マークスの山(下) (講談社文庫)

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著者 : 高村薫
  • 講談社 (2003年1月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062734929

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マークスの山(下) (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 最後の一行で涙が滲む。

    読み終わったのが結構前なので、細部を覚えておらず、かつ色々疑問に思ったところもあったはずなんだけど、やっぱりラストシーンを思い返すと何もかも霧散するというか、それだけで「充分」って満たされる。

    正直最初から犯人わかってるし、ミステリとはまたちょっと違う気がするんだけど(それとも、合田が犯人と気づくまでの過程からミステリ扱いになるのか?犯罪があるからミステリなのか?)、いずれにしても賞に値する素晴らしい一冊だと思う。

    まだ女性が書く雰囲気が微かにあって、妙な柔らかさがあるのも好き。
    そっから照柿とかレディ・ジョーカーはなんか男性が書いているのか女性が書いているのかかなりあやふや感がある。
    というか、両性具有?むしろ無性?な感じ。でもラストにいつも女性を感じるんだよなー。まぁ、それはいいとして。

    最後は読者も合田と一緒に山に登ってるんだよね。
    頁が残り少ないし、文中にもあるし、水沢は恐らく最期を迎えてると思いながら、でもみんな必死に登る。

    合田や他の刑事がどんな心情か作者にしかわからないけれど、私は水沢を見つけた時、静かに微笑んでしまう。
    間違いなく幸せだと思うから。
    そして切なくて泣けてくる。
    真知子が与えていた愛はちゃんと昇華されていることに救いも感じる。

    心に冬山の恐ろしく冷たくて綺麗な風がふいて、そのあとたまらなく熱くさせてくれる。

    これこそ小説を読む醍醐味なのかもしれない。
    そんだけ気持ちがいい作品。

  • 上下巻を3日間で読了。
    こんな抜群の集中力発揮は久しぶりです。
    読んだ記憶はあっても内容はすっかり忘れ、
    そのまま書棚の奥深くに放置。
    再読の機会が来るはず!と確信をもって
    捨てずにおいたことを今になって思い出します。
    さて今回の結末は忘れていても読み進むうちに
    ある程度予想がついていました。
    合田と水沢の顔合わせは、生きてはないだろうと。
    互いに引き寄せられながらも離れていく、という
    繰り返しは、物語の展開自体が「対峙」を
    拒んでいるのだと思わせます。
    両端の世界にいる2人は、ある瞬間重なって見えます。
    軽い身のこなしや、突然回転し始める頭脳、そして
    時に寡黙となる伏し目がちの姿。
    映像作品は観ていませんが、途中から二者の姿が
    はっきりと脳裏に焼き付いていきました。

    最近は、こうした、反体制を強く打ちだす作品が
    少なくなったと思います。
    読みながらこんなことを言って大丈夫なのかと心配する
    自分を感じながら、それこそが流されている姿なのだと
    思い知らされます。
    本作品が直木賞を受賞した時代背景を改めて
    振り返った次第です。

    あれから20数年。
    自分と同じだけ年を重ねた合田に会ってみたい。

  • やっと読み終わった~
    ちょいと挫折しそうになりました
    第109回直木賞受賞作【マークスの山】

    非常に悲しい物語であります
    東京で起きる連続殺人事件
    被害者たちは、ある大学の山岳会で繋がったエリートたち
    この連続殺人事件の発端は、過去に南アルプスであった不可解な事件で、すでに解決したとされるもの
    この16年前の事件と犯人と被害者を繋ぐものは、なんであるのか!!という物語

    犯人の『マークス』と名乗る男
    実は、この男・・・・精神障害者であります
    幼い頃に両親を一家心中で亡くし、その時に負った一酸化中毒症の影響で重度の健忘症を患っています
    脳内で『明るい山』と『暗い山』が交互に現れ、精神を蝕まれた男
    自身が何者かも解らず、犯罪を重ねていく
    何が彼を殺人に導いていくのか・・・・・・

    しかし、この物語
    文章が
    長ーい

    主人公である警視庁捜査一課の合田の心情
    行ったり来たりする心の迷いと憤りが切々と語られていく・・・・・・
    これがこの作品の一つの醍醐味なのでしょう
    ですが、捜査側のお話はちょっとうんざり・・・

    それに比べて殺人犯・水沢裕之と看護師・高木真知子のお話は、とても悲しく・・・・・
    もう少し、水沢裕之の心の闇を覗きたかったかな

    もちろん16年前の事故、事件と現在起きる殺人事件、山岳会の係わり合いを結びつけるストーリーの緊迫感はハンパなく読者を引き付けるわけで、途中で投げ出すわけには、行かなかったのですが・・・・・
    暇つぶしにかるーく読む作品ではないと思います
    じっくり、じっくり読みたい作品です

