習近平が隠す本当は世界3位の中国経済 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
3.46
  • (2)
  • (9)
  • (14)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 105
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062729932

作品紹介・あらすじ

「中国GDP47兆円水増し」――2017年2月9日「産経新聞」の1面に見出しが躍った。1月には、遼寧省が2011年から14年にかけて毎年、財政収入を20%以上水増ししてきたことも判明した……中国GDP「1100兆円」の嘘を徹底的に暴く!
 大ベストセラー『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』に続く第2弾!!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 世界三位だというのも怪しいと思うけどね。中国はいよいよ末期症状になってきたから、日本は巻き込まれないようにきちんと手を打っておかないと。

  • 日本のGDPが中国に抜かれたというのは認識していましたが、名目GDPをドル換算で見た場合、最新データ(2016)によれば、中国のGDPは日本のGDPの2倍を超えて首位のアメリカに迫る勢いであることを認識しました。世界中で低成長が続く中で、少なくとも中国は数年前までは物凄い成長率であったので、大きな差がついてしまったのでしょう。

    昔話になりますが、私が高校生(1980年前半)のころ、GNPのデータで、アメリカとソ連が首位争いをしていました。それから10年以内にソ連は消滅、ロシア連邦になりましたが、経済に関するデータは嘘であったことが判明し、為替のルーブルが暴落したこともありましたが、今のロシアの経済規模は、世界で12位(日本の3分の1以下)となっています。私が調べた限りでは1992年以前のデータはありませんでした、おそらく嘘だったので使えないと判断されたからではないでしょうか。

    この本によれば中国は、当時のソ連と同じ状況になっている可能性があると述べています、それによると中国の現在の経済規模はまだ日本に達していないのでは、というのがこの本のポイントの一つのようです。ソ連が多くの国に分裂してしまったように、中国も将来はそのようになるのでしょうか。

    中国の歴史をみると何度も様々な国に分かれてきた経緯があるので、これからそうなっても不思議ではありませんが、ソ連の中心がロシア連邦となったように、中国も北京国とか上海国となって、日本はその国々と付き合うことになるのでしょうか、等とこの本を読んで感じました。この本には中国のマイナス面がメインに書かれていますが、本当にそうなのでしょうか、真実の中国はどうなのかを知りたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・中国国内の在留邦人約13万人のうち、北京・上海・広州・香港の4都市に暮らす人だけで、約70%の9万人である、経済発展が特に進んだ地域の状態を中国全土に当てはめるのは、いわゆる「上海メガネ」である(p22)

    ・1985年にゴルバチョフが中央統計局の改革に乗り出し、経済統計の整備を始めた。1990年、ソ連はIMF,世界銀行、OECDの調査団を受け入れ、翌年に報告書が出た。このグラスノスチを高く評価した人もいたが、この年にソ連は崩壊した(p33)

    ・ソ連の実質国民所得は、1928-85年に公式統計では90倍増加したことになっているが、実際には6.5倍とされている(p35)

    ・3%の嘘であったとしても、この粉飾を35年続けると大きな差(2倍から3倍)がついてしまう(p36)

    ・中国の場合、全国GDPと、31省・市・自治区のGDP合計の乖離がある、最もひどかった2013年は、11%(6兆元)上回っていて、この年は全国のGDP成長率を下回った地方が1つもないという珍事があった、2016年は2兆元程度の差(上海市相当)があった(p41、45)

    ・中国の物流はトラックが中心なので、鉄道貨物輸送量を重視するのは違和感あり、融資残高も銀行は国有企業のみにしか貸さないので、これを見るのもおかしいとする人もいる。しかし中国共産党がごまかせない数字として、輸入統計がある、2015年にマイナス13.2%、2016年にマイナス5.5%となっているが、経済成長率は伸びている(p47)

    ・国家統計局は、全国値は発表しているが、31省・市・自治区別の統計は発表していない、北京市・上海市・浙江省のGDP統計は正しいと、同局は言及している(p54)

