはその数値根拠が示されず、筆者の『鵜呑み』が見られる。幅広く批判を展開するも、私が読み終わっている部分までではその対応策が書かれていない。彼こそは「農協の大罪」などの書籍を熟読してもう少し農政の歴史と状況を把握し直す必要がある。対応策が八つ挙げられていた。でも、誰が、どうやって進めるかは書かれていない。コピー大国中国で「とちおとめ」の権利を誰がいくらかけてどう守るのか。皮算用も大事だが、人や組織の役割分担がもっと書かれていてもいい。2011年1月24日
    【再読】
    FAOSTATなど、統計資料に関心を持つきっかけにはなる。ただし、ヤミ専従など別の問題との混同は、やはりよくない。組織率の高さは、官庁では多く認められるため全農林だけではない。この種の本によくある「提案」も、だれが、どのようにしてという論理に基づいていない。こうしたらよかろう、というのはある種の無責任といえる。現状でどこのどれだけの職員がどのような仕事をしているが、「提案」どおりにすることで、どの程度の事務負担を軽減できどのように実行できるか、が書かれなければ「提(案)」、要するに(案)を述べるだけになる。そのためには、現状の分析がもっと必要である。つまり、1冊では相当限界がある。もう少し構成等から検討しなおす必要がある。
    2016年2月10日

  • 食糧危機と農業弱者論は農水省によるでっち上げ!年生産額8兆円はアメリカに次ぐ先進国第2位!生産高―ネギ1位、キャベツ5位、コメ10位!7%の超優良農家が全農産物の60%を産出。

  • あちこちで指摘されているように、とにかくこの国の農業の時代遅れっぷりや、既得権守ろうぜ的な状況に一石も二石も三石も投じる一冊。
    データを用いての理にかなった論説です。
    付箋は18枚付きました。

  • 農業生産高8兆円。世界5位、先進国では米国に次ぐ2位という事実。自給率のからくり。日本のコンバイン数、断トツの世界一。疑似農家と農水省が悪の元凶。201408

  • 読書録「日本は世界5位の農業大国」4

    著者 浅川芳裕
    出版 講談社

    p78より引用
    “このあまりにも不毛な仕事は、実際は何も
    しなくても一般国民に直接的な不利益はもた
    らさない。そのため、彼らは仕事などしなく
    なるだろう。そして、暇すぎるがゆえに悪知
    恵も生まれやすい。”

    目次より抜粋引用
    “農業大国日本の真実
    国民を不幸にする自給率向上政策
    すべては農水省の利益のために
    こんなに強い日本農業
    本当の食料安全保障とは何か”

    農業関連誌を手がける著者による、日本の
    農業の現状について書かれた一冊。
    食料自給率についてから食料輸出入について
    まで、日本農業のかかえる問題が資料やグラ
    フを交えて書かれています。

    上記の引用は、とある仕事についての一節。
    小人閑居して不善を為す、といったところで
    しょうか。詳しくは本書を読んで貰いたいと
    ころです、頭がいいはずの人たちなので、も
    っと忙しく働いてほしいと思います。
    この本に書かれていることが全て本当かどう
    かわかりませんが、テレビで大きく言われて
    いるほど、日本の農業はひどい状況ではない
    のかもしれませんね。
    現状を打破するのは圧倒的な楽観主義であ
    る、というセリフを、どこかの漫画で読んだ
    気がします。気を楽に持って、前を向いて進
    みたいものですね。

    ーーーーー

  • 日本の食糧政策について、表立って公表されている事実に反論する形で検証を重ねている。日本の食料自給率は決して低くはなく、見せかけ上農林水産省によって低いように見せられているということがメインの主張。農業が非常に高度な産業で近年効率化が進んでいること等、データとともに説得力のある主張だとは思った。ただ、本著に書かれていることが本当だとしたら、世の中の通説の多くが覆されることになる...慎重に読み返したい。

  • 食料自給率のカラクリガわかる本。二種類の算出方法があることは本書を読むまで知らなかった。

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著者プロフィール

1974年山口県生まれ。作家、翻訳家、ジャーナリスト

「2017年 『これからの地域再生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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