感情教育 (講談社文庫)

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著者 : 中山可穂
  • 講談社 (2002年5月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062734349

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感情教育 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 不運な運命に翻弄されて生きてきた理緒と那智。大人になって出会っていく二人。あっという間に読んでしまってた。恋愛の話にとどまらず、親子関係、夫婦関係、義理の親との関係、いろんなところで共感できたから、のめりこんで読めたんだろうな。いい本だった。

  • 一度も腕に抱かれることなく母親に捨てられ、養護施設から養父母に引き取られ、大人になった那智。養父は酒を飲むと暴れ、養母は那智に依存している。早く大人になりたい一心で、那智は東京のデザイン学校に入り、2年後には就職した仕事に没頭し、家庭も得て、誰よりも離れがたい、この世にただ1人血の繋がりがある娘も産まれる。だが、これまで付き合った男も、旦那にも、「愛している」と言ったことはない。愛するという感情がどういうものか、わからないのだ。

    理緒は不良少年と不良少女の間に産まれた。父はある日理緒に誘拐まがいのことをして金を巻き取り、姿を消した。母はホステスとしてパトロンを次々乗り換え、自分の人生を生きていた。理緒は長屋の親分夫婦や、母の実家の寺に預けられ、優等生の仮面をかぶり、母やパトロンのおじさんにも気を使い生きてきた。役割期待を演じ続けてきた理緒がのめり込んだのは演劇だった。演劇が盛んな大学に入り、親友もでき、同じ頃、女性を愛するという自分の性向も理解する。そして、大学を出た後はライターとして生計をたてている。男と付き合いもしたが、結婚はできなかった。

    似た境遇の2人が偶然出会い、必然的に恋に落ちる。2人はあまりにも似ていて、パズルのピースがぴったりはまる。ずっとずっと、このために生きてきたのだ。生まれてきたのだ。死なずにいたのだ。

    そんな人に出会えたら、そんな人と人生を共にできたら、それは苦しくて苦しくて、でも、幸福なことだろう。

  • 主人公ふたりの人物描写がとにかく濃厚です。他作品を読んだことがないので、濃厚さの理由が、主人公にモデルがいるからなのか、この作家の持ち味なのかはわかりませんが、圧巻でした。
    女性どうしのセックスシーンもありますが(そしてそこの描写もしっかりめですが)単純なレズビアン小説ではありませんでした。

  • 28.5.30読了。
    やっぱり登場人物の恋愛に対する自己満感がすごい。

  • 何と言うか…壮絶、波乱万丈とはこんな人生を言うのかな…と、改めて思った次第です。
    生まれた日に病院に置き去りにされた那智。施設で暮し、その後、養父母の家で育つが、養父の暴力に怯える日々。
    そして育った環境が似た理緒との出会い。奇しくも母親の名前が同じ喜和子。母親は、同一人物なのかと思っていた。いつ姉妹とわかるのか?!どう繋がるのか…と思いきや、そこは違ってた。
    二人は急速に近づき、濃密な二カ月間を過ごすのだが、別れが訪れる。悲しみを越えた、痛々しさが文章にあふれている。
    そんな色んな、紆余曲折と無理難題を乗り越えて、二人が再会するラストに安堵する…そんな今までに読んだことのない小説でした。読み終わってもしばらくは放心状態。そんな感じ。

  • 「感情教育」中山可穂◆那智と理緒、二人の女性が出会った時、運命の恋が始まった。同性愛云々は全然気にならないけれど、それ以前に小説として入り込めなかった。彼女たちは傷つきながら生きてきた。それは分かる。可哀想。だけど彼女たちによって傷つけられた人もいるのではないかと思ってしまった。

  • 三章立ての恋愛小説。一章で「那智」という女性の、二章で「理緒」という女性の生い立ちを描く。三章で二人が出会い、愛をはぐくみ、お互いがお互いに感情教育を施しあい、変化が生じ、別れを経て、再び出会う。
    理緒は作者がモチーフであり、那智はあとがきにあるHさんをモチーフにしているのだろう。こんなにも心の柔らかい部分を切り売りして文章を書いている作者の姿勢に、心惹かれると同時に恐れも感じる。そういう意味で、あとがきまで必見。