  • 終了日:2010・5・3
    最後の数十ページ、兎に角「この話は完結するのか?!?」と動悸が奔走。
    エンディングは、李歐の時の心臓が止まる様なカタルシス…というより…なるべくしてなったんだなーって。読後直後は「わからん!」だったが、しばらく経って、それこそやっと神経が繋がったって感じに納得した。

    そうなるとやっぱり最後は…透き通った痛さだなぁって。てか腐女子が合田刑事に倒錯するのが身にしみて解る。
    だがそんな不純というかお前が警察に捕まれ的煩悩を除いてもこれは最高だった。あーもう、とにかく私の好みドンピシャ過ぎて目眩がする。
    真面目な話、あの文章に入り込む生々しい生活とか人間のリアルが強烈。形容しがたい硬さの中にあるその生々しい温みが背筋を這い上がる。
    ほんと文章の端々に忍び込むその些細な感触が耐えられない不快感を生む。不快感って語弊があるかな。
    ただ、小説に読者が持ち込む理想とか期待とかが、根本から覆される時の、小説と現実の垣根を越えて毛並みを逆立ててく感覚。

    硬質な鈍痛の中ひっそりと冷たい牙を喉元に押しあてられる様な快感!

    話は変わるが、今回泣いたのは真知子の取り調べシーンです。それと、その真知子を踏まえた点での、最後。あれは、正直、もう、言葉にならないくらいでした。

    あとがき/解説に女を描いた事が云々言ってたがその通り。
    合田さんの大阪弁にハゲ萌える。(話飛び過ぎ!)

  • 高村作品を読むのに大変なことは、単行本と文庫本で、同じタイトル、テーマでも内容が違う作品くらい変わっていることです。どちらか読んだからといってもけっして安心は出来ないのです。

  • 解説の秋山氏によるとジャンルは「本格小説」らしい。なんでも本格をつければよいというものではないと思うので、ネーミングはいかがかと思うが、言いたいことは何となくわかる。
    犯人はもともと分かっていたし、動機や経緯も予想の範囲内だったが、サスペンスが作品の本懐ではないのだろう。いくら「マークス」が過去に罪を犯したとしても、水沢には何の関係もないわけで、水沢が単なる猟奇殺人犯であることには変わりはないのだけど、ラストシーンは雪山の山頂の静謐さと合わさって、なんだか切ない。真知子のメモとサンダルと、開いたままの目が、なんだか切ない。
    一気読みしてしまう面白さでした。

  • この結末は。。。非常に残念だ。

    と、登場人物の刑事だけでなく読者も思うのではないでしょうか


    2017.9.10
    110

  • 髙村作品らしい結末。北岳にまた登りたくなった。
    wowwowドラマ版も鑑賞してみたい。

  • ミステリーを書く作家は、「真相」から遡っていって謎に巻き込まれる登場人物たちを描かなければならないのだが、その登場人物たちが、いつどうやって「真相」に気が付いていくのかをご都合主義にならずに書くことは難しい。それが「都合よく」にならないようにじっくりと、というよりも作者の相当な執着心によって書かれている。実際に「真相を知らない人」たちが真相に少しずつ近づいていく、その「少しずつ」感が半端ない。

  • ミステリ好きとして読んでおかねばという思いから、高村薫の作品の中から評価が高いものを選んだハズ…だったんだが。しかも直木賞。
    とにかく疲れた!!その一言に尽きる!!Amazonの同じく低評価の人が「最後まで読んだ自分を誉めてあげたい」って書いてたけど、すんげーわかる。もはや内容に触れる力もねえ…。

  • まだ真相にたどりついてない気がする。

  • とにかく長くて重くて、最後あたりはギブアップ気味。登場人物も覚えきれず。

  • 七係の登場人物の説明が押し付けがましくて読み飛ばした。もう少しエピローグながかったら良かった病院後の水沢の主観が気になった。概ね良かった

  • 不気味さと狂気を感じさせる殺人犯・マークスがたどり着いたのは「彼」を生んだ山だった。
    この最後に「山」にたどり着いたところがなんとも切ないのである。
    ずっと作品全体に暗い影を落とし続けた「山 」の頂上が開けるラスト。

    これ「山」に捕らわれた人達の物語なのだ。「マークス」の5人にあった「山」は「絆」であり「過去の呪い」でありそして「郷愁」だった。そういった意味では「青春」の匂いさえ感じさせるところもあった。

    ''十三年経って過去を振り返る浅野の言葉のすみずみに、おぞましい郷愁はなかったと言えるか。
    山とは何だろう―――。''

