文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

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著者 : 京極夏彦
  • 講談社 (2002年9月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (1408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062735353

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文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • ★5.0
    再読。「あなたが…蜘蛛だったのですね」、何度読んでも巻頭と巻末のこのセリフにゾクゾクしてしまう。そして巻末に辿り着いた後に、また巻頭の数ページを読み返してしまう。目潰し魔と視線恐怖症、絞殺魔と女学校の闇、夜這いと売買春等、出てくるテーマは多岐に渡るものの、その全てが必要不可欠でひとつでも欠けると歪になる。それは作品全体にも言えることで、中心となる犯人=蜘蛛の姿が見えないながらも、骨組=張り巡らされた巣が強固で不在感は抱かせない。彼女の笑顔があまりに悲しくあまりに辛く、ただただ居た堪れない。

  • やばいっ!!面白かった~
    「姑獲鳥の夏」から「魍魎の匣」「狂骨の夢」「鉄鼠の檻」と京極夏彦、「百鬼夜行シリーズ」を、順を追って読み進めてきた。
    毎回、驚きと感動と達成感の様なものを得てきたが、「絡新婦の理」でなぜか何かを落とされたような気持になった。そう、憑き物が落ちたという感じ。すっきりしたのだ。

    「あなたが・・・蜘蛛だったのですね」
    冒頭の、漆黒の男、京極堂こと中禅寺秋彦と桜色の女、絡新婦とのやりとりのシーンで既に胸が高鳴った。ドキドキというのかワクワクというのか、ゾクゾクというのか・・・
    そしてそれは、ラストまで裏切られることはなかった。
    全てを読み終えた直後、再度その冒頭のシーンを読み返した。
    満開の桜の木々のもとで繰り広げられる漆黒の男と桜色の女の言葉達は、艶やかな意味を持ち深く深く胸に響き渡る。

    昨夜読み終えたばかりなのに、すぐにもう一度読み返したい気持ちにもなる。。。

  • 一番分厚い文庫本らしい本作を、圧倒的重厚感とともに読了しました。会話文主体でサクサク読めるとはいえ、それでもさすがに結構時間かかったす。登場人物がごっちゃになってくるっていうきらいはあったけど(美人姉妹なんか特に、誰が誰だか…)、それでもさすがに長い物語の中では、それなりの輪郭が掴めるようにはなったし、そんなに大きな問題ではなかった。色んな要素が絡み合いながら、最終的に中心に居座る蜘蛛に収斂していく展開は、ドキドキスリリングなものでした。京極堂が半分以上読み進むまで出てこなかったり、関口が最後の50ページくらいしか出なかったりっていう、違う意味での驚きもあり。女郎を題材に繰り広げられるフェミニスト論も興味深かったです。

  • この作品でいう絡新婦というのは男社会や家を「絡」め取る「新婦」人、という意味なんだろうか。
    過激派フェミニストの葵が良い。最近は男尊女卑はお断りのクセに合コンや婚活ではモテカワファッションで男に媚び、お茶汲みなんかやらせたらセクハラで訴えかねないクセに仕事が嫌になったらやっぱり女は家庭よね!と婚活しまくるフェミビッチが多いから、多少思想が過激でも一貫してるだけ立派だと思う。
    里村はズブリズブズブの場面で「看護婦さんが不足してる」と言っているが、この時代は戦中の影響で急ごしらえの看護婦を増やしすぎた結果供給過多になりむしろ看護婦が余っていた時代なのでは?看護婦不足で看護婦が優遇されてて引く手数多だというのなら、なんで降旗の元従軍看護婦の愛人が娼婦やってるの?
    京極堂がフェミニストを自称するシーンは笑うところなんだろうか。年に何度か妻が実家に帰るのがわかってるのに家事を習得しようとせず妹に夕食を作らせる男のツラ下げて…。(京極堂が敦子に夕飯を作りに来いと言ったワケではないがやろうとしないのは誰かにやれと言っているのと同じ)アレか。「他の女が女権を主張拡張するのは大いに結構だが、自分のカミさんは良妻じゃなきゃ嫌なの!」ってやつか。
    木場修がヒモと化した旗ちゃんに先越された感を感じたり旗ちゃんがお潤を「粋だ」と言っていた理由がよく分からなかった。学歴を生かした仕事につかないことのどこが「粋」なんだ?学費を出した親と自分が受かったせいで受験に落ちた人に申し訳ないと思わんのか。そもそも高学歴であることを誇らないのと学歴が生かせない職業につくのって関係なくない?

