ルポ ニッポン絶望工場 (講談社+α新書)

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著者 : 出井康博
  • 講談社 (2016年7月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062729567

ルポ ニッポン絶望工場 (講談社+α新書)の感想・レビュー・書評

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  • 外国人技能実習制度で来日した実習生が、実習という名目で低賃金・重労働の仕事に就き、残業代の未払いやパスポートの取り上げといった人権侵害を受けている。欧米の人権団体などには、日本の実習生を「現代の奴隷」と呼ぶところまである。しかし、この実習生より酷い待遇を受けているが、出稼ぎ目的で来日した留学生たち。彼らは多額の借金を背負い入国し、実習生もやらない徹夜の重労働に明け暮れる。そうして稼いだアルバイト代も、留学生の日本語学校に吸い上げられる。日本で最底辺の仕事に就き、最も悲惨な暮らしを強いられている。新聞やテレビが決して触れない留学生たちの悲痛な叫びと怨嗟。変質していく来日外国人との向き合い方を深く考えさせられた。

  • せっかく、親日派で日本を訪れた人たちに、より日本を好きになってから自国へ帰って欲しいけれど。

    しかし、この現実は、ひどいなあ。

    特に、新聞配達という奴隷労働を、新聞が報道しないという、日本のジャーナリズムのダメさ加減が絶望的。

    日本の新聞の言説なんて、ホント信用できないよな。
    政府与党や警察権力やスポンサーに屈服しない、真のジャーナリズムは、日本の新聞には、無い。

  • コンビニは244時間営業しており、すぐに食べられるサンドイッチや
    おにぎりが並んでいる。雨の日も、風の日も、台風の日も、雪の日も
    宅配の新聞は必ずポストに配達される。ネットなどの通信販売で
    購入した商品は指定時間内にきちんと届く。

    便利であることを便利であると感じないほどに、私たちの生活の便利
    になっている。だが、その「便利な生活」を見えないところで支えいる
    人たちがいる。

    そんな人たちのなかに含まれるのが本書で取り上げられている外国
    人労働者だ。みんながみんな、就労ビザで日本にやって来るのでは
    ない。技能実習制度や日本語学校や大学への留学を名目とし、来日
    した彼ら・彼女らが働いている。

    技能実習制度の問題点については数年前からメディアが取り上げるよ
    うになったが、留学名目での来日も実態は勉強することではなく日本へ
    の出稼ぎが主な目的なのだと著者は言う。

    実際、借金までして自国で斡旋業者に多額の手数料を支払い「勉強し
    ながら20~30万円を稼ぐことが出来る」と言われ、夢を希望に来日した
    はいいが、現実との乖離に直面しにっちもさっちも行かなくなった留学生
    の生活を追っている。

    基本的な問題として受け入れる側である日本の制度自体に問題がある。
    それは鳴り物入りで始まったインドネシアとフィリピンからの看護師・介護
    士の受け入れだろう。本書でもこの件は取り上げているのだが、私はこの
    精度が始まった当初、日本語での国会試験合格というハードルの高さが
    気になっていた。

    まず日本語という高い壁がある。本国では看護師・介護士として働き、既
    に専門知識を有しているであろう人たちを目の細かいふるいにかけること
    が受け入れ制度になるはずがないではないか。

    本書は在日外国人が晒されている厳しい環境を知るにはいいのだが、同じ
    問題点の指摘の繰り返しが多く少々残念。受け入れる日本側の問題点も
    あるのだが、現地の斡旋業者の取材は出来なかったのかな。この視点が
    あるともっとよかった。

    日本政府は外国人による家事サービスを解禁しようとしている。看護師・
    介護士の受け入れさえまともに出来ないこの国が、人手不足を理由に
    新たな外国人受け入れを始めて大丈夫なのだろうかと思う。

    実習生や留学生のように、描いた夢と現実の落差に直面し、不法就労に
    走る外国人が増える原因になりはしないだろうか。まずは受け入れ準備を
    周到にする必要があるんじゃないだろうか。

    関東の地方都市にある24時間操業の化粧品工場で夜勤のアルバイトをする
    外国人女性。その彼女は同じ職場に外国人に混じって高齢の日本人が働い
    ていることに対して「かわいそう」と言っていた。

