最悪 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.56
  • (430)
  • (878)
  • (1162)
  • (163)
  • (39)
本棚登録 : 6865
感想 : 749
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735346

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 会社を守ること、子供を進学させること、近視眼的にしか頭が回らなくなり半狂乱、錯乱する経営者。救いようのない和也の転落のさまは因果応報の教訓のようであり、極限状態でのみどりの変節も他人事とは思えなかった。それぞれに小説の中のお話ではすまされない切実さとリアリティがある。刻々と気持ちが揺れ変化する様がまことに精緻に描出されている。暗い予想が心を覆っていく中、最終盤のドタバタではちょっぴりニヤつくこともできた。何だかんだ言いながらそれでも生きている皆にホッとしたりもした。

  • 奥田英朗さんは、人間のネガティブな側面をごまかさずにきちんと書くとこが好きだけど。この作品はちょっと読後感が自分には悪過ぎた(笑) タイトル通り、何人かの主人公たちに最悪な出来事が降りかかっていき、そもそもは別々の赤の他人たちがだんだんからんでいくというその展開はすごい面白かった。 ただ、これだけ悪いこと続いてたら少しは救いがあって終わってもいいよねという期待を裏切る結末! いや少しは救いがあるようにかかれてはいるんだけども。 甘っちょろい、んなわけないだろというような終わり方にしないところが、さすが奥田さんという作品ではあったけど、自分にとってはもう少しハッピー気味に終わって欲しかった(笑) わがままな読者w

  • 途中まで読むのが苦痛だけど、段々引き込まれるものがあってなかなか。平凡の延長に狂気の世界があるところが怖い。

  • おもしろい!
    登場する3人がリアルに描かれてて川谷やみどりや和也に自分がなったかのように入り込んで読めた。クライマックスで最悪の状況の中3人が出合う時、主観がパッと変わる感じがなんだかちょっとタランティーノのパルプフィクションみたい。
    どんな人でも愛おしい部分があるんだなって実感した。

  • 関係ない3人の話から、ある時をきっかけに3人が繋がる。
    それぞれの話がいい意味で人間くさくて引き込まれた。

  • 非常に構成がよく考えられていて、後半怒濤のように人々の関係が絡まりあう所が凄い。
    しかし、それぞれの人のエピソードがあまりに最悪過ぎて、町工場のエピソードなんて読んでいて辛くなる。
    空中ブランコは読んでいたが、最初同じ作者であることに気付かなかった。
    それくらい印象が異なった。

  • 日常に起こり得そうな小さな最悪が積み重なって、最悪な人生になっていくリアリティと心理描写が絶妙。
    「あぁ…もぉ…」と思いながらも群像劇が好きなせいもあり、読み進めずにはいられなかった。
    みんな悪い人じゃないのに、悪い人じゃないから、落ちて行く感じに引き込まれたかな。

    インザプールとは全く違うけど、やっぱり好きです。奥田さん。

  • 好き。
    最初はまったく共通点のない3人の人生が絡み合ってくるところからすごくスラスラ読めました。
    普通だったら、そろそろ救いの手が出てくるだろうなって思うところも
    どんどんどんどん落ちてく…。
    邪魔に続けて大好きな作品です。

  • どうしようもない本当に最悪なことが次々に広がる。
    和也の思慮の浅い頭の悪さ、和也の20歳という若いだけの生き方、楓の和也を「ノッポちゃん」と呼ぶらしさ(私は楓が妙に気に入った、ニュースで和也を見るんだろな、とも考えてしまう)
    あとみどりの女ったれな弱さがイラつく。

  • 『最悪』という題名に登場人物の不幸物語を覚悟しながら読んだら、まあ不幸さは想像通りだけど、なんか暗くならずに読めた。話の展開が素晴らしく、かな引き込まれました。600頁を2日で読了!出張の移動と蕎麦屋での行列の待ち時間が一瞬でした(笑)
    後半のどうなるんだよもうっていう、もうどうなってもいいよ感がなんかいいですね。
    この人の作品は他には『サウスバウンド』『空中ブランコ』しか読んでないので他もいってみます。面白かった。

全749件中 71 - 80件を表示

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奥田英朗の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
奥田 英朗
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×