  • 今迄『魍魎の匣』が一番好きでしたが、こちらに変わりました。桜散る妖艶な対面場面から始まり、縺れ絡まる糸を解く。

    京極先生の書く女性は何故こんなにも強く美しいのだろう。いい女と深く付き合って来なければ書けない作品だなといつも思っています。男性で此処まで女の狂気を巧みに書ける作家はいないと思う。ため息しかない。

    もう一回読もうっと。

  • 最後まで読んで、スムーズに最初のページに戻る。
    はあ〜凄いなあ...としか出てこない。圧巻。
    年末年始にじっくり読めて良かった。
    鉄鼠から大分空いてしまった。

  • 姑獲鳥で驚愕して魍魎で確信して本作はそれらを超えて、読み終えたらもうすごいのひとこと。このひとやっぱりすごい。。

  • この話の要である絡新婦が、シリーズの中で一番衝撃が強かったです、
    絡新婦はあまりにも狡猾で、周りのものを全て飲み込みつつ、事件と人の関係を操りながら、感情的で、それでいて強い、誰にも手が出せないところにいる人でした。
    京極堂と絡新婦の冒頭のシーンがとても印象的です。

  • 長いッ!長すぎるぞ!また引用が榎木津の台詞だし!

    今回は基督教系の女学校の呪いと、目潰し魔と首締め魔という二人の凶悪連続殺人犯、富豪織作家の謎と、男性主義と女権拡張論、蜘蛛の巣の如く張り巡らされた罠。巣の中心にいるのは誰だ…?
    キーワードは理と偶然と必然?

    各節前に時折挟み込まれる物語は、事件の核心にまつわるものなのだが、それが終盤にフラッシュバックの如く目の前に閃く。これはもはや伏線じゃなくて演出だ。小説としてはすごいことなのではないかと思う。
    普通の小説は、匂わせて思い出させることが多い気がする。でも百鬼夜行シリーズの伏線は匂わせない。閃かせる。それこそ、榎木津の不思議な力のように、数百頁も前のどこかで読んだその光景が燐くように目の前に鮮烈に浮かび上がる。
    京極堂が謎を解き明かすとき、私達はその情景をもう見ているのだ。

    最近百鬼夜行シリーズを貪るように読んでいるのだけれど、どの小説も読むのにすごい時間かかるのに、読み終わったあとその「フラッシュバックのもと」を探しに行かなければならなくて、それがとても楽しいから困る。

  • 終了日:2012・1・3、とにかくね、なんかね、前の4作に比べるとどうも、やわらかかったな…
    女権関連の話はとんでもなく心に痛いトピックだったけど(北米大学系リベラル高等教育の影響大アリ)。
    でも、なんか、あの桜色がスゴく強くて。
    解説もザッと読んだけど、やっぱり集大成というか、色々合わせたって感じ。ただ、もう前の4作の細かい内容とか忘れまくってるから困った。「狂骨の夢」と「鉄鼠の檻」がね、なんていうか、難解すぎた。姑獲鳥は2度ほど読んでるし、魍魎はアニメがあったし。この二つは大体覚えてる。
    でもそれでも、やっぱりすごかった。
    狂骨と鉄鼠に比べたら、読みやすかったのかな。
    なんていうか、事件は十分悲惨だし、つらいんだけど、なんだかやわらかかった。織作の女たちが揃って近寄りがたい感じがしたからかな。

    次女が黒幕だってのは私には珍しく早い段階でわかった。
    だって、読んでて生理的に辛いじゃない、茜さんって。
    葵さんの両性具有の下りはもちょっと活かせたのでは?と思ってしまった。
    とにかく最初は葵さんの論争が読んでて滅入ったけど、最後の最後の方ですっごい葵さんに興味を持った。もっと彼女の話が聞きたかった。
    でも碧が一番辛かったかな、読んでて。若い娘はそこまでいくか。
    一番哀れだったのは碧かも。
    真佐子さんも恐ろしかったけど。
    誰彼もが悲しかったけど、どうも女性の成せる技なのか、まあそこはやっぱり織作の神秘性か、悲しい、辛い、恐ろしいんだけども、なにか口当たりが桜色で霞がかかってた。

    杉浦も辛いけど、最後に美江さんが潔くてカッコ良かった。
    だからこの二人はまだせめて救いがあったのか。

    榎さんは珍しくしっかりしてた気がする。マスオロカはいい子だなぁ…
    青木ちゃんが好きである。愚直な青年はかっこいいよ!
    木場の旦那は相変わらずだけどかっこいいとこ見せてたじゃない!
    マチコサンはかなり胆の据わった人だなぁ。癒しの珍獣。
    いさま屋が好きすぎてどうにかなる。
    敦っちゃんと関くんと鳥ちゃんもちゃんと出て来てくれてうれしかったー!

