- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062730716
感想・レビュー・書評
-
歌舞伎役者の中村仲蔵の生涯
読み出すと、ぐいぐい世界に引っ張って行かれて止まりませんでした詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
浮き沈みが激しく疲れた
-
歌舞伎役者が主人公の小説。小説だが三座の関係、役者の下積み時代の様子、家族関係のありようなど、なんとなくイメージするのには良さそう。
-
歌舞伎好きの人にはお馴染なのだろうが、あいにくそっち方面の趣味がないので、中村仲蔵と言えば落語しか知らない。噺の中での仲蔵は、斧定九郎の役作りに悩み、ついに現代に伝わる黒羽二重に朱鞘の大小、破れ傘を傾げて血反吐を吐くというスタイルを確立して、江戸中の話題をかっさらった人物として描かれる。
『仲蔵狂乱』は、この有名なエピソードはもちろん織り込みつつ、みなし子に育ち、最下級の稲荷町で苦渋を舐めた時代から、ついに名題にまで昇り詰め、江戸三座の座頭を張るまでになった稀代の歌舞伎役者の人生を、当時の世相を交えながら詳細に描く、著者渾身の一篇。こういう力の入った小説を読むのは、最高の読書体験だ。
萩尾望都の解説も、(解説にはなっていないのだが)秀逸。読書感想文は斯く書くべし。 -
なかなか面白い江戸時代の歌舞伎役者小説。やたら芸や役者の内面描写に迫力あるなと思っていたら、著者は元々歌舞伎研究者とのこと(武智鉄二に師事していたらしい。びっくり)。本書の前に「吉原手引草」「吉原十二月」を読んでいたが、こちらの方が面白い。この著者は女性より男性を描く方が上手くて得意なのかもしれない。「吉原手引草」「吉原十二月」も結局男性からみた女性像にすぎなかったし。著者にはそのほかにも江戸時代芝居シリーズがあるみたいなので、読んでみようと思った。
-
中村仲蔵の波乱万丈の人生。
芝居に、踊りに生きた人生。
挫折しそうになっても、「芸があの子を見捨てない」の言葉通り、叩き込まれた芸が仲蔵を助けてくれる。
七両役者から千両役者へのサクセスストーリーなわけだけれども、一心に芸を求めた男の物語、人の一生の儚さとか脆さとかも含めて、最後は無常観に尽きた。 -
旦那が買ってきた本。何となしに手に取ったら面白くて一気読み。歌舞伎の世界。中村仲蔵。
私は彼の名前も知らなかったようなずぶの素人だけど、そんな私でも入り込める歌舞伎の世界の面白さと読ませる仲蔵の人生ストーリー。
松井今朝子さんの作品他にも読んでみたくなった。
読みながら昔習った日本史をチラチラ思い出すこともでき楽しかった。 -
萩尾望都のエッセイ集に本書の解説が収録されてて興味を持ったところ、ちょうと皆川博子『花櫓』を読んだので、同時代の同じく歌舞伎ものだし、歌舞伎界隈の用語や設定、人名を覚えてるうちにこれは勢いで読んでしまおうと。
実在の江戸時代の歌舞伎役者・初代中村仲蔵が主人公。当時から歌舞伎界は世襲が基本で、名門の家柄、派閥もあり、一般人から養子に入って誰の名も継がず一世を風靡した仲蔵はかなりの異端児。
主要な登場人物は結構『花櫓』と被っているのだけど、作者の脚色の仕方でこうもテイストが違うものかというのも興味深かったです。とりあえず四代目松本幸四郎がトラブルメーカーだというのは共通していたけど(笑)やはりやや耽美的な皆川博子に比べて、松井今朝子は歌舞伎界とはいえ歴史上の人物の史伝色が強く淡々と描かれていた印象。
萩尾望都の解説を先に読んでしまっているので、何か愛憎渦巻く歌舞伎界BLみたいなのを想像しちゃったんだけど(笑)、実際読んでみたら全然そんなことなかったです。序盤の若い頃にちょっと兄貴分といろいろあったり(歌舞伎界では当たり前)、結構エグめの楽屋イジメにあったりはしていたけど、モー様の解説はそこいらへんに引きずられすぎだったような(苦笑)