ペルシャ猫の謎 (講談社文庫)

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著者 : 有栖川有栖
  • 講談社 (2002年6月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062734509

ペルシャ猫の謎 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 有栖川有栖の作家アリスシリーズ『ペルシャ猫の謎』を読了。短篇7つを収録した、国名シリーズ第5弾(短篇集としては4作目)。

    本作は少し異色。火村とアリスが全く出ないものや、読者の意見が別れそうな真相のもの(もちろん別れるのは当然だが、もっとはっきりした理由で)などがあり特徴的。

    火村たちが出ない『赤い帽子』という短篇。なんとこれは、大阪府警に勤務する方に向けて作られた社内雑誌にて連載されたものだという。大阪府警の警務部教養課から、「うちの雑誌で推理小説の連載を」と依頼されたとのこと。そんな訳で、以前から活躍させたかったという森下警部が主役になっている。火村たちが出なくても、安定の面白さだった。

    表題作『ペルシャ猫の謎』は、意見が別れそうだと前述した短篇。これは全く予想外すぎた。「ある事」を知っている人なら自力で謎が解けるだろう。そして作中のペルシャ猫の描写も可愛い。個人的に雑種の猫が好みなのだが、読了後には表紙のペルシャ猫も可愛く見えてしまった。

    また、ミステリとは言えないようなものもあった。これは単にオレがそう感じただけであり、読者によっては違和感はないかもしれない。それは各々の持つ、ミステリというものの解釈次第であろう。

    全体的に意欲的で、評価に値する一冊だった。

  • 「切り裂きジャックを待ちながら」
    ある劇団あてに、誘拐された看板女優を映した映像が送られてきて、その映像の真偽を確かめてほしいと演出家に呼ばれたアリス。クリスマス公演の中止が目的のいたずらだと一蹴する監督だったが、ゲネプロ中にクリスマスツリーに引っ掛けられた看板女優の死体が現れて…。
    後から駆けつけるかっこいいヒーロー登場な火村先生。クリスマスツリーと真っ白い衣装が血糊で赤く染まった看板女優の死体という視覚的なインパクト。追い詰められた犯人の狂気、みたいなところが見所ですかね。
    元はドラマか何かの原案だった模様。

    「わらう月」
    これは一体何回読んでるんだっていう笑。多分麻々原さんの漫画でも読んでるし、ビーンズ文庫で出てる方の短編集でも読んでるはず。
    いきなりのネタバレですけど、写真反転トリックでアリバイを作る話ね。これも第三者視点で、客観的に火村、アリスコンビが見れるのが面白いかも。すっとぼけてるように見えるアリスと、得体の知れない火村先生っていう組み合わせがいいですよね〜。
    ちょっとエロティックな雰囲気が漂うくだりがあって、外で読んでて人の目が気になってしまった笑。

    「暗号を撒く男」
    火村が一人で解いた謎を、アリスが小夜子さんに話して聞かせるパターンの話。串カツ屋で三人並んでだべりながら食べてる図がなんかほっこりするんですよねえ。あとこの話は案外さらっとしてて、あの長編のあとに感じる寂寥感的なものはないかもしれない。どっちかっていうとギャグっぽいと言いますか。割と読者への挑戦の意味合いも強いかも。
    暗号は全然殺人とは関係ないっていうオチは確かにありなのかどうなのか悩ましいところですけど笑。

    「赤い帽子」
    珍しい森下刑事主人公の話。警察内で配布される冊子への寄稿だったとか。
    推理モノっていうよりは刑事ものの側面が強かったかなあ。足で稼いでなんぼみたいな。犯人に目星をつけるところには推理が絡みはするんですけど、火村先生が登場する話とはちょっと違う感じ。
    若干物語の締め方が、え、これで終わり?という犯人逮捕のところにまで至らないところがしり切れとんぼのような気がしたんですけど、まあ、犯人を絞り込んで、その証拠をつかんだ、というところまでは描かれているから、それ以上は蛇足になるってことだったのかな。
    森下刑事って思った以上に真面目な印象になりました。

    「悲劇的」
    アリスが片桐(担当編集)さんから、誰かいい人(作家)紹介してくださいよーと言われて、火村先生が採点したレポートの話をするという物語。謎とかトリック、という感じではなくて、火村英夫とは何者か、みたいな話でした。
    レポートを提出した子は、バイト先の店長が強盗殺人で殺されたことに対する憤りみたいなを書き連ねたものを課題のレポートの代わりに提出して、それに火村先生が返した一言は確かに火村らしいなあ、という。

