聖の青春 (講談社文庫)

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著者 : 大崎善生
  • 講談社 (2002年5月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062734240

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聖の青春 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 現在、中学3年生の藤井聡太四段が連勝中で、世間をにぎわしている。
    暫くぶりの将棋ブーム到来かもしれない。

    将棋はほぼ知らないに等しいが、この本は興味深く読めました。
    命を削って将棋に打ち込み、病と闘いながらも勝負の正解で
    いろんな人との出会いで影響を受けたり
    多くの人に影響を与えたりと過ごす村山聖の青春を垣間見た。

  • 羽生善治という稀代のスーパースターの存在に加えて将棋にのめりこむきっかけとなった一冊。重い腎臓病:ネフローゼを抱えながら、命がけで将棋を指し人生を全うした村山聖(さとし)。享年29歳、将棋界の最高峰A級在籍のままの逝去だった。名人に憧れ、天才羽生善治に互角の勝負をした“怪童”の一生を、師弟愛、家族愛、ライバルたちとの友情を通して描く感動ノンフィクション。第13回新潮学芸賞受賞作(講談社文庫)

  • 後に名人になった羽生さんと同世代で、29歳という若さで亡くなった棋士の村山聖さんの人生を描いたノンフィクション。

    師匠との関係や、将棋への一途さなど、色々心惹かれる場面が沢山あった。映画も気になる。

  • 私は昔、学生の時NHKとか見て「この棋士はどうして、こんなルックスなんだろう?」と思っていたが、最近映画化されてようやく真実を知った次第である。

    囲碁や将棋の世界は、ある意味、共和制自治国みたいなもので、素人には情報が十分開示されない。この書籍の場合もその典型例ではないか?

    で、本書は「聖(さとし)の青春」という、ある夭逝(ようせい)した棋士の話である。

    彼は平成10年、29歳の若さで将棋界の最高峰であるA級に在籍したまま亡くなった。

    直接の死因は肝臓がん。最初ぼうこうにがんを患い、それが転移したものだった。
    彼は主治医から、最初「手術して、半年治療に専念すれば治るから」と言われたにもかかわらず、「大人は、うそをつくからいやじゃ」と言って、対戦を優先し、将に将棋に特攻玉砕した。

    彼は昭和44年広島市で生まれる。彼の父親である、伸一は(「聡明な子供に育って欲しいとの意思をこめてだろう」)聖徳太子から一文字を子供の名前からいただこうと思っていたという。というのは、真一は記憶力が抜群によく、「わしは聖徳太子みたいなもんじゃい」と職場や雀荘で、よく吹聴していたからである。

    その中でも「聖」の字が気に入った。用紙に「村山聖、村山聖」と何度も書く。
    しかし、キヨシとかヒジリとかいう読み方は、イマイチであった。

    そこで、辞典を引くと聖とかいてサトシと読むことを知った。
    これで納得した。村山聖の誕生である。

    ところが聖は、幼少時に致命的な出来事を体験する。
    それは5歳の時、熱のせいか薬のせいか顔が風船玉のように膨れ上がったのである。

    診断の結果は「ネフローゼ」である。一言でいえば肝臓の機能障害であり、そのせいで顔や手足が異様にむくみ出すのである。

    最良の薬は安静にしていること。しかし聖はそれができない。そのため入退院の繰り返し。その最中、聖は母に頼む。「将棋の本をこうてきてくれ」聖、小学一年生の時であった。

    母親は古本屋を回った挙句、「将棋は歩から」という加藤治郎名誉九段による著書であった。

    果たして、聖は喜び来る日も来る日も、その本を読んだ。漢字を習ったことがないにもかかわらずにだ。

    このあたりから、将棋に必要不可欠な「集中力」を聖は手に入れることになる。なにせ一日7時間以上も子供が将棋の本を読破するのである。強くならないわけがない。その結果広島の元奨励会在籍の篠崎瑞夫の将棋教室に出入りしている、四段はもちろん、県代表にも勝ってしまう。聖10歳の時である。

