数奇にして模型 (講談社文庫)

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著者 : 森博嗣
  • 講談社 (2001年7月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (720ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062731942

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数奇にして模型 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • S&Mシリーズ9作目。
    一言では説明できない複雑なミステリィ。
    2つの密室殺人事件、首なし死体、共通する容疑者。

    犯人の思考が一番のポイントだろうか。S&Mシリーズのこれまでの犯人だと論理的な印象で、動機を説明されれば納得できた(犀川先生的には動機なんて重要じゃないというスタンスだけど…)が、今回はだいぶ狂ってるなぁと感じる。結果とプロセス、どちらを重視するかの違いがこれほど大きいとは。長編9作目にして、こういう人を書けるってやっぱり凄いなぁって思う。

    異常な人と、正常な人って、どこが違うのでしょうか?

    【目次】
    プロローグ
    第1章 土曜日はファンタジィ 
    第2章 日曜日はクレイジィ
    第3章 月曜日はメランコリィ
    第4章 火曜日はバラエティ
    第5章 水曜日はドリーミィ
    第6章 木曜日はミステリィ
    第7章 金曜日はクリーミィ
    エピローグ
    解 説:森博嗣の時代の記憶 米澤嘉博

  • 再読。S&Mシリーズ第9弾。

    人間はどこまでが一つなのか。生きていればどうにか一つなのか。首が切り離された時、いったいどちらが人間なのだろうか。

    爪を切ったり髪の毛を切ったりしても、切り離された側に人間性を見出すことはできない。かつて自分の一部だったもの、はすでにただの有機物。けれど身体を真っ二つにしたらどっちが自分? 首を切り離したら?
    密室で見つかる首なし死体。首を絞められた死体のある密室。複雑に絡み合う人間関係と至高の思考。

    あまり深く考えてはいけない、ということを考えなければならない。好きにしてもOK。

  • 国枝桃子が正常と異常の境界線の導き方を西之園萌絵に丁寧に教えている場面が印象に残った。密室殺人が同時に2つ起きていて登場人物も多かったので頭の中で一旦整理するのに手間取った。「複雑に見える対象を単純化したがる人間」今回はこれが一番言いたかったんじゃないかな。好きにしてOK!

  • 正常と異常の違いだって?ミステリとミステリィの差みたいなものだよ
     派手な不可能犯罪で開幕かと思いきや、少し事情が違います。首を切断した理由にとりわけスポットが当てられており、ホワイダニットの要素が強いです。シンプルかつスマートなトリックは、シリーズ共通の読後感がありますが、これまで以上に森ミステリィの真髄というものを感じました。
     もう一つ言えるのは、犀川&萌絵にしても、新登場の大御坊らキャラクターの見所が5割増しだということ。それとミステリの部分は関係ないと思われがちですが、そうとも言えないのが本シリーズの魅力でしょう。
     正常と異常の問いかけが興味深いです。例えば、正常なミステリというのはあるのでしょうか。面白いミステリはいつだって異常ですし、そう思う私は正常なはずです。

  • 再読によるレビュー。

    あまり記憶に残らない話だった気がしたがとんでもない、とても美しい物語だった。実に「合理的」な殺人事件である。
    これも『詩的私的ジャック』と同じく、理解できない人には理解できない動機と行動なのかもしれないが、個人的にはとても論理的だと納得した。殺人を犯した犯人の行動の心理に意外性を感じること自体がおかしいのかもしれない。

    オプションもエイリアスもつけられない西之園のアップデートが完了しようとしています、金子くんが実に良い仕事をしている。
    代わりにと云ったら難だが、犀川が実に犀川らしくない行動をよく取っている。

    実に美しい終焉だ。ドラマは見た上で否定しているが、この回の最後はとても美しく仕上げてくださっていたのでそれだけで満足した。

  • 国枝女史の名言。
    「赤ちゃんのときには、笑うと泣くの中間とか、笑うと怒るの中間の感情があったのに、いつの間にか、別のものに離散化されて個別化される。わかる?大人になるほど、どんどん単純へ向かうんだよ。」
    「仲直りなんてしない方が得だよ。二度と喧嘩しないで済むんだからさ。」
    痺れますねー。

  • 話自体は面白いんだけど、萌絵ってどうしてこうもバカなんだろうかと首をかしげるしかない。何度かならまだわかるけど、毎回毎回死にかけてて、頭いいのならもう少し学習しろよと言いたくなる。事件の内容や真相はさすがだったけど、最後のコレで萎えてしまった。

  • 犀川先生がいろんな意味で体を張ります。
    萌絵の同級生「金子くん」がいぶし銀の活躍を見せ、惚れる読者が多数存在すると推測されます。

  • 最近読み返しました。
    ラストシーンを想像すると不気味なのにきゅんっとする。
    この作家さんのお話はどれを何度読んでも理不尽で美しいなと思います。

  • S&Mシリーズ9作目、2つの近接した建物で見つかった絞殺死体と首を切断された女性の死体。

    今回もやられました、「普通」にこだわったために真相を見逃しました。
    本作で興味深いのは、犀川先生も普通に因われていたこと、ただここでの普通とは「異常者への一般的な解釈」のことですが。