    柴田の養子がこんな形でからんで来るとは。というか、過去の事件があちこちで入り込んできて困った。そんな細かいこと覚えてないよう!!と困った。

    京極堂は相変わらずだったなぁ…かっこよすぎるだろ…

    結論:放浪癖があったっていいじゃないか、いさま屋の嫁になりたい。

  • なんか鈍器で頭殴られたみたいな目眩のする読了感でした。このシリーズは時系列に進んでいるから当然刊行順に読んだ方が「理」なんだろうけど、女学院、蜘蛛、呪術…の題目に誘われてWikipediaで人物予習を万端のうえ狭骨、鉄鼠を飛び越えて手を付けてしまった。
    登場人物が多数だけあってとにかく人が死ぬ死ぬ!天罰然りな死もあれば犠牲死(の方が多いんだけど)あれだけの壮大なスケールのシナリオを描いた“蜘蛛”…というより京極夏彦やっぱり凄すぎる。
    「あなたが蜘蛛だったのですね」真犯人を示唆する冒頭であるが、最後まで到達後再読すると桜舞い散る情景なのにゾクゾクと鳥肌が…。そして改めて読み終えた頁数を見て達成感が溢れました。
    ただ、まさかのあの事件のあの人が出てくるとは!やはり“あの人は誰!?”にならない様にフライングも程々に…という事ですかね。今回も京極堂、榎さん共に格好良かったです!

  •  シリーズ第5弾。娼婦らしき女性が小さな宿で殺害されているという地味な事件から始まる物語は、遠方で起きた怪奇事件と奇妙なかたちでリンクし、そのつながりは話が進むにしたがってどんどん複雑になってゆく。誰が被害者で誰が加害者なのかすら良く分からなくなってゆき、すべて読み終えた段階になってもなお、自分が事件の全貌を把握できているのかあやふやだ。終盤を読んでいる頃にはもう前半の伏線など忘れてしまった、というのもあるが。
     『狂骨の夢』ではキリスト教・心理学、『鉄鼠の檻』では禅がモチーフとして登場するが、本作では性別観?とでも呼ぶだろうか、小説内の言葉を用いるならば“フェミニズム”がモチーフとなる。舞台が1950年代ということを考えれば、現代に比べ格段に女性の権利は弱かったのだろう、これを糺す杉浦美江や織作葵の舌鋒は凄まじく、これに応える中禅寺や榎木津の話と合わせて面白かった。
     同時に、太平洋戦争からそう年月の経っていないこの時代に、「性」という概念が戦前からどう変化し、それが人々の心・価値観にどう影響を与えていたのか、非常に気になった。というより、理解できなかったように思う。シリーズを通じて中禅寺が行う“憑き物落とし”は、解説で「ものごとに固定した意味を求め、そこに自分自身の土台を築こうとする心を察知し、その凝りをほぐす操作」と説明されている。そう言われると「そりゃありがたいな!」とも思えるが、中禅寺自身が毎回躊躇しているように、大きな危険を孕む行為でもある。価値観を破壊するとでも言い換えられるだろうか(登場人物がどこかでパラダイムシフトとか言っていた気もする)。
     その上で、憑き物落としの末、自分が信じていたものが崩れ去り絶望のままに死んでゆく登場人物を見ていると、なんともやるせない気持ちがこみ上げてくる。そして、その絶望の大きさを十分に感じ取ることができない自身の乏しい感受性が歯痒かった。

    憑き物落としからは、自分を縛り上げていた固定観念からの解放感も味わうこともできる。あまりに人が死にすぎる結末はとても悲しいが、この解放感が少しは読後感を爽やかなものにしてくれているのかも知れない。