    続きか気になって一気に読んでしまった。警察や検察や権力の攻防も描かれたけど一連の事件を通して「山」の影が背後に見え隠れして、人間の持つ闇に留まらない「暗さ」、緊張感や不気味さが作品に漂ってそれが魔力みたいにページをめくらせる。
    面白かった。

    あと某作家さんが著作で言及されていたように合田刑事と加納検事の何とも形容しがたい関係もとても気になるところ。笑
    (2016.2.7)

  • 殺人犯を特定できない警察をあざ笑うかのように、次々と人を殺し続けるマークス。捜査情報を共有できない刑事たちが苛立つ一方、事件は地検にも及ぶ。事件を解くカギは、マークスが握る秘密にあった。凶暴で狡知に長ける殺人鬼にたどり着いた合田刑事が見たものは……。リアルな筆致で描く警察小説の最高峰。

  • さすがの高村薫!
    解説の氏の通り、ミステリや警察小説というよりは本格小説と敬す方がしっくりきました。
    ドラマを観ているようであっという間に読み終えました。面白かった〜!

    上巻は水沢のプロローグにはじまり、
    その後は水沢の犯行視点、追う刑事合田の視点が繰り返されますが、
    合田シリーズ(というのも後に知る)は初めて手にとったので、警察関係の登場人物の多さに少し戸惑いました。

    下巻は真相解明のクライマックスに向かってか、ひたすら合田達の捜査の描写が多く、水沢の視点はほとんど出てこない。というか、真知子が撃たれてからはなかったかな?
    10歳の頃、南アルプスでの親の心中から一人生還し、健忘症などの障害を負った水沢青年。
    自らのうちにある暗い山(もう一つの人格?)に苦よって精神を苛まれながら”福沢諭吉一万枚”を求め犯罪を犯していく。
    マークスと自称し、過去の事件を掘り起こしながら。
    浅野の遺書により真相が明らかになっていく中で、事件の渦中にいる水沢の心の動きがもっと描写されていたら良かったのに…
    かなり長文の遺書によって真相は明らかになりますが、そこはちょっと投げやりな感も…?

    ラスト、甲府に向かったとみられる水沢を追う合田と森。
    天候により、生死の可能性も五分五分となる中、水沢を捜索するシーンは臨場感溢れる描写!
    そして、山の頂上で凍死体として見つかる水沢。そこから臨む富士山の絶景。
    水沢の20数年の人生は暗い山に囚われ幕を閉じますが、この最後のシーンは救われたような、切ない気持ちになりました。
    水沢には明るい山が見えたかな。

    遺書による真相解明がちょっとうーん、だったので、上下巻で評価別。

  • 水沢の狂気の正体が一酸化炭素中毒だとしたら、なんて不幸なことなんだろう。高村作品の引き割り納豆みたいな読み応えは一度体験したら離れがたい。

  • やっぱり後半が雑

  • 照柿も合わせて。読み終わった後にタイトルがしみじみくる…。おお…と思った。良い後読感です…。

  • 高村薫のサスペンス小説。
    南アルプスの北岳がキーとなってストーリーが展開していく。
    犯罪者マークスを追っていく刑事。過去の山岳部仲間で現在の社会エリートたちの過去の犯罪が現在進行形の犯罪とシンクロしていく。
    展開にぐいぐいと引き込まれていく。
    昔も読んだのに全然覚えていなかった。

  • 昭和51年秋の南アルプス。それは、払いのけても払いのけても風雪のカーテンが垂れかかる、暗い山だったのか。山中で急死した仲間を身元不明となるように遺棄した、自らを《マークス》と名付けた5人の男たちの罪と秘密の種は、平成4年、実に16年の歳月をかけて東京で萌芽した。
    凶暴で狡知に長け、そして天真爛漫な子供のような殺人鬼の姿となって。
    犯人を特定できない警察のいら立ちを尻目に、次々と人を殺し続ける《マークス》。
    そして被害者たちと犯人をつなぐ線を追う警視庁捜査一課七係の刑事・合田が雪の山嶺で向かえる、誰一人救われることのないラストシーン。

    命を懸けてまで守るものとはどんなものなのか。なぜ、そんな風に愛するのか。《マークス》を名乗った青年の、静かな無情感が涙のように浸みてくる。

  • う~む、面白いのは面白いが、なんか広げた風呂敷をバタバタと畳んでいるようで、最後が雑。
    遺書で解決させるというのはねぇ…。四分の三までは面白かっただけに、残念。

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殺人犯を特定できない警察をあざ笑うかのように、次々と人を殺し続けるマークス。捜査情報を共有できない刑事たちが苛立つ一方、事件は地検にも及ぶ。事件を解くカギは、マークスが握る秘密にあった。凶暴で狡知に長ける殺人鬼にたどり着いた合田刑事が見たものは…。リアルな筆致で描く警察小説の最高峰。

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