アメリカの夜 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730570

作品紹介・あらすじ

映画学校を卒業し、アルバイト生活を続ける中山唯生。芸術を志す多くの若者と同じく、彼も自分がより「特別な存在」でありたいと願っていた。そのために唯生はひたすら体を鍛え、思索にふける。閉塞感を強めるこの社会の中で本当に目指すべき存在とは何か?新時代の文学を切り拓く群像新人文学賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 再読。著者のデビュー作。気色悪い人物描写は既に紛れもないアベカズたらしめております。おちょくっているのか真剣なのか、紙一重の計算高さが厭らしいったらありゃしない。素直に著者への愛を認めたくない、そんなわたしの偏屈な一面をあらわにしてくれる特別な存在でございます。ええ、いずれまた読みますとも。

  • 初めて阿部和重作品を読んだ。ある男性(唯生)についての話。語り口調。一文が長くて改行が少なく、前の文章に引きづられて話がよく脱線するため、慣れるまでは少し読みにくい。話が進むにつれて、唯生の言動、挙動がどんどん面白くなっていく。後半は何度も笑った。

  • 84点。特別な存在でありたいと願う主人公は、ひたすらに体を鍛え、思索にふける。主人公と語り手は同一人物なんだけど分裂し、ひたすらに自己言及しまくる。タイトルはトリュフォーの映画そのままだが、主人公が至るところはこの映画、もっといえばヨーロッパ映画的な主題に通低するもの。現実の虚構化、日常の演劇化、みたいな。

    映画や小説を「泣けたわ」「笑えたわ」とシンプルな感想を吐くだけの一娯楽として、あるいはコミュニケーションのネタとして消費する昨今の潮流に逆らい、批判的精神を常にもちメッセージを見い出すべき、みたいな一昔前の教養主義的なお寒い考えで映画鑑賞や読書にひねもす明け暮れながらも、目的があるわけでもないので、当然仕事なぞするわけもなく、のんべんだらりとした生活を送っているか、そうありたいと心から思っているタイプには強く共感できる内容。
    なんと気恥ずかしくもピュアな青春小説だと思うに違いない。

  • はじめの30ページは最高にクールでかっこよかった。以外はダラダラとして、退屈で、自己肯定感で、つまらん。

  • 残り少ない時間を無駄にしてしまった。

  • 第37回群像新人文学賞受賞作,第111回芥川賞候補作および第8回三島由紀夫賞候補作。デビュー作としてはかなり注目度の高い作品。

    ディック『ヴァリス』やセルバンテス『ドン・キホーテ』など数多くの文学作品からの借り物が,モチーフとして登場。ある種のメルヘンくさい私小説といえる。

    ポストモダンの残骸から,映画やカメラの特性を拾い上げて再生しようという意欲が湧いてくる。

  • 読むのがしんどい作品だった。人物について描きれてなく誰にも感情を重ねることはなかった、またこの小説を通して伝えたいことも読み取ることはできなかった。唯一、作者と主人公が繋がる瞬間だけは少し面白かった。

  • これは今の自分に痛いくらい刺さりました
    自分のことを特別、あるいは特殊だと思っている人(自分を含めて)がなんで嫌なのかを言葉にしてもらった

    最初の文体というか文章構成はなんでこんななのか...あんまりその必要もないような気がするんだけど

  • 滔々と流れてくる文章に疲れたが、最後まで読んでよかった。映画だ。
    特別になろうとするところ、その描写や、最後の客観的な視点が痛い。

  • デビュー作ということでこの作品を評価する人に対して予防線を張りまくったために記述がまどろっこしい。後の作品に比べるとやはり内容がまだ弱い感じがした。

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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