    外国人のみならず、日本人にとっても日本は「絶望列島」なのかもしれない。

  •  コンビニやレストランで、店員として働く外国人を見かけることは珍しくないが、実は彼ら、彼女らの多くは「留学生」「実習生」であり、名目上は働くために日本に来たのではない。
     先進国の一つに数えられる日本で働き、母国の家族のために金を貯めたい外国人は多い。一方、日本の企業は、人気のない仕事を引き受けてくれる人間が欲しい。両者の利害は一致しても、就業ビザは目的が研究、教育等、狭い範囲に限定されている。
     そこで、とりあえず日本語を学ぶ留学生として、或いは日本の技術を学び、母国にそれを伝える実習生として来日して、留学生は学業の傍らアルバイトとして働く、実習生は農場等、技術を学ぶためのそれぞれの場所で働くという形が定着することになった。これがうまく機能していれば、何も問題はないはずだが、実際は、これが外国人に奴隷労働を強制するシステムになってしまっている。本書は、何年もこの問題を追い続けた著者の実状報告である。
     詳しくは是非本書を読んでほしいが。留学や実習で来日するためには、外国人は本国、日本双方のブローカーに仲介料を支払わなければならない。特に本国の組織に支払う金は莫大であり、年収の7~8年分にもなる。それでも彼ら、彼女らは、金銭価値の全く異なる日本で働きさえすれば、数年で元手を遥かに上回る収入があると信じ、土地を売り、借金をして何とか金を調達し、日本に来る。
     しかし、こうして来日した外国人は、あくまで「留学生」「実習生」であるため、労働には様々な条件がつく。例えば、留学生の場合、アルバイトは週28時間までと決められている。滞在費、光熱費、授業料等はもちろん支払わなければならないため、これでは貯金はおろか、生活も覚束ない。そこで留学生の多くは、無届で夜間のアルバイトを2つ、場合によっては3つ、かけもちすることになる。冒頭に「コンビニやレストランで」と書いたが、実際は24時間稼働の食品工場等で朝まで働く例が多い。(篠田節子の小説「ブラックボックス」では、こうした職場での外国人の労働風景が描かれている)
     実習生にいたっては、時間外労働は時給に換算すると300円程度にしかならない。実習生の多くはパスポートを強制的に預けさせられていて、自分の意志で行動することもできない状態になっている。(こうした事情は、本書より前に書かれた安田浩一の「外国人研修生殺人事件」に詳しい)
     彼ら、彼女らが最も恐れるのは本国への強制送還である。本国には来日のために負った莫大な借金があり、途中で帰国させられれば、待っているのは一家の破滅である。その意味で、こうして来日する外国人は人質をとられているのである。
     本書にはその他、留学生の部屋代、アルバイトの紹介料等、何から何まで吸い上げ、大した授業は行わない悪質な日本語学校の実状なども報告されている。安倍政権の成長戦略とかの1つ「留学生30万人計画」とやらも、連動しているようだ。読んでいて、いつの時代の話だろうと驚き、この国の悪しき労働観、差別観に暗澹たる思いにとらわれる。
     もちろん、本来の目的で留学生、実習生を受け入れ、成果を収めているケースもあるだろうが、本書にはそうした例は出てこない。それを「偏向」と見る向きもあるかもしれないが。本書の目的は、あってはならないことが横行している事実を知らしめることである。我々は事実から目を背けてはいけない。私は本書を高く評価する。
     最後に余談だが、本書には留学生をクイモノにする悪徳大学が出てくる。九州のN大学とイニシャルになっているが、これは都筑学園が経営する日本経済大学のことである。かつては第一経済大学という名称だった。著者は保護者を装ってこの大学の入学式に潜入するのだが、式では、安倍晋三、下村博文からの祝電が読み上げられた。また、安倍・加計問題で物議を醸している今治市の市長菅良二は、都筑学園グループ第一薬科大学を卒業している。教育というものに対する認識が違っているというより、間違っている人間が、ついてはいけない地位に居座っているようだ。

  •  昨年、出版直後に立ち読みして、EPAに関する部分に事実誤認やら、出所のわからない議論や強引な論法やらいろいろあったので、自分の論文で言及する必要なし、と判断して購入しなかった。
     今回、外国人技能実習制度について調べる必要が生じたこともあり、購入してみたが、やはり問題の多い本である。

     特に、最終章の「犯罪集団化する「奴隷」たちの逆襲」という章。
     ヤギを盗んで食べたベトナム人技能実習生について、「この事件は、「ブローカーに騙されて来日したベトナム人による日本への復讐」という意味で、現在頻発しているベトナム人犯罪を象徴するものだ。今回は「ヤギ」だったが、彼らの刃がいつ日本人に向かっても不思議ではない」と恐ろしげなことが書いてあるが、その続きを見てみると、金に困って盗んだことが記されているだけ。被告の謝罪文も紹介されている。「日本への復讐」やら「刃が日本人に・・」の要素などかけらもない。このように、外国人が凶悪犯罪予備軍であるかのような印象を与えることを、根拠もなく書くのはおかしいとおもう。
    (彼らも日本による搾取の被害者である、というのが趣旨だとしても。)

