ハサミ男 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.88
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本棚登録 : 17784
感想 : 1814
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735223

作品紹介・あらすじ

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 女子高生を連続して狙う殺人犯である主人公、通称【ハサミ男】が自分の模倣犯を探すという類い稀に見る設定の叙述トリックミステリ。

    私にとっては初著者作品。
    表題名は有名かつ評価も高かったことから、読書デビュー後早々に入手、長きにわたって熟成させていた。
    前読の中山七里作品読了をキッカケにミステリ欲が高まり、満を持して積読棚から手に取った。

    本作品は基本【わたし】視点の一人称【警察】視点の三人称で進んでいく構成になっている。

    読後感想から述べると、この作品は読みやすい。そしてとても面白い。兎角素晴らしい。叙述トリックを最大限に駆使した作品だと言えよう。

    私の叙述トリック歴はまだまだ浅いのだが、今まで読んできた叙述トリックは、多少なりとも強引性を感じる印象が否めなかった。

    しかしこの作品はフェアだ。
    きちんと読み進めれば、犯人の正体に気づけるワードが予めしっかり点在している。

    終わり方も含みを持たせミステリアスで善き。

    私には珍しく読了後に即再読、一読では引っ掛からなかったセリフや情景などが、実は伏線であったりと見事に騙されていた自分に改めて気付かされた。完敗だった。

    そして読後、改めて表題名と装丁を眺めた時に溜息がでた。読前から既に作者のトラップにかかっていたのだ。

    今のところ私が読了した叙述トリック作品の中では、ダントツの名作となった。

    • akodamさん
      Kaniさん、こんにちは。
      明けましておめでとうございます。
      コメントいただき光栄です。

      何を隠そう、私がハサミ男に出逢うキッカケをくれた...
      Kaniさん、こんにちは。
      明けましておめでとうございます。
      コメントいただき光栄です。

      何を隠そう、私がハサミ男に出逢うキッカケをくれたのはKaniさんなのです。小説読書&ブクログデビュー間も無くして、Kaniさんのハサミ男のレビューを拝読し興味を掻き立てられ、即フォローさせていただき書店へGOした記憶は未だ鮮明です(通読までかなり寝かせましたが…)

      ハサミ男、私の中で圧巻の1冊です。
      今日今現在、最後の1行まで堪能出来たミステリ作品と言えば?と問われれば即答で本作を挙げます。

      Kaniさんのレビューは親切で分かりやすくて、いつも参考にさせていただいています。
      こちらこそ本年もよろしくお願いします^ ^
      2022/01/03
    • Kaniさん
      akodamさん、お返事ありがとうございます。
      私の拙い文書のレビューなんかで、、、すごく嬉しい!感激です!!!
      沢山の本に出会って、沢山の...
      akodamさん、お返事ありがとうございます。
      私の拙い文書のレビューなんかで、、、すごく嬉しい!感激です!!!
      沢山の本に出会って、沢山のフォロワーさん達の感想に共感して、ひそかに幸せを感じています。
      これからもたくさん感動しましょう^ ^
      2022/01/03
    • akodamさん
      ブクログをはじめて右も左も分からない時にKaniさんをお見受けし、フォローさせていただいて以降、私は勝手にKaniさんのことを【師匠】と仰い...
      ブクログをはじめて右も左も分からない時にKaniさんをお見受けし、フォローさせていただいて以降、私は勝手にKaniさんのことを【師匠】と仰いでます^ ^

      ブクログで出逢う方々と皆さんの本棚やレビューから、どんどんと輪が広がっていくこと、私も本当に幸せに思います。

      感動の輪、一緒に広げていきましょう(*´-`)
      2022/01/03
  • 多忙な日常にハサミ男が入り込んできた、遅読の1週間。また見逃した。あれほど注意深く読み進めてきたのに、君はそんなところにいたのだね。注意力の不足?いや、先入観を植え付けられた。巧妙に。所轄の刑事たちも冴えないどころか…

    ミステリ愛好家の本棚に必ず並ぶ一冊。私の本棚にもやっと並ぶことになった。(*´꒳`*)

  • 美少女を殺害しハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」
    第13回メフィスト賞。
    覆面作家さんだったらしいけれど、もう10年も前に亡くなっているんですね。
    知りませんでした。