    当然、聖は「プロになりたい」と思うようになる。自己節制にも務め、将棋の実力が上昇すると同時に、体調も正比例して上がっていった。

    自然と奨励会(プロになるための将棋養成所)入りの話が出てきた。昭和58年聖は5級で奨励会試験を受け、5勝1敗の文句なしの成績を上げた。もちろん、入会である。

    聖の将棋の特徴は、勝利への動物的ともいえる執着心、絶望的な局面でも巧妙な罠をかける終盤力。棋士仲間で「村山(聖)の将棋は俺たちのものとは少し違う」と言われるようになった。

    そのような将棋で、17歳で奨励会在籍たったの2年11か月のスピード昇給で聖は4段としてプロになる。棋士・村山聖誕生である。

    しかし、彼の人生にまたも大きな壁が立ちはだかった。羽生善治である。平成元年、若獅子戦で敗れ、続くC級1組順位戦でも敗れたのである。

    この敗戦はこたえた。そして村山は寝込んでしまった。羽生と指した2局の将棋が一時も頭から離れない。まるで自分という存在を否定するように。

    「あの男なんて強いんじゃ」聖は布団の中に何日もかぶりこみそう呻き続けた。
    こんな生活を送ると、当然腎臓にも悪い。住友病院では入院を勧められた。尿蛋白は限界値を示していた。

    しかし、彼はネフローゼの付き合い方をよく知ってた。その薬... 続きを読む

  • 映画を見たので読んでみる。映画を見たときは、一人暮らしさせちゃだめじゃんと思ったけど、そんな単純な話ではなかった。摂生して長生きしてほしかったけど、生ききったなあ。

  • これは...小説に軍配が上がるのは仕方がないです。
    (当方昨日、映画版を視聴したばかり)

    読んでみてわかりましたが小説は「本人を含む家族の手記を基にしたノンフィクション」で映画は「小説を基に再構成したフィクション(?)」という感じでしょうか。

    色々と内容が組替え直されているので小説のファンの方が映画を好ましく思えないというのも納得です。
    (まぁ確かに映画は色々と説明不足でしたね)

    ただ2時間に収めるには....仕方がないかなぁ....

    何にしても涙なしには読めない素晴らしい小説でした。
    (将棋に詳しい方なら尚、楽しめることでしょう)

  • 映画を見た後なのでどうかと思っていましたがまさに杞憂。
    周りの人は何回かは腹を立てることもあったと思うんだけれども、正直さ・素直さが頑固なまでにぶれないから、結局皆受け入れることが出来たんだろう。
    死を見つめつつ、いやだからこそ真剣に将棋に打ち込み、遊んだ主人公、その周りを取り巻く人々(特にお父さんと森さんが良い。いややっぱお母さんが一番凄いのかな。)全てが愛に満ちていて、陳腐な言葉ですが感動です。
    いやいや必読の書です、これは、本当に。

  • 圧倒的な現実の前になにも言うことはない、という感じ。彼が健康だったなら、と思わずにはいられないけれど、健康だったなら将棋とは出会わなかったかもしれないし、これほど打ちこむこともなかっただろう。将棋ファンですらない一読者が言っても仕方ないけれど、アルコールを控えて、外食ばかりしないで、彼を愛した人たちと彼の将棋のためにもっと生きて欲しかった。

  •  大崎善生のデビュー作、第13回新潮学芸賞、第12回将棋ペンクラブ大賞受賞、2001年1月6日/新春スペシャルドラマとしてTBS系列で全国放送、2016年11月19日/映画公開(wki調べ)

     昭和57年/中学生名人戦に参加するが聖はベスト8で敗退する。自信を失いかけた聖が新幹線の時間までの間、西日暮里将棋センターで強者相手に全勝するのだが、その中に真剣師小池重明がいた。その彼を負かし「僕、強いなあ」「がんばれよ」と励まされ聖はご機嫌に広島の帰路につくのだった。