    ・1985年の粉飾元年とすると、最も控えめな3%粉飾で計算しても、中国のGDPは、いまだに日本(522兆円)を抜けていない、円換算で437兆円程度となる(p59)

    ・習氏は2016年10月、いままでに3名(毛沢東、鄧小平、江沢民)にしか用いられていない「核心」という指導者に位置づけられた(p70)

    ・中国は、太陽光パネル・電気自動車・風力発電の分野において、国際的なシェアを持っているが、外国からの輸入をブロックしたうえで、産業政策的に補助金を投下して、不当廉売を行っている(p79)

    ・日本も1950-1970年までは、いま中国がやっている不公正貿易のお手本をしていた、1ドル360円という実力以下の超円安固定ルートをアメリカに設定されたため、あらゆ産業が輸出産業となっていた、超円安なので外国からの輸入をブロックする効果があった(p82)

    ・中国の人件費が安く世界の工場となったのは、戦後直後の日本と同じで、人民元が安く固定されていたから(p83)

    ・2009年7月までは中国本土内のみで人民元決済が行われていたが、同年国際間での人民元決済が始まり、香港の中国銀行が人民元の決済銀行として営業を開始した(p88)

    ・中国政府はトランプ大統領に批判される前に、先手を打って、2017年1月6日に人民元の切り上げ宣言をした(p89)

    ・中国大陸の沿岸は見渡す限りの浅瀬で、ここに安価な沈底式機雷を撒かれると、中国は何もできなくなる。機雷には様々な種類があり、日本が保有している。また中国海軍の掃海能力はほぼゼロ(p94,95)

    ・中国の都市化率は2012年に50%を超えた(1994年は30%未満)、高度経済成長を支えたのは地方からの余剰農民で、「民工」と言われる都市戸籍を持たない2-3億人の彼らであった(p140)

    ・2015年から外資の中国からの撤退が目立ち始めた、パナソニック・ダイキン・TDK・ソニーなど(p146)

    ・2005年の為替制度改革後、2013年まで、人民元対米ドルレートは25%上昇した、日本円に対する元高は、4割上昇、これは日経メーカを圧迫した(p147)

    ・北京市のPM2.5の発生源は、自動車31%、石炭燃焼22%、工業生産18%、建設現場の粉塵14%、となっている。排ガス規制を行っても、全体の3分の1しか効果なし(p169)

    ・2015年9月、北京で抗日戦争勝利70周年記念パレードを行うため、すべての工場を操業停止とした、さらに、結婚・花火爆竹・運転・仕事・学校・病院・火の使用を禁じた(p170)

    ・ビットコインの需要が増すときは、相場が上がる、2017年3月8日には、1BTC=14.2万円、一年前には4万円程度(p177)

    ・日本は1970年代はインフレ率が高めであった、あれは円売り介入で大量の円を発行していた。これを日本がやめるのは、1985年のプラザ合意以降、プラザ合意の目的こそが、このシャドー介入をやめさせることであった(p180)

    2017年7月2日作成

  • 読みやすい。

  • 2005/1/3

  • ★3.2(3.59) 2017年6月発行。中国の統計が滅茶苦茶なのは想像できるが、今の中国の勢いからすると本当に世界3位と言えるだろうか。上海、北京の高層ビル群、世界の金融機関の上位はいつの間にか中国が独占、株式会社の時価総額ランキングトップ50で、米国29社、欧州9社、中国8社、日本、香港、台湾、韓国が1社ずつという状況を考えているとやはり中国は日本を抜いているのではと思わざるを得ない。一部には2029年には中国は米国を抜いて世界一の経済大国にと。この本からは中国は危険な国であることが良く分かった。

  • 上念司がんばれ
    シナの欺瞞を暴いて、警戒心を強くしないと日本人は安心して暮らせない
    アイツ、ヤバイ

  • 著者自身が何か、統計操作が確実に行なわれている、
    決定的証拠をもって分析したのなら、少しは納得しますが、
    ただ新聞の一面を根拠に、論を展開していくのは無理があると思います。

    誰の目にも明らかですが、中国の躍進は目覚ましい。
    もともと、日本と政治制度も、国の成り立ちも全く違う国です。
    始終権力闘争をやっている国ですから、自ずと、情報操作なんて、
    行なっているに決まっています。ただ、それを外部の人間が批判して、
    何か良いことあるでしょうか?

