- Amazon.co.jp ・本 (1408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062735353
感想・レビュー・書評
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久々に読み返した。百鬼夜行シリーズは、個性豊かで魅力的な登場人物もさることながら、事件の舞台も印象に残るものが多くて、犯人探しとかトリックうんぬんより、この世界観を楽しむために読むといっても過言ではない。
絡新婦では、過去の作品とのつながりもあって思わずニヤリとしてしまった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初、面白かったんだけどなー。
後半、どんどんよくわらなくなってきてしまった。
長編大好きだけど、長編すぎて話の流れや人物が自分の頭から抜けてしまった。 -
やたらと分厚い本ですが、張りまくられた伏線をきれいに回収して、「あなたが蜘蛛だったのですね」のラストまで徹夜で一気に読んでしまいました。
個人的には京極堂シリーズの中で最高傑作だと思います。 -
一番好きな作家の一番好きな作品。
殺人事件が起きて探偵が犯人捜して事件を解決する、という流れなので、分別するときっと推理小説なのでしょうが、いやはやそんな通り一遍の括り方なんて全く以って出来ません。
殺人がそこかしこで起きますが、全体像が全然掴めないので何をどう考えながら読み進めれば良いのか分からない。
犯人も黒幕も1人ではないので後半に至ってもやっぱり何が起こってるのか分からない。
ただ、随所に散りばめられた伏線を探偵役が綺麗に回収していく為、モヤモヤ感と爽快感を共存させながら読んでいけます。
そして最後の一行を読んだ後、幻想的な冒頭に戻って事件の全容を知った時、きっと驚愕します。
声が出ます。腰が浮きます。
身内の人間同士の掛け合いも薀蓄も面白いし、シリーズの過去作品に出てきた人物が今作にも関わってきたりする楽しさもあります。
ミステリーや推理小説好きの方にはたまらない作品だと思いますので、ぜひご賞味下さい。 -
最後まで読んで、スムーズに最初のページに戻る。
はあ〜凄いなあ...としか出てこない。圧巻。
年末年始にじっくり読めて良かった。
鉄鼠から大分空いてしまった。 -
姑獲鳥で驚愕して魍魎で確信して本作はそれらを超えて、読み終えたらもうすごいのひとこと。このひとやっぱりすごい。。
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なんか鈍器で頭殴られたみたいな目眩のする読了感でした。このシリーズは時系列に進んでいるから当然刊行順に読んだ方が「理」なんだろうけど、女学院、蜘蛛、呪術…の題目に誘われてWikipediaで人物予習を万端のうえ狭骨、鉄鼠を飛び越えて手を付けてしまった。
登場人物が多数だけあってとにかく人が死ぬ死ぬ!天罰然りな死もあれば犠牲死(の方が多いんだけど)あれだけの壮大なスケールのシナリオを描いた“蜘蛛”…というより京極夏彦やっぱり凄すぎる。
「あなたが蜘蛛だったのですね」真犯人を示唆する冒頭であるが、最後まで到達後再読すると桜舞い散る情景なのにゾクゾクと鳥肌が…。そして改めて読み終えた頁数を見て達成感が溢れました。
ただ、まさかのあの事件のあの人が出てくるとは!やはり“あの人は誰!?”にならない様にフライングも程々に…という事ですかね。今回も京極堂、榎さん共に格好良かったです! -
シリーズ第5弾。娼婦らしき女性が小さな宿で殺害されているという地味な事件から始まる物語は、遠方で起きた怪奇事件と奇妙なかたちでリンクし、そのつながりは話が進むにしたがってどんどん複雑になってゆく。誰が被害者で誰が加害者なのかすら良く分からなくなってゆき、すべて読み終えた段階になってもなお、自分が事件の全貌を把握できているのかあやふやだ。終盤を読んでいる頃にはもう前半の伏線など忘れてしまった、というのもあるが。
『狂骨の夢』ではキリスト教・心理学、『鉄鼠の檻』では禅がモチーフとして登場するが、本作では性別観?とでも呼ぶだろうか、小説内の言葉を用いるならば“フェミニズム”がモチーフとなる。舞台が1950年代ということを考えれば、現代に比べ格段に女性の権利は弱かったのだろう、これを糺す杉浦美江や織作葵の舌鋒は凄まじく、これに応える中禅寺や榎木津の話と合わせて面白かった。
同時に、太平洋戦争からそう年月の経っていないこの時代に、「性」という概念が戦前からどう変化し、それが人々の心・価値観にどう影響を与えていたのか、非常に気になった。というより、理解できなかったように思う。シリーズを通じて中禅寺が行う“憑き物落とし”は、解説で「ものごとに固定した意味を求め、そこに自分自身の土台を築こうとする心を察知し、その凝りをほぐす操作」と説明されている。そう言われると「そりゃありがたいな!」とも思えるが、中禅寺自身が毎回躊躇しているように、大きな危険を孕む行為でもある。価値観を破壊するとでも言い換えられるだろうか(登場人物がどこかでパラダイムシフトとか言っていた気もする)。
その上で、憑き物落としの末、自分が信じていたものが崩れ去り絶望のままに死んでゆく登場人物を見ていると、なんともやるせない気持ちがこみ上げてくる。そして、その絶望の大きさを十分に感じ取ることができない自身の乏しい感受性が歯痒かった。
憑き物落としからは、自分を縛り上げていた固定観念からの解放感も味わうこともできる。あまりに人が死にすぎる結末はとても悲しいが、この解放感が少しは読後感を爽やかなものにしてくれているのかも知れない。