  • 京極夏彦/京極堂がミステリーの皮を被りながら憑き物落としをしようとしているのは、われわれ読者であることを確信した一冊です。認識論、身体論、性と密教、仏教あるいは悟り、と関連性を持ちながら続いた集大成として生き物/ジェンダーとしての男女まで物語は射程を広げ、ある意味第一話にも輪廻するように、ウロボロスの蛇のような趣のある、このシリーズの集大成の物語でした。久しぶりに、読み切ったところで震えが来て、ここまでシリーズを読み込んできて良かったと思いました。ミステリという枠組みで捉えるのが矮小な気がする世界観を提示してくれる、数珠の一冊です。

  • 始めから終わりまでずっとぞくぞくされっぱなしの小説だった。物凄く分厚く、長い物語なのに、長いと思うことがなかった。

    それくらい面白い。

    執拗に(異常に?)蜘蛛という単語が出てくるこの小説。その言葉通り、物語が蜘蛛の巣のように全て繋がっていて、その計算高さに圧倒され、感嘆し、拍手した。

    皆様が書いているように、「あなたが蜘蛛だったのですね」から始まる物語。
    桜が舞う美しい風景の中、犯人と対峙する中善寺。

    はらはらどきどきするシーンのはずなのに、どこか穏やかで物静かに感じた。
    そしてよく分からぬまま、何か解決したらしく、いざ本編へ。

    犯人が複数居る。
    全ての事件は別々に起き、誰の指図も受けずに、個々の犯人が事件を起こす。
    しかしそれらの事件は全て繋がっている。
    何だかスタンドアローンコンプレックスみたいだと思った。

    そして犯人がわかり、「あなたが蜘蛛だったのですね」で閉められる物語。

    うわああああ冒頭のやつだああああああ!!!!ってなって急いで読み返すと、うわあああああああ全部ちゃんと最初に書いてあったんじゃんんんんんんんん!!!ってなる。

    超マジック。

    この本は凄いなー。

  • 一番好きな作家の一番好きな作品。

    殺人事件が起きて探偵が犯人捜して事件を解決する、という流れなので、分別するときっと推理小説なのでしょうが、いやはやそんな通り一遍の括り方なんて全く以って出来ません。

    殺人がそこかしこで起きますが、全体像が全然掴めないので何をどう考えながら読み進めれば良いのか分からない。
    犯人も黒幕も1人ではないので後半に至ってもやっぱり何が起こってるのか分からない。
    ただ、随所に散りばめられた伏線を探偵役が綺麗に回収していく為、モヤモヤ感と爽快感を共存させながら読んでいけます。
    そして最後の一行を読んだ後、幻想的な冒頭に戻って事件の全容を知った時、きっと驚愕します。
    声が出ます。腰が浮きます。

    身内の人間同士の掛け合いも薀蓄も面白いし、シリーズの過去作品に出てきた人物が今作にも関わってきたりする楽しさもあります。

    ミステリーや推理小説好きの方にはたまらない作品だと思いますので、ぜひご賞味下さい。

  • 女性の両目を串刺しにする連続猟奇殺人。名門お嬢様学校を跋扈する呪い。登場人物も動機も、何もかも異なる2つの事件の被害者は同じ。
    2つの事件の大本の首謀者は果たして存在しうるのか。
    京極堂、榎木津、木場をも搦め捕り、雑司ヶ谷、小金井まで遡る蜘蛛の巣の中心にいるものは誰かを

  • 百鬼夜行シリーズの中では、魍魎の匣と並ぶもしくは超える名作かなと。
    とにかく人がたくさん死にます。死ななくてもいいのに、という人までバッタバタと死にます。でも死ななくていいのに、という人までもがどんどん死んで、事件の発生、広がりがとまらないところがこの話の大きなポイントなんだよなあ。
    真犯人である蜘蛛の闇の部分、この闇はどこからくるのか。想像してみる。どんな過去があるにせよ、そんなのは関係なく、事実は恐ろしいほど深い闇があるってことだけなんだなあ。背筋凍るで。
    ジェンダーだったり、女性というものがひとつのテーマとなっていますが、同じ一つの存在や行為が神性をもつことも、卑しいものとして見られることもある。
    どんな視点も存在するわけだ。気づけば正反対の認識さらされていたりもする。
    そう思うと崇高なものも下卑なものもこの世にはないのかもなあ。