    中国のGDPは公式では、既に日本の2倍以上になっています。
    さすがに日本より下ということはありません。
    フォーブス世界TOP500企業には、日本企業より、遥かに中国企業が、
    記載されています。
    また世界大学ランキングでは、日本の大学は一貫して順位を落としていますが、
    中国の大学は一貫してランキングを上げています。

    IT・AIの分野でも、中国の攻勢を凄まじく、日本の技術を遥かに凌駕しています。
    日本は、人口減少、超高齢化、生産年齢人口の減少と、今も問題が噴出していますが、
    これから本格的に衰退していきます。
    この20年で日本人の世帯所得は2割減少しました。
    多くの人が、真面目に働いているにも関わらずです。
    中国は、この20年で平均所得が10倍以上になりました。

    日本の大卒は100万人少しですが、中国は800万人以上です。
    また、よく学習しています。
    学習時間は、日本の大学生平均はわずか30分弱、
    中国の大学生は2時間以上は当たり前です。

    日本は一貫して中国をバカにして、見下していますが、
    もう産業面の統計でも、完全に日本が見下されています。
    もちろん中国の中には国内外関わらず、問題がたくさんありますが、
    中国から学ぶべき所も、たくさんあります。

    また、日本の中高生は7割将来を悲観的にみて、
    その多くが自分に自信がありません。
    中国の若い子は、8割ほど将来に希望を持っています。
    教育面でも、中国に負けています。
    この違いが、何のか日本は、もっと深く内省するべきです。

    そして、こういう書籍(中国崩壊、批判本)は、売れれば良い本で、
    正直、買っても、読んでも、時間の無駄だと思います。
    著者と出版社は、確信犯的に、中国崩壊本が売れるから書いているわけです。
    そこにお金を使う必要は、全くないと思います。

  • 本屋ではよく目にしていた本で、買おうか買うまいかが何ヶ月続いたが、読む本が無くなり買った。
    中国の統計数字など信用出来ないという話は、本で主張しなくても、誰もが薄々感づいていることであるが、ではどれぐらい信用出来ないかということについて、いろいろな統計数字を使って推測している。
    本によると、昔、アメリカと対抗し世界第一の国を張り合っていたソ連という国はアメリカと並ぶ超大国であると、当時の大学生だった私も思っていたので、東欧崩壊の前兆はあったもののまさかソ連が潰れるはずないと思っていたが簡単に崩壊してしまった。GDP等の数値の水増し報告が当たり前のように行われていたが現実は違ったようである。今の中国も同じような事になっている可能性が高いと著者は言っている。そういう面もあるとは思うが、当時のソ連と西側の関係と、今の中国と西側の関係はぜんぜん違うわけで、果たして同じようになるのかと考えると、同じようにはならないと思う。

  • 民主主義はベターな制度だな。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

経済評論家。1969年、東京都生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は1901年創立の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一教授に師事し、薫陶を受ける。金融、財政、外交、防衛問題に精通し、積極的な評論、著述活動を展開している。著書に『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』(講談社+α新書)、『タダより高いものはない』『経済用語 悪魔の辞典』(イースト・プレス)、『官僚と新聞・テレビが伝えないじつは完全復活している日本経済』(SB新書)、『日本を亡ぼす岩盤規制』『経済で読み解く日本史(全5巻)』(飛鳥新社)などがある。2013年12月より毎月、八重洲・イブニング・ラボ(https://y-e-lab.cd-pf.net/home)の主任研究員として講演活動を行っている。

「2019年 『大手メディアがなぜか触れない 日本共産党と野党の大問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上念司の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×