ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062727563

作品紹介・あらすじ

なぜ日本人は騙され続けるのか?"奴隷の幸福"の真実。

感想・レビュー・書評

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  • B層とは、グローバリズムや改革といった近代的な価値観にPOSITIVEでありながら、IQの低い大衆を指すらしい。そして、日本は、政治家も含めて社会のB層化が急激に進んでおり、その意味でニーチェの説く終末論に近い。それは認めましょう。作者の適菜収がこきおろす野田も小沢も橋下も原口も、君の言うとおりの人物でしょう。でも、ニーチェは、ボクらの社会が、今後どうすべきかを語ってくれない。本書は、ボクは「A層だから違う」って思いこめる、限りなくB層に近い行動様式をもった「あなたの嫌いな」一般大衆の知識欲を満たすだけの批判本にすぎない。

  • めちゃくちゃ否定して揚げ足取りたくなる本だった。途中からそういうエンタメ本なのでは?と思えるほど。

  • 格調のある悪口は好きですがこういうものはちょっと…

  • ・さすがに読んでいて気分がいいものではない。この本を読むのもB層の人たちを想定しているのか?
    ・B層をひとくくりでまとめてしまう事にも危険を感じる。それこそ、読者を思考停止にさせるものではないか。

  • この本は、いわゆる「B層」の行動原理等について書かれたものです
    前著「ゲーテの警告」と似たような部分が多いのは、まあ同じ内容を書いているのですから仕方ないかと思います。
    前著も「本書の目的」として書かれた項目からぶれまくっていましたが、本著は同様です
    そもそも目的が何かという明確なものがなく、単に著者が書きたいことを(脈絡もあまりなく)書いているという感じです
    結局、ではB層を脱却するにはどうするか、ということになりますが、そのような視点では書かれていませんので、「知識」以上の何かを期待できる内容ではありませんでした

  •  若手哲学者が、自らの専門であるニーチェの哲学を援用し、現在の日本社会に警鐘を鳴らす評論風エッセイ。評論というほどきっちりした内容ではない。

     副題にいう「B層」とは、小泉純一郎首相時代の「郵政民営化選挙」において、広告会社が小泉側の宣伝企画を立案する際に想定した概念。「具体的なことはよくわからないが小泉純一郎のキャラクターを支持する層」を指すが、いまでは小泉うんぬんを離れ、「自分のアタマで物事を考えない愚民層」くらいのニュアンスで使われている。

     著者はこの「B層」にあたる人々のことを、本書の中でさまざまな角度から思いっきりバカにする。つまりは愚民思想の本であり、民主主義否定の書でもある。
     その意味では、民主主義を否定して封建主義者を名乗る呉智英の亜流ともいうべき人だ。

     私は呉智英の著作は愛読してきたが、本書はまったく面白くなかった。呉智英の文章にある芸も愛嬌もなく、読んでいて不快になる「上から目線」の悪口ばかりが並んでいる印象なのだ。
     たとえば、何店かの有名鮨屋を「B層に迎合したB層鮨屋」と呼んでクサすくだりなど、イヤミでエラソーなだけでユーモアも鋭さもなく、読んでいてうんざりした。

     ニーチェの思想の、私が知らなかった一面を垣間見られたことだけが収穫。この著者の本はもう読まない。

  • ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒 (講談社+α新書)

  •  基本的には右翼的言説による大衆社会批判。
     それをニーチェに基づいてやるというのがひとつの特徴。
     もうひとつは前著『ゲーテの警告』で用いたという「B層」という概念の使用。

     B層というのは、2005年、いわゆる郵政選挙の時、自民党が広告会社に作らせた企画書に登場するもので、IQの高低と構造改革への是か否かで国民を4つに分けたもののうち、比較的知能が低くて構造改革に肯定的な一群をいう。郵政選挙の取り込み対象はB層であり、著者の攻撃対象もこのB層である。構造改革に肯定的ということは「民主」「平等」「人権」といった近代的価値観を無批判に受け入れている一群ということであり、これが日本をだめにしているというのが著者の主張である。

     確かに現在、民主主義は悪しき面を示しているかもしれない。そうしたいらだちには私も共感するところは大いにある。しかしながら、民主主義においては少数意見を尊重しろとはいわれるものの、実は尊重されないと著者は指摘する。そのくせ、ニーチェに基づく「正しい格差社会」において《精錬された者》が《凡庸な者》を大切に扱うのは義務であるとニーチェはいうと著者は述べるのだが、その義務はえてして守られないので、次善の策として民主主義ができたのではないだろうか。総じて現代社会への痛烈な批判は面白いが、深みには乏しく、期待はずれだった。

     だいたい著者は、本書をどの層に向けて書いているのだろうか。行がえと太字の多用は読みやすいので、知的に低い層を狙っているとしか思えないのだが、著者によれば「バカを論駁するのは不可能」であり、B層に対して訴えかけているとしたら矛盾である。いやB層は自分がB層だとは思っていないので、著者の弁舌でB層の思想を変えようという深謀遠慮の書なのかも知れないが。

  • なるほど!と納得できる部分も多いが、はぁ?となる部分も多かった。結構賛否両論ある本みたいですね。

  • 19世紀の終わり、ニーチェはこの先、2世紀がニヒリズムが徹底されていく過程と予言しました。その予言は的中。あらゆる「真理」の根拠を失った近代人は、ますますおかしな袋小路に閉じ込められるようになりました。政治やJポップ、グルメ、経済などを素材に、「なぜいまの世の中はおかしいのか」を明らかにしていきます。B層=近代を妄信するバカの行動パターンを分析することで、今の時代の病を浮き彫りにします。

    はじめに 神は死んだ!
    第一章 どうして今の世の中はおかしいのか?
    第二章 ニーチェの警告
    第三章 B層グルメとBポップ
    第四章 知識人はなぜバカなのか?
    第五章 B層政治家が日本を滅ぼす

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著者プロフィール

1975年、山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作「アンチクリスト」を現代語訳した『キリスト教は邪教です! 』『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?』『日本をダメにした B 層の研究』(ともに講談社)、『日本人は豚になる:三島由紀夫の予言』『日本をダメにした新B層の研究』(ともにベストセラーズ)ほか、祥伝社新書に『コロナと無責任な人たち』『100冊の自己啓発書より「徒然草」を読め! 』『ニッポンを蝕む全体主義』。『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』(中野剛志氏との共著、 ベストセラーズ)など著書50冊は以上。

「2023年 『古典と歩く大人の京都』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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