  •  ひとがいっぱい死んだのでとてもかなしい。
     最後まで読んで本を閉じた瞬間がとても悲しくて、時間をおいてから最初の場面を読み直して少しだけほっとした。多分これもまた何処かで大きく関連してくるんだろうなあという気がするけれど、すくなくとも彼女主導ではもう連鎖しないんだ……。
     誰もが登場人物になってしまう事件に関口君が関わらなかったの面白い。でも時々名前が挙がるので、彼らは繋がってるんだなーって感じられて嬉しかった。
     最後の場面でじゃれ合ってる京極堂と関口はとてもかわいかった。悲しい気持ちはあったけど癒された。
     仁吉さんが好き。おじいちゃんかわいい。

  • 惨殺を繰り広げる目潰し魔、そして絞殺魔。黒い聖母の呪いを匂わせ、おどろおどろしいのは変わらぬが、これまでのシリーズと比して何かしら陰気な閉塞感が薄い。女学校と女系の織作家が舞台ってこともあるし、あの榎木津探偵が腰を据えて登場してくれるのが要因だろう。地域の風習を単に男性原理の支配とするフェミニストを痛快に論破する京極堂だが、いかなる犯罪者をも異常者として捉えない彼の信条こそが最も心に響く。待古庵の今川君は存在感が高まった。関口先生はエピローグでちらりと登場。まるで友情出演だが、次回のご活躍を期待したい。

  • 「いやぁ、凄い…!」
    読むのに疲れて休憩を挟むたびに、自然と言葉が漏れてしまいました。そんな興奮しっぱなしで読み進めた百鬼夜行シリーズの第5弾。本書は1400頁を超える分厚さですが、これまでシリーズを読了してきた者としては、この分厚さは苦になりません。むしろ「その分、長いこと楽しめるじゃないか」と小躍りしてしまうのは、僕だけではないはず。

    本書では、これまでのシリーズで見られた「気味の悪さ」がどこか鳴りを潜めています。個人的に、この気味の悪さが百鬼夜行シリーズ独特の重苦しさを構成していたと思うので、本書は少し雰囲気が弱いイメージ。これは、大胆な犯行の割りに、真犯人の動機がどうも理解し難い(というか、よく解らない)ところにあるからかなと開陳。が、一方で、節目節目で急展開するこの構成力は凄いの一言。まるでジェットコースターに乗っているかのようで劇的。「姑獲鳥の夏」や「魍魎の匣」に匹敵する演出の凄みは、拍手喝采をしてまだ足りないくらいです。

    さて、年末年始に百鬼夜行シリーズを読むのが恒例になってきました。ちゃんと時間を確保して一気に読んでしまいたいからですが、これもまた、なんだかもったいなく感じてしまうのでした。

  • 面白かったのだけど、やはり憑き物落としは難解。。ついていけるだけの頭がないのが悲しい。

    ある時代、ある文化の中でだけ機能するものがある。規範や視線が変わるとそれは機能しなくなり、意味も変わってしまう。

    無関係に見える二つの事件が、実はどちらも絡新婦が仕掛けたもの。駒が想定外の動きをしても成し遂げられる事件。知らずしらずのうちに選択肢を狭められ、自発的に選ばされるのは、恐ろしい。

  • 事件の数や登場人物の数が多かったが、ある程度最初に語られていたせいか読みやすく感じた。
    それでも縦横無尽に張られた伏線には混乱させられ、それが解かれる度にまた物語に引きこまれていた。

    これまでの百鬼夜行シリーズを順に読んで来たことで理解できたような部分も多かったかな。

    今作では女性が多く登場し、女性の権利についての舌戦も興味深かった。

  • 点と点が繋がって線になったところでハッとして、
    でもその線は1本の線ではなく蜘蛛の糸のように張り巡らされているってところでさらにゾワッとして
    オチでようやくわかる蜘蛛の正体にまた驚かされました。
    『魍魎の匣』と並ぶ、読んでてゾワゾワするこの感覚…たまりません。

  • だいぶ昔に読みました。
    ストーリーが秀逸で、京極堂シリーズでは個人的には1番です。

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文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)の作品紹介

当然、僕の動きも読み込まれているのだろうな-二つの事件は京極堂をしてかく言わしめた。房総の富豪、織作家創設の女学校に拠る美貌の堕天使と、血塗られた鑿をふるう目潰し魔。連続殺人は八方に張り巡らされた蜘蛛の巣となって刑事・木場らを眩惑し、搦め捕る。中心に陣取るのは誰か?シリーズ第五弾。

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