    真剣師小池重明 (幻冬舎アウトロー文庫) 団鬼六著 
    2014年8月22日 レビュー
     プロ棋士になるには厳しいルールがある。プロ棋士になれなかった真剣師の小池重明は、将棋ではアマはもちろん、プロにも負け知らずの生活破綻者なのである。将棋は確かに強いのだが、飲む打つ買うのデタラメな生活を続ける。結局、そんな生活にも終止符が打たれることになる。生涯、大好きな将棋との縁が切れない、彼の将棋を愛しつづける姿に感動を覚えた。

  • 「『命懸け』という言葉は自分には使えない」

     映画「聖の青春」の公開に寄せて、将棋の佐藤康光九段が述べられた言葉です。ずっしりと心に響きました。この言葉に、映画を観た方、本を読んだ方の多くが共感されるのではないかと思います。「命懸け」なんて、決して軽々しく言えるものじゃない。

     病気になった村山さんが、将棋という「翼」を手に入れた-筆者の大崎さんがそう表現されていることが印象的です。それは限りなく広がる、折れない翼でした。病気と闘い続けた生涯だったかもしれませんが、盤上ではそのようなことは関係なかったのだと思います。その手から放たれる一手には「揺るぎない強さ」を感じます。きっと、将棋という翼があれば、どこまでも行けたのだと思います。

     若くして亡くなった棋士のお話で、終盤は辛くて読めなくなるかもしれないと予想していたのですが、案外そうでもありませんでした。むしろ、村山さんが輝いて、まぶしくすら見えました。それは、村山さんが本当の意味で「生きて」いたからではないか、と思います。あらゆる欲望に忠実に、そして勝利に貪欲に。「かわいそうな人生」なんて印象は、微塵もありません。太く、短く、輝かしい炎が瞳の奥に見えました。

     そのように感じさせるのは、村山さんの生き方だけではなく、師匠の森先生の温かいまなざし、そして筆者の大崎さんの素晴らしい文章があってのことだとも思います。多くの人に読んでいただきたい、素晴らしい1冊です。

  • あまりに壮絶。これがフィクションなら、ちょっとやり過ぎでしょ、とツッコミを入れたくなるくらい、残酷な運命。それでも最後まで読み切れたのは、聖を取り巻く人々の、決して哀れみではない愛情と、そしてそれを引き出す聖の力強い生き方に背中を押されたからか。名人村山を見てみたかった。

  • 将棋に関しては、駒の動かし方を知っている程度なので、詰将棋が凄いといわれても、正直いまひとつピンとは来ない。ただ本作、将棋のことを全く知らなくても、十分に戦いの熱さは伝わってくるように描かれていて、かつ、短い人生のすべてを将棋に捧げた気迫も、リアルに体感される内容になっている。谷崎や羽生といった圧倒的有名人が登場することもあって、いかに優れた将棋さしだったのかも浮き彫りにされてくる。最初から切ないクライマックスは分かっている訳だけど、それでもなお熱いものがこみ上げてくる物語でした。

  • 短く密度の濃い人生。普段我々が考えないように「死へ向かう人生」を意識すると見えるものが違ってくるのかもしれない。

  • 一気に読んで感動の一言。
    病のためにどれほど悔しい思いをしてきたかわからないのに、彼は純粋なままで卑屈さが一切ないというところに
    心を打たれた。私もそうなろう。


    −純粋さの塊のような生き方とありあまる将棋への情熱。それにかける集中力と桁外れの努力。勝利へのあくなき執着心と、体を貫く灼熱の棒のような名人への渇望。生きることに対する真摯な姿勢。− (p.1843)

