鳥玄坊 ゼロから零へ (講談社文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735322

作品紹介・あらすじ

ビッグバンを凌駕する鳥玄坊の宇宙とは?

細菌に侵された瀕死の日本で、少年義円は自らの力に覚醒する!

O(オー)157の新種SH70が突如猛威をふるい、子供たちが狙い撃ちされた。犠牲者一千万。世界から封鎖、隔離される日本。海溝の三重交点ではUM(ウルトラモササウルス)がついに動き出す。
底知れぬ能力を持つ少年義円(ぎえん)は覚醒し、この世の真理を求め鳥玄坊と対峙。瀕死の日本を救うのは?
見よ、空想の極限に挑む超絶ミステリの結末を!

感想・レビュー・書評

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  • 博学。それぞれの知識が半端でない。
    読みにくいが惹きつけられる。
    どこから、その知識が、生まれるのだろうか。

    稗田阿礼を イディオサヴァン症と仮定して、
    その役割を明らかにする。

    『人以外が決して人になれないのは、時間の集積、つまり経験としての過去を認識できないからだ。
    人以外の勤務は、記憶はするが、そこに時間の経過を集積できない。だから、自分が歳をとったことを知らない。』
    『雌がどんなに歳をとろうと、雄は若さで雌を決して差別しない。』
    歳という概念を持つのは、動物たちだけ。

    無意識の記憶。
    パターン認識。種を保存し継続させるDNAの記憶。

    『キリストは植民地主義、資本主義経済という物質的享楽をもたらすシステムを誕生させた。
    マホメットは貧する者に石油という新しい富を与えた。
    釈迦は人の世を困難や苦と認識し、その象徴として地獄を説いた。釈迦は極楽を知らない。』

    極楽は、平安時代の源信がもたらした。

    日本の終末がどのような形で進められるのか
    未来予測の様々なパターンを 描き出している。
    ある意味では SF的な予測 をしていると思う。

    O157の変異体が 感染して、10歳以下の子供たちを
    死亡させる というバンデミックの予想は
    結構 おもしろい。
    これは メラミン入り牛乳事件を想起させる。

    韓国軍による東京への侵入は、もっと 軍事的なこと
    についての 知識がいるだろうね。
    自衛隊にも 空軍と海軍があるので、
    そこが、領海と領空をこえた時点で 
    何らかの対応があると思う。それが弱すぎるね。

    そして、地震。
    どうなっていくのかな。
    と思ったが、描写はまるでないのだ。

    義円が何ものなのか?
    義円も知らないが、その正体が徐々に明らかになる。
    母親との関係、薫子がどこからきて、何ものなのか?

    時間軸を大幅に変えることで、物語が混乱する。
    つまり、時間をなくしてしまえばいい。

    日本という国のかたちが
    神を上位にして、仏をその下においているという説はただしい。
    伊勢神宮の存在が、際立っている。
    靖国神社というものも 特異な位置にある。
    日本を 神国というが 仏国とはいわない。

    如来は不老不死なので死を知らない。
    人は必ず死ぬ。如来は人の死が何を意味するのかわからないから
    死者を極楽に導くことはできない。
    閻魔は人の死を知っているから死者を巧みに悦びで包み込むと
    たちまち地獄へ連れ去ってしまう。

    明石散人は 文科系脳 なんだね。
    機械に対しては 性能のみを強調するだけで
    まるで扱っている感じがない。
    石板や鉄板だけで飛ぶという発想も非現実的。

    最後に 薫子が よみがえって 160億年後をみすえる。

  • 鳥玄坊シリーズ完結篇。鳥玄坊一派が最後に立ち向かう相手は、かつてない敵。歴史が終わり一切の虚無の世界へ。

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著者プロフィール

1945年東京都築地生まれ。作家。その博覧強記ぶりをかわれ、故・池田満寿夫をはじめ多くの作家、政治家たちのブレーンとなっている。著書に『東洲斎写楽はもういない』『二人の天魔王』『龍安寺石庭の謎』『謎ジパング』『ゲーム』『七つの金印』『日本語千里眼』など多数。

「2020年 『二人の天魔王 信長の正体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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