ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 395
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062727266

作品紹介・あらすじ

「活動的なバカより恐ろしいものはない」-ゲーテ。小泉純一郎、小沢一郎、鳩山由紀夫、菅直人。なぜ我々は三流政治家を権力の中枢に送り込み、「野蛮な時代」へ回帰したのか?「B層」をキーワードに、近代大衆社会の末路を読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 簡単に言ってしまえばよくあるポピュリズム批判の書なのだが、一時期流行した下流本に通じる後味の悪さが残る。下流本より始末が悪いのは、人を収入や保有資産の"量"でなくIQという"質"で差別している点。確かにB層自体でなくそれを利用して利益誘導するA層をやり玉に挙げているのだが、終始上から目線でB層を見下しているのが気持ち悪い。IQが先天的なものか、努力で挽回できるものなのかは知らないが、仮に前者だとするとそれを見下しても仕方なくないか?無駄に分断を煽るのは支配層の常套手段である。騙されてはいけない。
    さらに本質的な疑問として、ターゲティング分析においてタテのIQ軸はわかるが、ヨコ軸の近代的価値観、つまり保守-革新の分類には普遍性がないように思える。郵政民営化などの政策誘導にはこの層別が有効だろうが、グルメやカルチャーにまで敷衍できるとはとても思えない。SNS上ではむしろD層(いわゆるネトウヨ)の影響力の方が大きいし、IQの低い下半分を搾取しているのも著者を含むC層(保守資本家層)ではないのか。バズワード化を狙った”B層”という概念に大して説得力がなく、文体の下品さも相まって逆に聡明でない印象を受ける。

  • ちょっと見るに耐えない。哲学者と言えるレベルなのだろうか。
    1章の初めの文は何だったのか、学者なんだから問題提起からの考察を書いて欲しかった。
    B層を批判してばかりで敬意の感じられない文はとても教養があるとは言えない。
    さらに自分の意見も無いようでは居酒屋の愚痴レベルではないか。

    B層の判定が厳しすぎて国民の9割位が当てはまりそう。
    それならば民主主義として9割を重視するのは当然である。バカにすることではない。
    自分も知らない分野ではB層であるという自省が必要かと考える。

    こういう反応を狙って書いたとするなら作者には見どころがあるが、それでも一発屋止まりであろう。

  • ある人の話を聞いて呆れるより笑ったのは、医者から言われたことは「何か信用でけへん」とか言うといて、そのくせ「みのさんがテレビで言うとったんやて」て言って、何の考えもなくそのとおりにしたんやて。
    普通、医者のほうを信じるやろ。
    B層って、簡単に言うたら、そんなタイプの人間のことやろ。

    でもなあ、A層からD層までの4つの区分って、正直、わかりにくかったわ。
    確かにB層と、それを影であやつるA層については具体例をあげてわかりやすかったよ。でもC層とD層の人って、具体的性向とか指向分析とかほとんど書いてないやん。要は最近IQが低くて自分で判断できんくせにデカイ顔してる社会層ってカテゴライズをしたいんで、あえて郵政改革のときのコンサルの企画書をひっぱり出してきて、その「B層」のなかに、うっとおしい社会層を押し込んだだけのように思えるけど。

    そもそも、この企画書自体、血液型で人の性格を4つに区分けするのと同じくらいナンセンスやで。ベースとなってるもん自体がまゆつば。でもそれをまあ脇に置いといて、最近はびこるアレな奴らをなんとか類型化したい、ってゆうアイデアは面白いし評価したい。ラーメン屋に並んでる奴とか、くだらんテレビタレントとか、「社会のために」オレも射殺したいよ(笑)。

    …って言うふうに、ちょっと自分で溜飲さげるためのネタ本って考えたほうがええんちゃうん?
    この本だけで社会問題がどうとか政治がどうとか言い出すんは、冒頭のみのもんたを妄信するんと同じやで。表紙のゲーテの肖像見ただけで、難しくとってるんちゃうか?現代新書ちゃうんやで。プラスアルファ新書やで。パロディとかギャグってことでええんちゃうん。

    それよりも東日本大震災直後に、愛知県日進市の花火大会で福島県川俣町の業者が製造した花火の打ち上げが中止された事件のほうが気になる。なんでって、日進市に苦情とか言うたんがたった20人かそこらで、それで中止決定したんやろ。少数のアレな奴らが足を引っ張って全体の意思を形成し、何か過剰な方向に進む…そっちのほうが怖い。
    適菜さん、そういう真の危ない社会的階層の分析と対策の提示こそお願いします。
    (2011/10/2)

  • vol.153 日本を滅ぼす「B層」の正体とは?誰が日本をダメにしているのか。
    http://www.shirayu.com/letter/2012/000306.html

  • 【由来】
    ・勝間 ズルい仕事術 P82

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • この本は、B層と呼ばれるマスメディ等のメッセージをそのまま鵜呑みにしてしまう人が急拡大した土壌、将来の影響について考えるもので、B層を批判したり、からかったりすることがこの本の目的ではない(らしい)。
    まあ知識として読んで良かったとは思う。

    【B層とは】
     知的程度がそれほど高くなく、A層(財界勝ち組企業・大・学教授・マスメディア)から投下されたメッセージをそのまま鵜呑みにしてしまう層
    具体的には、
     騙されても信じた自分がバカだったという感覚もなければ、恥じらいもない
     凡庸であるがゆえに偉大な人間を理解できない
     権威・マスメディアを根拠もなく信じる
     歴史を知らない
     自分の意見を社会に押し付ける

  • B層の定義が不明確。著者の気に食わない人、その考えに流された大衆=B層で括ってひたすら悪態をついている感がある。ゲーテはあまり関係ない。

  • 人民を四象限に分割し、自分で考えず他者の発言を自分の意見として流布する層に目標を絞って洗脳工作する図式。
    それが日本で明示的に企画された起源が郵政民営化だという指摘に、なるほどと思わせられた。

  • 日本をダメにしたのは官僚ではなく、B層 小泉、小沢、鳩山、菅…、「民意」を問い続けると恐ろしいことが起きる! 衣食住、文化、スポーツ、すべての分野で起きているB層化現象をゲーテ研究者が解説

  • とにかくいまの日本の政治、文化もろもろの批判を、ゲーテの言葉を援用しながら述べている感じ。初めのうちは、共感できるところも多く面白かったのですが、後半につれゲーテは!ゲーテは!などと、なにか洗脳でもされているように感じました。それに、B層に向けられて音楽をつくっているかも確かではない、EXILEやB’zのような音楽グループのヒット曲を単に駄菓子扱いするのはどうかと思います。人は何かを生み出す際に、社会の需要に媚びない、ただなにか作品を生み出したい、伝えたいという思いも持つものです。筆者はそういう経験がないから、軽い発言を出来るのではないかと思います。とにかく、筆者のように歴史・哲学を考察し、いまの社会の悪を分析するのもいいと思うのですが、それだけの視点からは捉えることができないものあると僕は思います。

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著者プロフィール

1975年、山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作「アンチクリスト」を現代語訳した『キリスト教は邪教です! 』『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?』『日本をダメにした B 層の研究』(ともに講談社)、『日本人は豚になる:三島由紀夫の予言』『日本をダメにした新B層の研究』(ともにベストセラーズ)ほか、祥伝社新書に『コロナと無責任な人たち』『100冊の自己啓発書より「徒然草」を読め! 』『ニッポンを蝕む全体主義』。『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』(中野剛志氏との共著、 ベストセラーズ)など著書50冊は以上。

「2023年 『古典と歩く大人の京都』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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