    「ペルシャ猫の謎」
    この話は、アリバイトリックかと思わせておいて、実は超常現象的なオチというミステリなのかどうなのか怪しい一作笑。超常現象と言っても、科学的に起こり得る可能性のあることと、という意味で、これもようは火村という人物を描いた作品なのかなあ。京極さんの姑獲鳥の夏とちょっと通じるものがあるかも。
    火村先生は幽霊は信じないけど、科学的に起こり得る可能性のあることは、信じるタイプなんですねえ。

    「猫と雨と助教授と」
    火村先生が猫を拾ってきたというだけの話笑。これも火村英夫という人物を浮き上がらせるためのストーリーですね。
    アリスじゃないけど、下宿先のばあちゃんに「婆ちゃん。猫、もう一匹増えてもいいかな」と濡れた子猫を抱えて尋ねる火村英夫って…!なにそれ萌える。ということですね(アリスは傑作なのは、と言ってましたけど)。

    これも解説を読んでなるほど、と納得したんですけど、『46番目の密室』で火村が述べた「無意味に宇宙を創造したスピノザの神なら信じますがーー」というのはアインシュタインの「私は、人間の運命や行為にかかずらう神は信じません。しかし、自然界の美しい調和を現すスピノザの神は信じます」という言葉の引用で、それが無神論者の火村らしさを表していて、それが「ペルシャ猫の謎」に表されているとのこと。その話を読むと、なんでこう言う形の物語になったんだろう、という謎も解ける気がするんですよねえ。

  • 火村、国名シリーズ。
    そもそも猫が嫌いだった。
    赤い帽子、本巻では一番印象に残りました。

  • 「国名」シリーズの短編集です。

    ◆切り裂きジャックを待ちながら
    クリスマスの話です。
    「46番目の密室」もクリスマスでしたね。

    火村先生とアリスは、ヘタな恋人よりも一緒にイヴを過ごしています(苦笑)

    「切り裂きジャック」をモチーフにした劇のゲネプロ中に、ツリーに吊るされた女の死体が発見される。
    元はドラマ用のストーリーだそうです。

    火村先生の登場シーンが格好良いです。

    ◆わらう月
    語り手は、とある殺人事件の容疑者にアリバイ作りを協力して欲しいと頼まれた女のコです。

    月は好きですが、天体の動きといった地学は苦手でした。
    「春分の日、南にある月はどんな形か」なんて知りませんよ。

    火村先生にならば、ジッと見つめられたいものです。
    火村先生は結構キザなセリフをおっしゃるのね。

    ◆暗号を撒く男
    殺人事件と、その場にあった暗号(?)は全く関連性がなかったというオチです。
    そりゃあ凹むよな、火村先生(笑)
    中年男が星座を覚える姿を想像すると、シュールかもしれません。

    ◆赤い帽子
    ミステリというよりは刑事物語です。
    アリスや火村先生は登場しませんが、府警一課のハリキリボーイ・森下くんや上司の鮫やんが活躍しています。
    森下くんは見た目がジャニーズ系で、アルマーニのスーツを着ています。

    森下くんが職場で可愛がられていることがよく分かりました。
    正確にはからかわれているのか(笑)

    ◆悲劇的
    このお話もミステリではありません。
    火村先生がレポート採点をしながらキレています。

    とある学生のレポートに、世話をしてくれた男の人が殺されたことに対する怒りが綴られてあった。
    世の中の不条理に、そして、神に向けて。

    火村先生は、レポートの最終行に一文を付け足します。
    さすがは無神論者。

    ◆ペルシャ猫の謎
    表題作。
    オチはドッペルゲンガーですか(苦笑)

    自分の本を手にする人を見て、ドキドキしているアリスが可愛いです。
    火村先生に「そんなこと言っていると、若白髪が増えるぞ」と言うとは、アリスは勇者だな。
    二人共、猫にメロメロでしたね。

    ◆雨と猫と助教授と
    この頃は「准教授」という呼称ではなかったのね。
    火村先生と猫のエピソードです。
    桃ちゃんを拾ってきた時の火村先生が可愛いです。

  • 看板女優の身代金を要求するビデオが届くー切り裂きジャックを待ちながら
    悪いことをするときはいつでも月がみているーわらう月
    火村のうかない顔は、ある事件現場にちらばった不可解なものにあったー暗号を撒く男
    森下刑事が殺人事件を追うー赤い帽子の男
    火村ゼミの学生のレポートに書かれた助教授の一言ー悲劇的
    ある男が自宅で頭を殴打される。男は犯人が双子の弟だったと主張するがーペルシャ猫の謎
    火村と猫ー猫と雨と助教授と
    以上7本の短編を収録。