    三番目の標的を自分の模倣犯に殺されて、第一発見者となってしまう「ハサミ男」
    真「ハサミ男」が模倣犯を探す
    真「ハサミ男」を警察が探す
    ところどころにダブルの仕込みがあり人気作となっていることがわかります。
    叙述ミステリーということで、“わたし”の正体を読み取ろうと意識しましたが、結局騙されてしまいました。
    私が本当に楽しむには再読が必要ですね。
    それにしても 図書館本がぬめりを感じるほど読まれていた。

    • 1Q84O1さん
      ぬめり…、触りたくないかも(ーー;)
      ぬめり…、触りたくないかも(ーー;)
      2024/03/23
    • おびのりさん
      めとっっと
      めとっっと
      2024/03/23
    • yukimisakeさん
      ぬめり…(>_<)こちらの図書館は比較的綺麗だったのに…
      ぬめり…(>_<)こちらの図書館は比較的綺麗だったのに…
      2024/03/24
  • いやはや全く、名乗らない語り手のきな臭さに、
    なにかある絶対なにかある。でもなにがあるのか分からない。と、パニックに陥りながら楽しんでいた。

    どんでん返しが魅力のこの作品、犯人の正体だけでは終わらずとんでもない仕掛けが潜伏していた。
    必然の道を進むミラクルは口元がムズムズするが、にしても驚いた。トリック解明時の漂っていた伏線がガシッガシッと在るべき場所に嵌っていく爽快さは快感だ。

    読了感の悪さを求める身として本作の着地点にも大満足です。

    • yhyby940さん
      ご感想に納得しきりです。ちなみに映画化されているのをご存じでしょうか。豊川悦司さん、阿部寛さん、麻生由美子さん出演です。しかし、残念ながら原...
      ご感想に納得しきりです。ちなみに映画化されているのをご存じでしょうか。豊川悦司さん、阿部寛さん、麻生由美子さん出演です。しかし、残念ながら原作の世界観は描けていません。少し残念な作品でした。蛇足ながら。
      2020/11/23
    • NORAxxさん
      yhyby940さん
      初めまして^ ^コメントありがとうございます。
      映像化されてるのは知りませんでした!俳優陣は豪華ですがやはりこの原作の...
      yhyby940さん
      初めまして^ ^コメントありがとうございます。
      映像化されてるのは知りませんでした!俳優陣は豪華ですがやはりこの原作の独特な世界観を表現するのは難しいのでしょうか...映像化は俳優陣でキーパーソン割れしてしまうのも瑕ですよね(´・_・`)
      情報ありがとうございます☆
      2020/11/23
  • ミステリー好きにおススメの本、そしてフォロワーさんの本棚でよく見かける本だったので拝読。
    私、頭が悪いせいか、読み物として楽むことが好き過ぎて、推理といった部分をすっ飛ばしてしまうようです。誰が犯人かを探りに行かず、様々な種明かしを納得しながら読むといった感じです。今回もこれでした。
    綿密に様々な伏線を散りばめ、登場人物においても読者を錯乱させながらの手法は見事でした。今どこだ?誰だ?って常に追っかけながら最後まで振り回される良作だと思います。

  • 面白かった。やっぱり、名作なんだと思った。

    ハサミ男は、連続美少女殺人鬼でありながらも、自身は自殺願望者。
    週末にドジな自殺未遂を真面目に繰り返すというちょっとおかしな人物。
    そして怪しげな精神科医とのやり取りもコミカルで楽しめるところ。警察関係者もキャラがたっていて分かりやすい。
    飽きさせない展開で、文章も読みやすく惹き込まれた。
    でも、、途中から何がなんだか、訳わかめ??状態に陥り、混乱の渦にのみ込まれた。
    ミステリーあるある、混乱のベテランな私でも最上級の混乱に陥った。
    我慢して読み進めると…、どんでん返しされてしまった―

    全く何を読んでいたのかな??という騙され感に、笑えた。そして目薬をしてまたパラパラと読み返したりして……。
    終わり方も好みな作品だった。

     チョキ、チョキ、チョキとハサミ男が行く
     悪い子たちの遊びをやめさせるんだ
     チョキ、チョキ、チョキとハサミ男が行く
     きみも彼の名簿に載っているかもしれないよ
     きみも彼の名簿に載っているかもしれないよ               XTC  (シザー・マン)