    >死は、単純化を望むのかもしれない。
    >死ぬまでには、認識したいからだろう。
    >何でも良い、鵜呑みにしたいからだろう。

    これを読んで直感的に「死ぬのが怖い」と感じました、死に際に自分の人生を認識・鵜呑みにする時に人生を後悔したらどうしようと。

    その直後、自分の生き方に自信が無いからそんな風に感じるんだな、と思いました。

    そしてこのレビューを書いている今は、まだ単純化が進んでいないから「生き方への自信」なんて青臭い認識をしたのだと思っています。

    つまり私はまだ若い、一通り経験したつもりでいましたが、まだまだ青いということですね。


    物語中盤の国枝助手と萌絵ちゃんの「正常と異常の違い」に関する議論、特に329ページ、森さんが伝えようとしている(もしくは私が森さんから受け取ろうとしている)概念の本質が書かれているように思います。
    でも、まだ完全には理解できていません。

  • ん〜今回も面白かった。

    ちょっと私には分からない世界だけど、
    それを抜きにしてものめり込める内容でした。

    人間の思考や感覚、感情って本当に理解できないものだなと思った。
    そしてそれを正常か異常か判断するのは無意味で不可能なことなのだとも思った。

    その判断が曖昧であるからこそ、世の中にはいろんな事件が起こるし、
    残酷で残忍なことも多い。

    結局、この方の作品を読むといつも湧きあがるひとつの結論が
    「人間って怖い」ということ。

    正常か異常かを判断する境界は曖昧かもしれないけど、
    善悪を判断する境界は明確だと思う。

    そういう点では自分は善人だな、と確信できる。

    今回の犯人は、『詩的私的ジャック』の犯人と似ているな…と思った。

    人間って本当に怖い。
    思考や感情、感覚も方向性によってはものすごく怖い。

    それは内に秘めていられるものだからこそ、余計だな…と思った。

  • これは難しい。
    トリックうんぬんより考え方が。
    ほとんどわかんないけど、必死に考えてる時間がすき。
    間を開けて何回も読み直したい!
    すべてがFになるを読むまでは結構渋ったのに、読み始めるとシリーズはもうあと1冊。
    楽しみだけど寂しい。

  • 金子君好みだ☆Gシリーズとだいぶ印象違うイメージでしたが。
    なんか犀川先生と萌絵はすっかり恋人関係になってしまったな、と。ずっとシリーズで間もあけずに読んでるはずなのに、アレっいつのまにこの距離感??な感じ。とくに犀川先生。さっラスト1冊だぁ。

  • S&Mシリーズ第九弾。
    ハマりまくってますが、何か?(^ ^;

    文庫本で700ページ。厚さ3cm(^ ^;
    ものすごい大作と言えるのでは。

    たまたま手近にあった
    わかぎえふ「ぬくい女」は276ページ。
    3倍近いボリュームが(^ ^;

    本作では「シリーズ物ならでは」でしょうか、
    主人公以外の人物が大活躍する印象。
    国枝助手もよくしゃべるし笑うし、
    金子君がいなければどうなっていたことか。

    そして、今作が今までの八作と違う点は、
    犀川先生も萌絵ちゃんも、どちらも 
    「らしくない」行動をする、ってことか。

    犀川先生があんなに「フィジカルな」
    活躍(?)をするとは思わなかったし、
    今作での萌絵ちゃんの「飛び方」は、
    犀川先生のお家芸であるマルチタスクを
    初めて実践しているかのような印象。

    犀川先生的に考えると、
    進化しているのか退化しているのか
    (恐らく後者と言われるでしょうが)
    分かりませんが、
    二人がお互いに影響を与え合っている、
    その結果言動が似て来ているのか?(^ ^;

    いつまでも「最後の一歩」を踏み出さない
    犀川先生ではありますが、
    「彼女の代わりに僕を殺せ」みたいなのは
    そんじょそこらのプロポーズの言葉より
    よっぽど重みがある気がする。

    もの凄く「さらっと」描かれてるけど。
    しかも萌絵ちゃんは気を失ってるし(^ ^;

    いや~、ハマりにハマったこの大シリーズも、
    次作が最後となりまして...
    寂しいような、達成感があるような(^ ^;

  • どこの小学校でもそうだと思うのだが、
    私の通っていた小学校もご多分に漏れず掃除の時間
    というものがあった、
    アレは、確か私が小学5年生の時
    私の掃除の分担は音楽室だった。

    正直、掃除なんてまじめにする気の無かった私は、
    床から飛び出すタイプのコンセントの右差し込み口に掃除機の左側のプラグを差し込んではブレーカーを落し、
    いつも掃除をさぼっていた。

