花の下にて春死なむ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 263
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062733274

作品紹介・あらすじ

謎の先に人生の悲哀が横たわる傑作ミステリー集。バーのマスターが触れたそれぞれの人生の深淵。

感想・レビュー・書評

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  • 面白い。
    情景がとても詳細に思い浮かぶ。なんか洒落た話で好み。

  • 小説の中に出てくる料理がおいしそうなら、その小説は当たりだと思う。
    鬼平犯科帳シリーズ、
    ドクター・ケイの検死官シリーズ
    そして名作、シャーロックホームズ。

    この小説に出てくるバー「香菜里屋」の料理も決してはずれる事はない。
    こんな雰囲気のバーで、おいしい料理に舌つづみを打ちながら、
    極上のミステリに身を酔わせられたら…

    ま、叶うことのない夢はこの本で疑似体験ということで。

  • 講談社さんのツイートで気になっていた本。
    3話目の「終の棲み家」が良かった。謎と料理が合っていたし、ラストがとてもきれい。茄子の辛子漬けでお酒飲みたい。
    ただ、どうにも好きになれないキャラが多いのが残念。ビールは美味しそうなんだけどな。

  • 「香菜里屋」というビアバーを舞台にマスター・工藤が店に持ち込まれた謎を解き明かす連作短編集の一作目です。
    連作短編集なので最初と最後の登場人物の話が繋がっていたり、シリーズ二作目の「桜宵」を先に読んでいたので後の短編にも登場する飯塚七緒が登場していたことに驚きました。七緒が工藤と解き明かす、俳人の片岡草魚を巡る謎については切なさを覚えます。

  • 読んだのはハードカバー版。

    こういうこじんまりした行きつけのお店いいな。

  • 三軒茶屋にある小さなビアバー「香菜里屋」。
    客によって持ち込まれるさまざまな謎を、マスターの工藤が鋭い推理と穏やかな語り口によって解いていくという安楽椅子探偵形式の連作短編集。

    一番良かったのは、表題作「花の下にて春死なむ」。
    孤独死をした老俳人の片岡草魚は戸籍を持っておらず、過去や身元が一切不明だった。
    俳人仲間の飯島七緒は、片岡との会話や残された日記を手がかりにして彼の故郷を探し始めるが…というお話。

    片岡草魚の知られざる過去をあぶり出していく鮮やかな展開もさることながら、心の柔らかいところをそっと触れられたような静かな読後感が印象的。
    どちらかというと謎解きよりも、ままならない人生の悲しさと温かさを同時にすくいとることに重きを置いているように感じました。

    また、推理はするものの真実が最後まで明らかにならない短編もいくつかあります。
    憶測で終わっているので正直ちょっとモヤモヤしましたが、推理は推理であって人を不幸にするために推理をするわけではないとマスターは考えているのかなと思うと、納得できましたね。想像ですけど。

    「香菜里屋」に行ってマスターに話を聞いてもらい、彼の作った料理を食べてみたい・・・。
    この作品を読んだら、誰もがそう思うんじゃないかな。
    美味しそうな料理とマスターの巧みでさりげない謎さばきを肴に一杯やってみたいものです。

  • 連作短編集。料理のおいしいビアバーの店主が、常連が持ち込む事件的な話を聞いただけで解決するの。

    店主工藤さんの頭が冴えすぎ。その程度の情報でそこまで推理できる?ってくらい冴えすぎ。
    料理の腕も凄い。
    頭の良いイケメンは好き。
    (工藤さんがイケメンかどうかは描写されてないけど、私の脳内ではイケメンとして映像化されてる)

    俳句仲間とはいえ素性もよく知らない60超えのオジサマと一夜を明かす20代の女には全く感情移入できなかったけど、各ミステリの真相はそれなりに「おお」と思わせてくれた。

    ていうか、香菜里屋、実在するなら行ってみたい……

  • 2015/09/23再読。
    とても静かで落ち着いた雰囲気。
    この本の雰囲気は、きっと香菜里屋の雰囲気。
    こんな素敵なマスターのいるバーが近くにあれば…と思うけど、
    私はここに似合うほど大人じゃない。

    お料理が美味しそうすぎる!!!

  • 20140805 久しぶりに良い短編に会えた。ささいな事の後ろに隠された真実。登場人物も皆個性的で楽しめる。近くにこんなビアバーが有ったら楽しいかも。

  • 三軒茶屋の住宅街の中にあるビアバー“香菜里屋”には、常に度の違う4種類のビールが用意されている。
    目立たない場所にある店だが、店主の工藤の持つ人懐こさと彼の提供する料理に常連たちは今日も足を運ぶ。
    しかし。店が愛される理由はそれだけではない。
    工藤は常連たちの抱える小さな謎や悩みを上手に聞きだし、やがて解きほどいてくれるのだ。

    2014年6月4日読了。
    久々に読み返したくなったので、本棚から引っ張り出しました。
    数々の名作を遺した北森さん。その中でも、この香菜里屋シリーズはファンが多いのではないかと思います。もちろん、私もその一人。
    何がいいって、こんなお店が身近にあったら絶対に通うのに!と思ってしまうところ。
    出てくるお料理も魅力的ですし、何よりもヨークシャテリアに似ているという店主の工藤がイイ。
    いつまでも終わってほしくないシリーズってあると思うのですが、これこそまさにそれ。
    最終巻を読んだ時の淋しさったらなかったです。

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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