  • 作者の初読み。
    ◆今まで読んでなかった理由
    ハサミ男というSFチックな非現実系?かと思っていたから。

    ◆なぜ今読んだ?
    ミステリーランキングにいつも登場しており、、ミステリー何買おうかなあ、、の本屋さんタイミングで全面に登場!
    ※これだいぶ前の発刊のようなのにアピール凄かった笑

    ◆感想
    序盤面白く、警察側たくさん出てきてから名前と役職混乱。ラストに向かうにつれて混乱の嵐。
    語り口調で物語進むんだけど、誰の話なのか何度も戻ったりするけど、混乱混乱。
    読み終わった時も、わからなくてネットでネタバレあらすじ検索ー!!
    あーそゆことー!?へえ〜、、なるほど、、ほーって感じで理解。笑 どんな感じ!?

    長編なので、、読み終わった瞬間で、どゆこと!?混乱した私は、まだまだ初心者なのだと実感。
    もう少し色々読んでスキル上げてから再読してみようーと(^_^;)

    今日はコスタリカ戦!日本頑張れー!
    早く仕事切り上げて、ダッシュで帰宅しないと。
    こゆときの方が仕事捗る、人間やはり目的や動機ないと動けない〜

    しばらくハサミ見たくないです。

  • Instagramでオススメミステリーとして紹介されていました。

    ミスリードにものの見事に引っかかってしまいました。ミスリードだったと発覚した時には頭が混乱して、何回も読み返して理解しようとする位にです。

    序盤から「真犯人はこの人だろうなー」と思っていた人が本当に犯人だったので嬉しかったです。でも、推理ができていた訳ではないんですが。物語の最後の解答部分を読んでいる時に「確かにそう言われれば••」という部分が多くて、自分の思慮の浅さを痛感しました。

    502ページと読み応えがありますが、ページ数を感じさせられないほど、面白かったです。

  • オススメで挙げられ絶対に騙されるとあったので絶対に騙されない強気のスタンスで読んだけどおもいっきり騙される

    美少女をターゲットにハサミ首に突き刺すシリアルキラー通称ハサミ男。次のターゲットは頭の良い超美人樽宮由紀子。周辺を調べあげ、さぁ決行という時に何者かに殺害されてしまう。しかもハサミ男の手口で!新犯人を探すお話。

    樽宮由紀子殺しの犯人は、カメラの試し撮りした時に何となく気がついていたけれど、まさかまさか!そうなるとはねぇー120%騙される!もう一度読み返したら違う角度から物語が見れるかも

  • 初めての殊能将之さん作品。
    こちらもフォローしている方々の本棚で多く拝見したので、気になって手に取りました。

    最初、状況を掴むまで少し時間がかかったけれど、どんどん引き込まれて終盤には先が気になって読むスピードが自然とあがる。最後、まんまとトリックにハマってしまった!気づけなかったのが悔しいけれど、すぐさま再読していろいろ確かめたくなっちゃうくらい奥深くて面白い。

    主人公:ハサミ男は、普段は派遣(契約)職員として真面目に働き職場での評価も高い。けれどそれは表の顔。実際には過去に2人の少女を殺害しているし、3人目の標的を決めて着実に準備を進めながら土曜日には自殺を色々試している。その描写は結構リアルでキツかった。
    話の中ではハサミ男について詳しく説明はなかったが、行動も思考も一般的なものからかけ離れていて、一種のパーソナリティ障害を抱えている人物なんだろうなと思う。
    ハサミ男として第3の殺人を実行する予定が第一発見者として居合わせることになり、誰が何のために自分を真似て殺害したのかを知るために1人調査を始める。その過程でこんなにも周りの人は気づかず騙されてしまうのかと数々の行動に唖然。一種のプロ。

    この物語全体が「普通」では片づけられない様々な人の心理が交差しているように感じた。
    終盤、真犯人が分かってトリックも分かったときの刑事たちの経験からくる推測と行動にも驚いた。すごい。
    でもあともう一歩!気づいてほしかった。

    最後もゾワゾワした!

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著者プロフィール

1964年、福井県生まれ。名古屋大学理学部中退。1999年、『ハサミ男』で第13回メフィスト賞を受賞しデビュー。著書に『美濃牛』『黒い仏』『鏡の中は日曜日』『キマイラの新しい城』(いずれも講談社文庫)がある。 2013年2月、逝去。

「2022年 『殊能将之 未発表短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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