    まぁ、それはさておき、
    ミステリーの犯人ってのは大概身近な人間であったり、
    動機がはっきりしていたり、
    頭脳明晰だったりするものだ。

    現実世界の様に、訳のわからない動機や
    理にかなっていない行動はしない、
    ただ、それでは作者は納得しなかったんだろう。

    犯人には犯人なりの動機や、理があるそんな青年の主張的な小説。

  • 森博嗣S&Mシリーズも第9弾、いよいよラストが近づいてきて何とも切ない気分である。

    『幻惑と死の使途』以来、表現の美しさに磨きが掛かって来ている様に感じていたが、今作において、それははっきりと確信に変わった。
    詩的で綺麗な文章に思わず息が漏れる。特に、ラストシーンは神懸かっている。本を閉じ、装丁に目をやると、何ともいえぬ寂しさが去来する。

    結構アクロバティックな事件だったように思うが、キャラクタを描かせたら天下一品の森博嗣だからこそ、その辺も難なく読ませてくれる。並みの作家ならこうはいくまい。

    大御坊安朋・筒見紀世都・曽我芽衣子といった魅力的な新キャラクタが登場し(特に紀世都は良かった)
    エヴァ・ガンダム・セーラームーンなんて単語が出てくるマニアックな展開もある。

    さらに。

    西之園萌絵七変化とボリューム満点の作品である(笑)
    雰囲気だけでも満点なのにね。

  • 他人に自分を理解して欲しいのか、欲しくないのか。犯人が語る真相が矛盾を孕んでいて少し悲しい。

  • 15年以上前の作品なのに全く古びないどころか暗示するような内容。

  • 【あらすじ】
    模型交換会会場の公会堂でモデル女性の死体が発見された。死体の首は切断されており、発見された部屋は密室状態。同じ密室内で昏倒していた大学院生・寺林高司に嫌疑がかけられたが、彼は同じ頃にM工業大で起こった女子大学院生密室殺人の容疑者でもあった。複雑に絡まった謎に犀川・西之園師弟が挑む。
    【感想】
    いつもと違う入り方で話が始まるなと思った。そして、これもまた、芸術とミステリーの融合。少し抵抗を覚えながらも、今回は人の動きが面白くその関係性も複雑で、そこに惹かれていった。だんだんと訳がわからなくなってくる。そししこの事件の一番のキーポイントと言ってもいいのが動機だろう。わたしはそれにすごく驚き、これをひらめいた森博嗣に感銘を受けた。それくらいすごいと思ったし、変な言い方だけれど気に入った。

  • 長かった…
    まあいつも通り面白かった。
    けど結局そこかーい。的な感じやったかな。まあしょーがない。
    なんでこんな長かったんやろ。
    犀川先生は相変わらず(今回はだいぶ激しめに)戦ってた。
    なんかここへ来てというか、サイコキラー?的な、感じの話で
    動機がきっちり描かれないというようなこのシリーズの言われ方にはそんなに当てはまってないんかなあとか。まあ最初の方の方がそのきらいは強かったよね。

  • 人はどこまでが人なのか。

  • 森さんが、いわゆはオタクの文化にこんなに詳しかったとは…!模型好きの人たちのイベントの様子がちゃんとリアルなんだろうなぁと思えた。
    萌絵ちゃん、危ない目に遭いすぎ!これまで結構何回も命の危険が…!そして、それを助ける犀川先生。ヒーローみたい。

    萌絵ちゃんと犀川先生のやりとりは、相変わらず詩的で、でも、一方では可愛らしくてほっこりする。

  • S&Mシリーズ⑨

    4~5年振りの再読。

    ・『①すべてがFになる』同様、猟奇殺人は、あまり気持ちの良いものではない。
    ・結局、形と型の違い、人形と模型とプラモデルの違いは何なの?
    ・殺人動機は、到底、理解し難く、トリックも思い浮かばない。
    ・強烈な個性の大御坊さん、同級生の金子君の活躍は嬉しいね。
    ・萌絵は好奇心が旺盛過ぎる。
     周囲に迷惑が掛かる事を、もっと自覚した方が良いねぇ。

  • 本物の異常者現れる、の巻。
    密室の実験室で絞殺された女子学生。同じ日に模型イベントの会場となっていた公会堂の一室で首なし死体。しかもまたもや密室。同じ部屋に倒れていたのは、女子学生と同じゼミの社会人学生。
    そんな二つの密室の謎を追っていくうちに、第三の殺人が。
    今回は警察の活躍はほとんどなく、金子君と犀川先生大活躍。特に犀川先生は全身打撲だの筋肉痛だの裂傷だのを負いながら、萌絵の危機を救うのでした。
    萌絵のいとこが出てきましたが、やっぱり変わってて、なかなか強烈でいい味出していたと思います。
    萌絵の友人、ラブちゃんって…。こちらも出番少ないにもかかわらず、キャラクターが非常に漫画的で強烈でした。
    それも作者が昔同人誌を発行していたとか(しかも漫画)聞くと、なるほどなーと思ったのでありました。

  • オタク時代の自叙伝だな。

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数奇にして模型 (講談社文庫)の作品紹介

模型交換会会場の公会堂でモデル女性の死体が発見された。死体の首は切断されており、発見された部屋は密室状態。同じ密室内で昏倒していた大学院生・寺林高司に嫌疑がかけられたが、彼は同じ頃にM工業大で起こった女子大学院生密室殺人の容疑者でもあった。複雑に絡まった謎に犀川・西之園師弟が挑む。

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