感情教育 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 703
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062734349

作品紹介・あらすじ

前世から契りあった恋人はあなたですか?今度こそ永遠に契りあうために、あなたはそこで待っていてくれたのですか?那智と理緒。傷つくことにすら無器用な二人が出会ったとき、魂がふるえ、存在の根源をゆさぶる至高の恋が燃えあがる。同性同士の愛の極北を描く、山本周五郎賞受賞作家による傑作長篇。

感想・レビュー・書評

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  • ごりごりの恋愛小説だった。しかも同性同士の恋愛という要素のおかげで霞みがちだけど、異性同士なら不倫略奪系と言われる種類。
    二人の女性の恋愛の話というのはあらすじで知っていたけど、二人の母親の名前が同じだったので、半姉妹ならタブーが過ぎる…と思いながら読んだら違って安心した。


    90年代から小説を読んでいる身としては、こういった文体や描写される業の深い人間たちの生き様がとても懐かしい。
    ドライな人間関係に染まっている2020年以降の作家にはこういう恋愛小説は書ける人は少ないだろうし、流行りもしないんだろうなと思った。

  • 感情教育という作品の名前通り自分が感情教育をされたように感じた、心に触れられて胸が苦しくなり息ができなくて本を読んでいて久々に自然と涙が流れた
    大抵の恋愛小説は2人が出会うところor既に出会っている段階から作品が始まるが、この作品は多くの部分が2人それぞれの生まれてからの人生を描いているためよりそれぞれの人物に感情移入できたのだと考える
    読んでいてあたらめて自分は男が嫌いだし女が好きだと思ったし結婚に夢を抱けなくなった

  • 再読。
    あとがきがハイライト。

  • 不運な運命に翻弄されて生きてきた理緒と那智。大人になって出会っていく二人。あっという間に読んでしまってた。恋愛の話にとどまらず、親子関係、夫婦関係、義理の親との関係、いろんなところで共感できたから、のめりこんで読めたんだろうな。いい本だった。

  • 一度も腕に抱かれることなく母親に捨てられ、養護施設から養父母に引き取られ、大人になった那智。養父は酒を飲むと暴れ、養母は那智に依存している。早く大人になりたい一心で、那智は東京のデザイン学校に入り、2年後には就職した仕事に没頭し、家庭も得て、誰よりも離れがたい、この世にただ1人血の繋がりがある娘も産まれる。だが、これまで付き合った男も、旦那にも、「愛している」と言ったことはない。愛するという感情がどういうものか、わからないのだ。

    理緒は不良少年と不良少女の間に産まれた。父はある日理緒に誘拐まがいのことをして金を巻き取り、姿を消した。母はホステスとしてパトロンを次々乗り換え、自分の人生を生きていた。理緒は長屋の親分夫婦や、母の実家の寺に預けられ、優等生の仮面をかぶり、母やパトロンのおじさんにも気を使い生きてきた。役割期待を演じ続けてきた理緒がのめり込んだのは演劇だった。演劇が盛んな大学に入り、親友もでき、同じ頃、女性を愛するという自分の性向も理解する。そして、大学を出た後はライターとして生計をたてている。男と付き合いもしたが、結婚はできなかった。

    似た境遇の2人が偶然出会い、必然的に恋に落ちる。2人はあまりにも似ていて、パズルのピースがぴったりはまる。ずっとずっと、このために生きてきたのだ。生まれてきたのだ。死なずにいたのだ。

    そんな人に出会えたら、そんな人と人生を共にできたら、それは苦しくて苦しくて、でも、幸福なことだろう。

  • 「感情教育」中山可穂◆那智と理緒、二人の女性が出会った時、運命の恋が始まった。同性愛云々は全然気にならないけれど、それ以前に小説として入り込めなかった。彼女たちは傷つきながら生きてきた。それは分かる。可哀想。だけど彼女たちによって傷つけられた人もいるのではないかと思ってしまった。

  • 孤独と飢えに縁取られた苛烈な愛ではなく、互いの隙間を埋められるやわらかな愛を差し出して生きてゆけるようになるまでのお話。美しい文章でした。

  • 10年以上前に読んだ本を、もう一度読んだ。
    生き方が変わってしまったせいか、共感できる部分は少ない。
    だけど中山さんの本は、次々にページをめくりたい衝動に駆られてしまう。

    もう自分には、こんな身が切れるような愛し方は出来ないと思う。

  • もし、これがどこかの新人賞に応募されていたら、落とされてしまうかもしれない。
    半分以上が主人公たちの半生を描いている。小説としてはレベルが高い。中山さんの文体にかかると、映像がすっと思い浮かびあがる。
    この作品の一番の魅力は冒頭である。冒頭を読めば、最後まで読み切れる。

  • 「理緒さんとつきあうには耐熱ガラスのような人でないと無理ね。理緒さんの熱をまるごと受け止められるような」って表現が好きだった

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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