     その他、「偽装留学生」を量産する日本語学校ビジネスに「行政や大手企業まで荷担」している事例として、奄美大島の日本語学校と、佐賀で「H」社が開校した日本語学校が例として上がっている。だが、「その中には、出稼ぎ目的の留学生もかなり含まれているだろう」とか、「おそらく彼らの大半は、留学費用を借金して来日していることだろう」とか、肝心の部分が憶測にとどまっている。いずれの事例も、根拠を欠くので、批判が成立していない。
    (九州までは取材の手が回らなかったか・・・)

     EPAに基づく介護福祉士候補者の受け入れを論じた第4章をみても(EPAに関しては、同氏の他の著書も)そうだが、「行政が荷担」とか、「天下り団体の利権」とか、「税金を投入している」とか、紋切り型の切り口で批判をして、そこで取材も思考も停止している感がある。

     また、「日本を棄てる国家試験合格者たち」という見出しにもかかわらず、帰国理由が「日本での生活や仕事に不満はなかったが、両親から戻ってくるように言われた」だったりと、煽り立てるような見出しも鼻につく。

    まとめると、
    ・事実関係の誤りや、自説に有利な強引な展開が多い(nunooが気づいたのはEPA部分。来日後間もない候補者の受験結果を「合格者ゼロ」としてあつかったり、日本語能力試験2級に合格していたら介護福祉士国家試験を1年早く受けられる、と説明したり。)
    ・外国人が凶悪犯罪予備軍であるかのような印象を与えることを、根拠もなく書いている
    ・肝心のポイント(批判の核心)を憶測で書いている
    ・紋切り型の切り口
    ・見出しで煽りすぎ

     もちろん、著者がさまざまな人に会って取材していることは認めるし、細部もリアルだとおもう。そして、日本が都合よく外国人を使い捨てにしようとしている、諸制度にも問題が山積、という全体の主張についてももっともだと思うのだが、上記のような問題点は、やはり見過ごせない。「大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞」の候補作になっているようなので、なおさらである。

  • 実習生や留学生という形で日本に出稼ぎに来ている人たちの実態を取材した一冊。
    とくに留学生という形で来ている人たちの実態が凄まじいなと感じました。こういう話を読み聞きしたことは多かったですが、悪徳ブローカーや悪徳日本語学校によって騙されて、借金を返すためにからだがボロボロになるまで働かざるを得ないという。
    著者のいうとおり、大きな原因は、いろんな方面にいい顔をしようとして支離滅裂な政策をとっている日本の行政にあると思いました。移民へのアレルギーの強いひとたちに対しては「移民ではなく実習生・留学生ですよ」と、人手不足の企業に対しては「実習生・留学生という形でくる彼らをうまく使ってくださいよ」と。日本でしっかり働きたいという前向きな人たち向けにも、フォローをきちんと行わず。本当にひどい政策だと思います。
    本書を読むと実習生の勤務先や、日本語学校は悪徳なところばかりのような書き方ですが、実際にはそうでなく良心的なところもあるとは思っています。ちょっと全体的な筆致は週刊誌的な感じが過ぎるかなとは思いました。

  • 国籍の壁を越えて、奴隷労働はやってはいけないと思う。

  • 日本人がやりたがらない仕事に就くために来日した外国人の現実をルポ。正直,移民や難民はもちろん彼らのような労働力受け入れはどうかと思う。日本人と同等の権利や生活を保証できない日本に受け入れる資格はないと思うから。余裕があるか自分たちを彼らに合わせる気持ちがないのにきれいごとを言っても仕方ない。親日の彼らが反日になって帰っていく現実は耐えられない。

  • しっていることばかり。

  • ほんっとうに絶望する…!!!
    「国を開けば、いくらでも外国人がやってくる」という前提が勘違いである、という指摘にハッとする日本人が大半なんじゃないかな。私もこの本を読むまで全く現状を認識で来ておらず、そう勘違いしてた…。
    弱者を搾取する経済構造をなんとか改善するには、どうしたらいいんだろう。朝からたくさんの種類の弁当が並んでいるコンビニの異様さだって、ちょっと考えれば分かるはずなのにそれが当たり前になっているし…。文化や習慣が異なっても、人の心は同じって篠田節子の小説にもあったよなぁ…。

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