    将棋の天才を超えて、自分の命を燃やして夢を叶える天才なのだと思った。

  • 胸がいっぱい。
    勇気をもらえる。もらわなければいけないとさえ思う。

  • マツケンが驚異の増量、東出くんは羽生さんそっくりに仕上げていて、役者さんて本当にすごい。これが実話なんだもんな。将棋は命を削るものなんだ。

  • 重い本だった。絶望の中から生きる目的を見つけ、努力し進み続ける強さに、最初から最後までずっと涙をためながら読んだ。もう少しだけでも幸せに生きて欲しかった。
    病気があったからこその彼の人生だったのだろうが、自分の子どもの病気を1年以上も見過ごすとは、このどうしようもない両親はさぞや悔やんでいるだろう。そして京都の灘蓮照というアホは小物で最低の情けない奴。

  • 2016.12.19読了。映画を観るにあたって読んだが、映画より100倍良い。村山九段のことは、その輪郭は知っていたが、ここまで将棋に生き、生かされた棋士であったことは、やはり本書を読むまでは知るべくもなかった。持ち時間29年の執念。そして、本書のもう一人の主人公が、師匠の森信雄七段であることも。ともかく彼らを活写する作家の筆致が見事。よく見知った人物をよくここまで客体化して書けるものだ。この処女作を書くにあたって大崎氏は退路を断っている。村山九段の生き様が、一人の作家の誕生を導いた。その事実にも励まされる。

    名言
    ・「お母さん、大変な病気にさせてしまいましたねえ」
    ・「冴えんなあ」
    ・「泳げなくても、僕は飛びこんだ」
    ・「今の俺は昨日の俺に勝てるか。」
    ・「神様除去」
    ・「死ぬまでに、女を抱いてみたい……」

    雑記
    ・なぜ姉の緑さんがほぼ出てこないのか?
    ・怒りの告発 灘蓮照、東京女子医大
    ・「肉丸君」 元ネタは『さすがの猿飛』?

  • 齋藤孝さんが紹介していたのを見て5年前くらいに図書館で読んだ本。映画化されて話題になってるので再読。

  • 松山ケンイチさんが主演で映画化されると以前ちょっとした呟きがきっかけでフォロー外の方から教えてもらった。
    原作が「聖の青春」だとも。
    その後カドフェスで聖の青春がリストされていたので、これを機にと読了。

    勝手なイメージでカドフェスはわりとライトな小説が多いから、見た瞬間に「思ったより厚いな」と思ったけれど(元々講談社と知り納得)、29年の人生が詰まっていると思うとそんな簡単な一言じゃ片付けられない厚さと重みだった。

    生きることと死ぬこと。
    病院で生活していると、常に隣り合わせのこの危ういバランスにとても辛くなる時がある。
    村山氏のように子どもの頃からそんな空間にいたら嫌が応でも考えさせられたことだと思う。

    森師匠との生活のそれぞれが暖かく、心地いい。
    「冴えんなぁ」の一言が愛に溢れていて、やりきれなくて、愛しいのに切ない。

    村山氏が亡くなったのは私が7歳の頃で、きっとまだ何も考えていなかったからテレビで彼を見た記憶がない。
    ただ、聞いたことのない「はあ」という照れたような、溜息のような囁きがふと聞こえるようで、ページを繰りながら村山氏に言い知れない親近感が湧く。

    将棋は正直、何一つわからない。
    途中解説図を付けてくれているがそれさえどういう意味なのか、どれほどすごいものなのかも申し訳ないことにわからない。
    勿体ない気もする。
    けれど村山聖という人間の片鱗を見られたこの本は確かに青空を見せてくれたと思う。

  • ただ強くなりたい。そう願った青年の記録。

  • 久しぶりの感動作品

  • 配置場所:摂枚文庫本
    請求記号:080||K
    資料ID:92031759

    ※2013年4月の「闘病記」でも取り上げました。

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聖の青春 (講談社文庫)の作品紹介

重い腎臓病を抱え、命懸けで将棋を指す弟子のために、師匠は彼のパンツをも洗った。弟子の名前は村山聖。享年29。将棋界の最高峰A級に在籍したままの逝去だった。名人への夢半ばで倒れた"怪童"の一生を、師弟愛、家族愛、ライバルたちとの友情を通して描く感動ノンフィクション。第13回新潮学芸賞受賞作。

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