哲学者かく笑えり (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062733212

感想・レビュー・書評

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  • どうなってるのや! この国は!
    あぁ ほんまに腹が立つ!
    もう ええ加減にせえよ!

    と 思うような時に 手に取りたくなる一冊です

    再読の時に
    どこからでも開けて読み始められるのも
    また この土屋先生の特徴でもありますね

  • 「笑う哲学者」として知られる著者のユーモア・エッセイ12本と、著者がイギリス留学時に学生時代の先輩との間で交わされた往復書簡を収めています。

    往復書簡はほんとうに出されたものなのか、それともそういう体裁で書かれているものなのかわからないのですが、このひとだったらふだんからこんなふざけた手紙を書いていても不思議ではないと思ってしまいます。

  • 雑誌のコラムで読む土屋賢二のエッセイはおもしろい。
    だけど、一冊の本にまとめた時、この本の中にも書いてあるけど笑いの畳み掛けがしつこくて、結構くどいのよ。

    ところがこの本は、エッセイと言いながらも哲学的なエッセンスが今回は多くて、「ふむふむ」とうなづいたり、どういうことだろうかと悩んだり、それは違うのではと突っ込んだり、こらえきれずに噴き出したりしながら読んだ。
    やっぱり電車の中で読むには危険な本である。

    “人間性に反するようなことをすることもまた、人間性の一部である。実際、人間は、食べ過ぎる。過度に仕事を増やす。処理し切れないほど人間関係を複雑にするなど、人間性に逆らって、苦しみやストレスを招くような行動を繰り返してきた。人間は楽しみよりも苦しみを求めているのかもしれないとさえ思える。”

    これは私も時々思う。
    仕事の効率化を図って生まれた余剰時間以上の仕事がどんどん降ってくるというのは、一体どういうシステムなのか、と。

    所有の概念というのも、面白かった。
    たとえ自分に必要がなくても、超格安だったりすると争って自分のものにしようとする。
    これは一体どういう心の働きなんだろうね。

    “しかしそもそも所有者が自分であろうと他人であろうと、そこにどんな違いがあるのだろうか。自分が持ち主なら、税金を払ったり、管理したりしなければならないし、人に盗られないよう用心しなければならない。場合によっては、管理と防犯に追われる生活を強いられることもある。(中略)どうしても所有したいのなら、美術館の絵画や公共の庭園や大自然を自分のものだと思ってみてはどうだろうか。管理は他人にやらせていると考えればよい。このように簡単な思い違いをするだけで、所有欲は十分に満たされるのだ。”

    ふむふむ。

    そして、所有欲を断ち切るために貴重品を捨てるときには、ぜひ一報していただきたい、と。
    様々な事柄が、このように考え方を変えるだけで脱力モードになる。
    勉強になるなあ。

    でも、やっぱり本を買いこんでしまうのはなんでだろう。

  • 哲学…なのか?愉快だし、こういう考え方で生きていけたらいいなと思う。
    2017/6/19

  • くだらない手紙をやり取りできる友達がいるというのは、少し羨ましいです。

  • 4〜5

  • 某誌に連載中の「ツチヤの口車」なるものは屡読んでゐましたが、一冊まるごと土屋教授の本を読むのは実は初めてであります。まあ何と言ひますか。
    私事になりますが、かつて人前で話をしたり、文章を書いたりする際には、なるべく意味の無いことを発表したいと考へてゐました。こんな下らぬ人間が立派なことを発言するのは恥づかしいと思想してゐたのです。内容は無いのに、聴衆や読者には「ほほう!」と唸られたい。これが理想でした。しかし当然のことながら、これが難しい。

    そんなわたくしにとつて、土屋教授の一連の作品は、かなりの変化球とはいへ理想的と申せませう。人を喰つた文章ながら、一見起承転結を完成させると見せてをいて、結局何も残らない。実に潔いではありませんか。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-152.html

  •  何気ない日常を現象学的に綴った新進気鋭哲学者によるコペルニクス的視点を強く意識した意欲作・・・と思って読むと、とんでもない目にあう。いしいひさいち氏の描いた似顔絵の大学教授がそのまま語っていることを想像すれば間違いはない。笑わせることだけを目的として書いているとしか思えないのだが、そこはやはり国立大哲学科の教授。ユーモアの質も高度であり、ところどころに風刺的な内容も見られ、皮肉交じりの世の中批判も不真面目ゆえに毒があまり感じられない。そういった点を拾っていくと土屋先生という方は実は極めて真面目な研究者であり、哲学への傾倒と俗世間への対立から深刻な苦悩を・・・なんてことはまずありえないだろう。

  • 「哲学者かく笑えリ」3

    著者 土屋賢二
    出版 講談社

    p36より引用
    “所有のやっかいなところは、一度所有に取りつかれたら、どこ
    までも欲望が肥大して、そこから抜け出すのが容易でなくなると
    いうことである。”

     哲学者である著者による、周囲の身近な出来事や事柄について
    ひたすら深くひねくれて考え抜いた一冊。
     哲学を教えることについてからイギリス留学中の往復書簡録ま
    で、論理的でユーモア溢れる文章で書かれています。

     上記の引用は、所有の概念について書かれた章での一文。
    この所有欲が高まって、行き着くところまで行った人達がコレク
    ターなのでしょうか。欲深いと言えばそうなのかもしれませんが、
    それだけの欲を満たすことが出来るというのは、その人の甲斐性
    の表れでもあると思います。
     章の始まりの挿し絵と巻末の4コマ漫画を、いしいひさいち氏が
    かかれています。p243の著者の写真と見比べてみると、かなり似
    ていると思います。ヒゲが。

    ーーーーー

  • すっかり著者のエッセイのファンになってしまった。どれを読んでも自由で皮肉が効いていて面白い。たしかにライバルは筒井康隆というより、西原理恵子だと思う。

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著者プロフィール

1944年岡山県玉野市生まれ。玉野市立宇野幼稚園、宇野小学校、宇野中学校と、とんとん拍子に宇野地区きっての名門校を進み、中学2年生のとき岡山市立丸の内中学校に転校。岡山操山高校を経て、官僚を目指して東京大学文科一類に入学。2年後、方針転換して文学部哲学科に進学して大学院博士課程中退。東大助手を務めた後、お茶の水女子大学に着任。35年にわたって哲学を教え、現在、お茶の水女子大学名誉教授。 哲学のかたわら、五十歳のときユーモアエッセイ集『われ笑う、ゆえにわれあり』(文春文庫)を出版したのを皮切りに、『妻と罰』『ツチヤの貧格』(文春文庫)、『ツチヤ学部長の弁明』(講談社文庫)など多数のユーモアエッセイ集と、『ツチヤ教授の哲学講義』『ツチヤ教授の哲学入門――なぜ人間は八本足か』(文春文庫)など少数の哲学書を発表、いずれも好評のうちに絶賛在庫中。他に『幸・不幸の分かれ道――考え違いとユーモア』(東京書籍)、『われ悩む、ゆえにわれあり―― ツチヤ教授の人生相談』(PHP)などを矢継ぎ早に発表し、在庫に花を添えている。週刊文春とPHPに連載中。

「2013年 『哲学者にならない方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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