    二人の女性の激しい人生、激しい愛が、印象的なフレーズでつづられており、読みながら涙を必死でこらえたり、こらえ切れず号泣したりした。
    女同士、前世から契りあった宿命の恋人、失われた半身を取り戻すような交わり、ままならない世間への抵抗、相手と自分のなかだけのそれぞれの巡礼の旅、どうか那智と理緒のこの先の人生が幸せなものであってほしい。

    再版なり電子書籍化なりされてほしいです。

  • 孤独と飢えに縁取られた苛烈な愛ではなく、互いの隙間を埋められるやわらかな愛を差し出して生きてゆけるようになるまでのお話。美しい文章でした。

  • 不幸な生い立ちを持つ、孤独な二人。
    同じような過去を持っているためこんなに惹かれあったのか
    二人の間には、熱い感情というより
    理緒がパソコンのキーボードをたたく音に包まれ
    どんな場所で眠るより深く安心した眠りにつく那智との間に
    流れるのは、暖かでゆっくりとした時間

    時間を忘れのめり込むように読んだけど、あんまり二人に感情移入できなかった。
    二人の生い立ちに、同情してしまうほうが多いのかな。
    中山可穂の作品を読むのは、「深爪」に続き二作目
    だけど、「深爪」と似たような設定だから違うのも読んでみたい。

  • 10年以上前に読んだ本を、もう一度読んだ。
    生き方が変わってしまったせいか、共感できる部分は少ない。
    だけど中山さんの本は、次々にページをめくりたい衝動に駆られてしまう。

    もう自分には、こんな身が切れるような愛し方は出来ないと思う。

  • 第三章なんか読んだら益々結婚って鬱陶しいモンにしか思えんねんなぁ・・・。ウンザリやわ。以上、結婚出来ない男の言い訳でした。  前世がどうこうって事やなくてお互いが同性愛者やって見抜いただけとチャウんかなぁ?しかもお互いに好みのタイプやったって感じで。 那智か理緒のどっちかが男やったら普通の不倫の話やし。   

  • けっこう厚みがあるなあ、と敬遠していたのに、読みはじめたら一心不乱になっていました。文章の勢いというか、流れの激しさも手伝って、四面楚歌な状況ややりきれない立場のきつさがとてももどかしかったです。
    内容は激しい性格の人、逆境、人妻、旅に再会と中山さんだなあ、と思わされるものがぎゅっとつまっていました。あと子ども。ラストのシーン、あらすじのつけ方と相乗効果で素晴らしい読後感を得られました。残りのページが少なくて、報われないまま終わるのではないかとひやひやしていただけになおさらです。
    れいちゃんと三人でいるところも読みたかった。ラストが好きです。

  • 一体どのような感情教育なのだろうと思ったら・・・
    私の想像しているものとずいぶん違った展開だった。
    『置き去りにされた子供』というテーマなのであるが・・

    作品は三つに分かれていて
    那智 という名前の女子の 成長
    理緒 という名前の女子の 成長
    理緒と那智の出会い そして 葛藤。

    言い回しが ちょっと くねくねしているのがいいのだろうか。
    はまる人には はまる作品なのだろう。

    那智は 置き去りにされた子供だった。
    那智にとって
    『世界は灰色に塗りこめられて
    色彩を失った雨降りの街のようだった。』

    那智は 南くんにであい、・・・
    デザイン学校に行き 
    男と付き合い ルミコという女子にあこがれる・・
    内装の仕事をし始めて・・・
    佐竹という男に出会い・・・ボロボロになる。

    建築士の資格も取り 順調に仕事は進む。
    ついに耕一と結婚して 子供も生む。
    子供を生むというのは どういうことか知りたかったのだ。

    生んだ子供 れい にたいして 那智は
    『子供と自分が一体化して切り離せないものであるという
     感覚が異常に強い・・』

    結婚 7年目にして転機を迎える。

    理緒は 父親からすてられ・・・
    母親は 自由気ままな ホステス稼業にいそしんでいた。
    理緒は お寺の実家に預けられて育てられた。
    理緒は そこで 屈折していく・・・。

    女性にしか魅力を感じない 理緒は・・・
    演劇にのめりこみ そして フリーライターとなる。
    (理緒が 中山可穂 なんでしょうね・・・

    理緒は 同性愛者の 記事を書いているうちに
    運命的に 那智と会う・・。
    二人の間の揺れ動く物語が・・・・。

    ふーむ。
    愛し合う ということが こういう形で表現されるのか?
    理解できないことが 世の中には 多くあるものだ。

    人間は 制約の中に生きていると思う。
    置き去りにされたことによって その制約が
    どこに向かうのか?
    那智と理緒は ハッピーエンドのようで 
    違った道を歩いていく・・・・。

    那智の娘 れいは それをどう受け止めて
    次の時代に羽ばたくのだろうか?