    いつもスラっと読んでしまって謎解きが後回しになるので、今度こそ作者の挑戦に勝ってみせると意気込んでいたせいか、違和感。
    作品集としては趣の違うものがズラリと並び飽きないつくりだが、謎解きモノでない作品も3本ほどあったので、ミステリというよりも、謎解きモノも含んだ短編集というのが正しいか。
    そういう目で見れば面白かった。

  • 今回は有栖と火村先生がそんなに出てくるわけでも、軽妙な掛け合いがあるわけでもなかったけれど、森下刑事主役の「赤い帽子」のワンシーンが「砂の器」に似ているなぁ。とか双子で間違えられてとかあるよね・・・等々楽しめました。

  • 頭を殴打された男は朦朧とする意識の中で自身の双子の弟が愛猫を連れ去る場面を目撃する。
    しかし弟にも愛猫にもそれぞれアリバイがあり...。
    あり得ない真相を提示し、シンプルな論理によって証明せんと試みる表題作を含む小粒揃いの7編。

    火村英生と作家アリスの国名シリーズ五作目。

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    「買いなさい。損はさせないから」話題騒然の表題作。「ペルシャ猫の謎」。血塗られた舞台に愛と憎しみが交錯する「切り裂きジャックを待ちながら」、名バイプレーヤー・森下刑事が主役となって名推理を披露する「赤い帽子」など、粒よりの傑作集。
    〈国名シリーズ〉第5弾、火村・有栖川の名コンビはパワー全開!

    【キーワード】
    文庫・ミステリー・シリーズ


    +++1

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    「買いなさい。損はさせないから」話題騒然の表題作「ペルシャ猫の謎」。血塗られた舞台に愛と憎しみが交錯する「切り裂きジャックを待ちながら」、名バイプレーヤー・森下刑事が主役となって名推理を披露する「赤い帽子」など、粒よりの傑作集。「国名シリーズ」第五弾、火村・有栖川の名コンビはパワー全開。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    収録作品
    ・切り裂きジャックを待ちながら
    ・わらう月
    ・暗号を撒く男
    ・赤い帽子
    ・悲劇的
    ・ペルシャ猫の謎
    ・猫と雨と助教授と

    猫ですよ~。皆さん大好き猫ですよ~。
    これ、一応国名シリーズ第5弾、と言うことなんですね。

    「ペルシャ」って言う国名は今は存在してないですよね...
    たぶん...
    こじつけ感w

    (いちおう、現在の国名では「イラン」になるそうです)

    最近、有栖川シリーズばかり読んでます...
    そしてペースはがくっと落ちている...

    本自体に魅力がないのではなく、私が本を読む時間が取れてないのです。
    本を読む時間が取れないと殺伐としてきますね!

    いや~...スマホを見る時間が多すぎるんですね...
    スマホから得られる情報量が多すぎるんですね...

    秋の夜長、スマホめぐりは少し休憩して、
    温かい紅茶と良質な本でのんびり過ごしたいものです。

    って感想だよね感想。

    「切り裂きジャックを待ちながら」
    なるほどクリスティの戯曲っぽいの出てきましたね!
    ツリーに死体がぶら下がると言う、派手な演出つきで。
    結末が無理やり感強いのもクリスティっぽくていいですね(ほめてます)。

    ただね、ここらへんなんだか「ミステリー」と言うよりは
    「クイズ」っぽくなって来てるかな?と言う印象。

    いわゆるミステリーの「フーダニット」「ハウダニット」などを
    推理して楽しむ類の作品ではなかったです。

    たぶん、王道からすると「アンフェア」かな?
    心理学っぽいお話もあったし。

    短編ってやっぱり難しいのかな?
    そろそろ長編が読みたいな~。

    あ、でも、火村先生の意外な一面を見るにはよいです♪
    火村先生ファンには最後の作品「猫と雨と助教授と」が短いですがお勧めです!

    雨。猫。助教授。最高の組み合わせですよ~。

    なんだかんだ言いながらも、しばらく有栖川沼にはまってそうですw

  • 変化球多め。もうちょいストレートで勝負して欲しい。

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「買いなさい。損はさせないから」話題騒然の表題作「ペルシャ猫の謎」。血塗られた舞台に愛と憎しみが交錯する「切り裂きジャックを待ちながら」、名バイプレーヤー・森下刑事が主役となって名推理を披露する「赤い帽子」など、粒よりの傑作集。「国名シリーズ」第五弾、火村・有栖川の名コンビはパワー全開。

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