  • 不幸な生い立ちの果てに人を愛することができなくなった那智。複雑な家庭環境で育ったゆえに男嫌いになり、女性ばかりを愛してきた理緒。それぞれの生い立ちを猛スピードで淡々と綴った後に、二人の運命的な出会いをドラマチックに描く。
    前半は結構引きつけられて読んだが、後半、二人が出会ってからはちょっと退屈した。作者の「書きたい」という気持ちが先走っていて、筆が感情について行っていないような感じだ。終わり方がきれいすぎて納得行かない。

  • 会社の子が貸してくれた「感情教育」読んだ。初・中山可穂。「心に白夜を持つ」という表現が出てきたとき、この人の他の作品も読みたいと思った。濃密さと淡白さが同居する不思議な文体で、泥沼を描いていても停滞感が全くない。ユーモアの要素も無いけど、同時に重苦しさも皆無。不思議な人。。。

  • 恋がしたくなりました。

  • はじめて読んだ中山可穂さんの作品です。

    読みやすかったし、イメージしやすかった。

    愛を貫き通した2人は素晴らしいけどやっぱり自分はアンチ不倫です。

  • 絶版だったから中古で購入(^o^;)
    この著者の代表作だと思って期待しすぎてたからか、若干拍子抜け感あるぅ~…この人の本を初めて読んだ時は、衝撃受けたし面白いと思ったけど、後は何を読んでも同じに感じる。
    なんだかどの話も似てて…(((・・;)"

  • 旅の移動中など時間つぶしに購入(8/20)
    以前、同作者の「白い薔薇の淵まで」を読んでいたので、なんとなく手にとりやすかった。

    相変わらず一気に読ませる文章。
    内容的に好き嫌いは分かれると思うし、私も1回読めばいいかなと思う(読了したので図書館かブックオフへ持っていく予定)

    伝わってくる必死さがいい。

  • 哀しさや迷いを情熱がもやしてゆく
    愛するがゆえの苦しみのなかでさえ あいするひとを離すことはできない
    中山可穂の女たちは 強く脆く優しくて しなやかで上等な獣のよう

  • 互いに複雑な家庭で育った那智と理緒の恋愛もの。
    思ったよりも抵抗無く、普通の恋愛として読めたかも。
    むしろ、同性愛だとピュアに感じたのは気のせいなんだろうけど。

  • 同性同士の恋模様もさることながら、幼児期の体験が及ぼす影響について考えさせられた。親と子の絆や嫁と姑など盛りだくさんで、疲弊するかと思いきや、あっという間に世界に引き込まれる。
    記憶に残る作品ではある。

  • あまりにも濃密で、あまりにも美しくて、狂おしいまでに切なくて、
    これを読んでしまったらあまりにも完結されすぎていて、
    恋をする気力も、生きる気力も、表現するという意欲すらも奪われてしまうほど燃え尽きてしまう。

  • もし、これがどこかの新人賞に応募されていたら、落とされてしまうかもしれない。
    半分以上が主人公たちの半生を描いている。小説としてはレベルが高い。中山さんの文体にかかると、映像がすっと思い浮かびあがる。
    この作品の一番の魅力は冒頭である。冒頭を読めば、最後まで読み切れる。

  • ホントに中山可穂の小説には余裕がない。
    登場人物もみんな切羽詰まってる感じ。
    そして作者本人もキリキリしながら書いてる気がする。

    京極夏彦や宮部みゆきとか北村薫とかは洗練された文章で、自然に頭に文章が入ってくる感じ。たとえばすごく絵が上手い人のデッサンみたいで。
    中山可穂の小説は、彼らほどの画力は無いけど、とにかく細かいところまで描き込んだフライヤーイラストみたいな。

    わかりにくいか。

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